[22] チワワさんとハイリさんを読むと、まろやかさが増しフルーティでオイリーな香り立ちとなりより一層美味しく頂けます。
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ハイリさんはチワワさんの後輩にあたる女性社員で、20代前半の期待のニューカマーだ。若いだけあって、いつもあふれんばかりのエネルギーを放出しながら活発に作業をしている。
しっかりしている一方で、若さゆえの気の強いところもある人だ。
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この日はハイリさんと同じシフトで、バックヤードに行くと気のせいか表情が少し暗いハイリさんがいた。
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ハ 「自分さん、今日はこのいつもの作業をして下さい」
自 「は、はい」
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作業ボードに何気なく目をやると、ハイリさんへの作業指示がぎっしりと詰め込まれた紙が貼ってあった。この字は・・そう、チワワさんの字だ。
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とても綺麗な字でえげつない量の作業指示が書いてあり、そのコントラストがここまでくるともはや清々しい。ハイリさんは着丈に振舞っているが、内心は時間内に終わるかどうか気が気でないだろう。
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作業中時々ハイリさんのほうをちらっと見ると、売り場で一生懸命に作業をしながらときどき事務所に戻って事務作業もこなしているようだ。
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大丈夫だろうか・・・
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独身アルバイトのくせに自分を見失って、気持ちだけは年頃の娘を大都会に送り出した父親のそれになっていた。身の程知らずも甚だしい（笑）
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その後、休む暇もなく大量の15キロほどのダンボール箱を積み替えるという「結果にコミット」できそうなくらいの、男性でもきつい荒行に取り掛かっていた。みるととてもつらそうで肩で息をしている。
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これはもうほっとけない！
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その姿に心を動かされてしまって、自分の作業は後回しにしてハイリさんを手伝いにいった。「手伝いましょうか？」とか「手伝いますよ」とか言うのもなんか野暮ったいなと思ったんで何も言わず作業に加わった。
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自 （作業中）
ハ 「すいません・・・ありがとうございます」
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うん、とても素直な子だ。
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自分は無駄や非科学的な事が嫌いで、どちらかというとドライで合理的な人間だと思う。時給制ならだるいよりは楽なほうがいいし、難しいよりも簡単なほうがいい。
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それでもこんな小柄で若い女性が汗をたらしているのを実際に見ると、気持ちをぐっと動かされてしまって左脳は右脳に勝てなくなる。
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人の行動を変えるくらいに、感情を揺さぶられたのでござる。
若い人の懸命な姿はすごいと思う。
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