「罪と罰(下)」を読み終えた。
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巨匠ドストエフスキーの「罪と罰」の最終巻だ。ここ最近は寝ても覚めてもこれしか読んでいなかった。物語が長くて面白いほど終わりに近づくと寂しくなる。ドスロスになりそうだ(笑)
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まぁ、なんならぼくをなぐってくださってもいいですがね、ぼくはあの結婚が破断になったのが、うれしくてうれしくてならないんですよ。あなたが自由を失わず人類のために完全に滅び去らなかったことがうれしいんです・・・つい本心を言ってしまいましたがね。
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生まれつき臆病なソーニャは、以前から自分が誰よりも傷つけられやすいこと、まただれもがほとんど咎められることもなく、思うさま彼女を辱しめられることを知っていた。
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すべては「社会的な境遇とそこにありがちな習慣」に根ざしているんですよ。さっきそのことが分かったでしょう?
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もしかしたら、ぼくはまだ人間で、しらみではないのかもしれない、自分を責めるのをいそぎすぎたらしい・・・ぼくはまだたたかうぞ。
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彼がいまもって本当の脳炎におかされて倒れてしまわないのも、ことによると、このたえまない内的な不安が、人為的に、また一時的にではあるが、彼の肉体と意識とをなお支えているからかもしれない。
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私があなたをどんな人間と考えていると思います?私はこう考えているんですよ、あなたという人は、たとえ腸をひきちぎられても微笑を浮かべて迫害者を見ていられる人だ。
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「苦しみを負いに行くというだけで、自分の罪の半分は洗われるんじゃないの?」
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どうせこの盃を飲みほさなければならないのなら、もうなんだろうと同じことじゃないのか?醜ければ醜いほどいいはずだ。
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現在においては対象も目的もない不安、そして将来においてはそれによってなんの報われることもない絶えざる犠牲 --- それがこの世で彼の前途にある全てであった。
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そして彼女は、いや、彼女は、ただ彼の生だけを生きていたのだ!
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以上引用です
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感想は・・・ソーニャに惚れた、抱きしめたい(笑)
好き嫌いはあると思うが一度読んでみるしかないと思う。
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最終巻だけあって内容が盛りだくさんだ。主人公がルージンの工作を暴くところ、ポルフィーリィとラスコーリニコフの罪をめぐっての薄氷のやりとり、そしてスヴィドリガイロフの・・・とお腹がいっぱいだ。
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この物語の登場人物はロリコン、銭ゲバ、パラノイアといった狂人と悪党のオンパレードだ。それでもなけなしのお金を他人に施したり、自らを犠牲にして世話をやいたり手伝ったりと根がみんな優しいんだよね。
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つまることろ、悪人になり切れないのだ。
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悪人になり切れないからこそ良心の呵責に苦しみ、葛藤して苛むんじゃないかな。そういった描写が人間の本質というかリアリズムむき出しで好きだった。
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個人的に一番狂人だと感じたのはカチェリーナだ。自分さんから敬意を表して、名誉ある「ザ・ベスト狂人アォード」を与えたい(笑)
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今の時代を生きているならまだしも、この時代にこれだけの事を書けるドストエフスキーも立派な狂人だと思う。この部分は本の最後にある「解説」のドストエフスキー自身の生い立ちを読んである程度は理解できた。自身も壮絶な人生を送っているのだ。
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罪と罰(中)の感想で書いた
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はたして最終巻でドゥーニャとラズミーヒンは結ばれるのか?
そして「殺人者」と「娼婦」は結ばれるのか・・・?
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は最後まで読んでみて下さい。エピローグは読み終えてから「はー・・」としかでないくらいに圧巻だ。ある意味恋愛小説でもあるかもしれない。
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文庫本サイズでも1,000ページを超える大作で、おまけに登場人物も複雑でストーリーが入り組んでいるところもある。
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出来る限り時間を空けずに一気に読んだつもりだが、まだ理解できていない箇所もあって完全に理解するにはあと2、3回は読まないといけないだろう。
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大人になってこれだけのページ数を一気に読む時間を捻出するは大変だ。できれば学生時代、長期連休などにセルフ軟禁にして一気に読むことをお勧めします。
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興味のある方はどうぞー
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