[17] リーダー飛ばされる

アルバイト

アルバイトを始めて2か月が過ぎて仕事には多少慣れてきたが、それ以上に鬱々とした気持ちでいつものようにバックヤードに着いた。
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仕事を始める前に、各自の名前と作業内容が書かれているシフト表を確認してチェック印を付けなければならない。
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「できるだけ、いや未来永劫、金輪際、絶対絶対リーダーといっしょになりませんように。南無~」とシフト表を見ると・・・なんということでしょう、リーダーの名前に横線が引っ張られているではありませんか!
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リーダー

こ、これは?

も、もしや?

ゴ、ゴクリ

パチクリ

パチクリ
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まばたきが止まらない(笑)
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シンギュラリティ?セレンディピティ?ウインドフォール?数秒で頭の中に色んな言葉が回転して答えを探すが、メモリ不足でモーターがうなりを上げて煙を吹きだして、404 NOT FOUND しか出てこない。
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しょうがないので、ちょうど近くを通りかかった同じグループの細木数子似のおばちゃんに聞いてみる。
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自 「す、すいません。シフト表のリーダーの名前に横線が入ってますね」

細 「そうよ、リーダー違う店に行っちゃうみたいよ」

自 「あ、そ、そうなんすか」
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圧倒的僥倖!
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感情が顔に出ないように冷静さを保つのに必死だったんで、おそらく正月の「福笑い」のおかめの出来損ないみたいな顔をしてたと思う。
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上からの一言で、あらゆるところに飛ばされるのも組織で働くには仕方がない事なんだろう。人事部のバシルーラはマホカンタでも防げないのだ。
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それでも将来有望な社員の人はこうやって色々な店舗を経験してキャリアを積んで厳しい競争の中、昇進の道を目指すんだろうね。
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実はこの頃には、自分は夜のシフトでリーダーは日中の仕事なので一緒に仕事をする機会はかなり減ってきていた。
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その後、リーダーの顔を見ることは二度と無かった。
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