宝石の価値を読み終えた。
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著者はSUWAブランドの会長で宝石鑑定士。国立科学博物館の特別展も監修したそうだ。どんな世界なのか読んでみようと。
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46億年前に地球が誕生し、それから13億年ぐらい経過した頃、まずダイヤモンドが地下奥深くで結晶しました。その後、地表に向かって上昇するマグマと共に地上近くに到着し、気の遠くなるような母岩の風化が進みダイヤモンドが露出します。それらが雨風によって流され、やがて人間に発見されて宝石となるのです。
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人間は約38万キロ離れた月まで行くことができても、地下となると現代の技術を駆使したところで12キロが限界です。
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宝石の善し悪しは「構想」「素材」「仕立て」という3つの要素によって決まります。そのうち最も大事なものが「構想」と言っても過言ではありません。
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ダイヤモンドが最も輝くカットはブリリアントカットです。ダイヤモンドの表面に57の面(ファセット)を付けるカット法で、いろんな角度から光が差し込み内部で複雑に反射するためまばゆいほどに輝くのです。
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1970年代、デビアスは日本をターゲットに、0.2~0.3カラットの小粒のダイヤモンドをセットしたソリテール婚約指輪と称し、広告代理店と組んで「婚約指輪は給料の3か月分」というプロモーションを大々的に展開しました。これによりダブついていた1カラット以下の原石の需要が高まり、産出が多く供給過多に陥っていた小粒サイズの受給バランスが改善したのです。
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宝石はおよそ30年で持ち主が変わることが多く、家族間などで受け継がれない場合には売却のため市場に戻ってくるのです。
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「ブランド料」にお金を払うのだったら、そのお金も全て宝石そのものの価値に投じて、より高品質で美しい宝石を買うという選択肢もあっていいのではないでしょうか。
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ダイヤモンド界の巨人デビアスは「ライトボックス」という合成ダイヤのブランドを作り「1カラット = 800ドル」という合成ダイヤモンドにふさわしい価格設定の商品の販売を始めました。合成ダイヤの適正価格を示すことが狙いだっと思われますが、一般的にはデビアスが合成ダイヤを認めたと受け取られました。
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ラボグロウン・ダイヤモンドに不純物はほとんど含まれていないというのは事実です。ですが、不純物やキズは実は天然宝石の証。完全無欠ではない点が、宝石を宝石たらしめているのです。どんなに高品質の宝石であっても、多少なりとも内包物やキズを含んでいるのが自然です。不純物を含まないがゆえに、合成ダイヤは自ら宝石ではないと証明しているのです。
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以上引用です
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以前某テレビ番組で、アンティーク時計のコレクターを特集していた。
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そのオーナーは「これらの時計は一時的にお預かりしているだけです」みたいなコメントをしていた。
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自らの所有物という感覚はなく、たまたま縁があって何世代も前のコレクターからバトンを受けただけ。いい状態を保ってまた次世代に渡すのが私の役割というのが印象的だった。
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宝石とは違うけれど、この本を読んで美術品やアートにも何か通ずるもの感じたな。
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ちなみに宝石の類はまったく持っていない。持っていたことがない(笑)
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実はね、某有名時計を15年ほど使っていて数年前に売却した。その値段はなんと購入時と同じだった。インフレをアウトパフォームできたという点では「動産」であったのかもしれない。
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宝石の資産性に関してのデメリットは、少額投資ができない、もう一つは流動性が低いことだろう。デリバティブでもない現物投資だからね。
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しかしながら、宝石というのはそういう目的で購入せず、好きで長年持っていたら価値が上がっていたという感覚が理想のような気がするな。
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せっかく身に付けて楽しめるものなんだから。
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著者は徹頭徹尾、ラボグロウン・ダイヤモンド(人工ダイヤ)を否定している。
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合成ダイヤは地球環境に優しくエコであり、選択肢が広がるというメリットがある一方で無限に供給できる。
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利幅が大きく(今のところは)競争が激化していて、2023年の秋にはアメリカの第二の合成ダイヤ業者が倒産したそうだ。
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この辺は「ホンモノの偽物」に詳しく書いてあるので合わせて読むと面白いと思う。
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人から人へ価値を持ち続けるには、ある程度の希少性は必須なのかもしれないね。
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最後にひとつだけ
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Price is what you pay, value is what you get.
(価格はあなたが払うものであり、価値はあなたが得るものである)
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ウォーレン・バフェット
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