「負け逃げ」を読み終えた。
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何だったかの小説の最後の広告欄で見つけた本。著者は「こざわたまこ」さんという方で、この人の小説は初めてだ。帯にもあるがR-18文学賞読者賞を受賞している作品だそうだ。
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*ここから先はネタバレになるので、未読の方はスルーしてください。
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いつか、この村の男全員とセックスできるかな。どの家の男も私とやってて、私を介してつながってんの。そしたら私は村とつながってるし、村は私とつながってるし、私がいないとつながれないの。そしたらまるで、私がこの村を支配してるみたいじゃない?それがこの村に対して私ができる、唯一の復讐だよ。
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「セックスフレンドっていうこと言葉、おかしいよね。恋人じゃないからって簡単に友達のカテゴリーに寄せてくんなって思う。性も友情も含むってことは、性も友情も含まないってことと一緒だと思うよ。だからセックスフレンドって、恋人からも友達からも最も遠い言葉だよね」
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小さな村だから、その中に住む人間はどれだけ小さなコミュミティでもよそ者を作るのが得意だ。
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あれは、隣でその夢を応援するよ、という「がんばって」じゃなかった。テレビに映ったスポーツ選手に言葉を放り出すような、そういう「がんばって」だった。
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あのくたびれた背中にしがみ付き、薄い髪を撫でつけて、あられもない姿で抱き合いたい。夫を騙して、子供に見捨てられ、それでもまだこんなことを考えている。私は、こんなにも醜い人間だっただろうか?
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私はただ、瞬き始めた青信号に向かって走り出さずにはいられない、そんな人間になりたかった。ただ、いろんなことに期待をしてみたかった。希望を持ってみたかった。自分の欲望に、もっともっと振り回されてみたかった。
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*以上引用です
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勘違いするかもしれないがエロ小説ではない。田舎特有の閉塞感や息苦しさを思春期の高校生や大人の男女からの視点で書かれた本で、読んでいる最中に湊かなえさんの「ユートピア」を思い出した。
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感想は・・・面白かった。
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ただ読み終えたあとはもう腹いっぱいというか満腹感がすごい。
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ただ「ヤリマン」を立体視して「好きです」なんかでねーだろ(笑)ちなみに一番好きだったのは第二章の「美しく、輝く」で人物の繊細な気持ちが伝わってきて、読みながら苦しくなる。
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「もうやめてあげて、やめて、やめろって」という感じだ(笑)
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個人的にはかなりオススメの小説です、はい。興味のある方はぜひ。
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