まさかの人生

読書

「まさかの人生」を読み終えた。
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読売新聞連載の「あれから」をまとめた本。有名人、時の人のその後の人生を追っている。
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倒産の理由はいくつかある。本業のゲーム開発で「ぷよぷよ」に続くヒットが生み出せなかった。経理は社員任せで、決済書類はきちんと中身を確認せずに判を押した。社内に大所帯を束ねる力量や経験のある人材はおらず会社の成長戦略もなおざりだった。東京と違い地方では情報も限られる。井の中の蛙だった。
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16年11月、任天堂の携帯ゲーム機用に「にょきにょき 旅立ち編」を発売した。ぷよぷよを進化させ、実力差があっても対等に戦いやすくした。ダウンロード限定販売で約1万本を売り上げた。「お帰りなさい」「面白かったです」SNSに喜びの声が続々と届いた。幼い字で書かれた手紙には千円札が入っていた。
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日本語ワープロソフト「一太郎」が発売されたのは1985年8月28日だった。34歳のときにこのソフトを開発した女性プログラマーの浮川初子さんには痛快な思い出がある。1万円札を同封した現金書留の山、山、山。ネット通販がなかった時代、ソフトの購入代金が郵送で届き金庫に入りきらないほどになった。
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2009年10月、人工授精で双子の男女が生まれた。日本の支援に感謝し、息子をフーシー、娘をアンダオと名付けた。ベトナム語でそれぞれ富士と桜を意味する。障害があったらどうしようと、そうしたドクさんの懸念は今のところ杞憂に終わっている。米国は現在も、枯葉剤と人的被害の因果関係について、科学的根拠がないとする姿勢を崩していない。
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自分の家族には黙っていたが、緊張は伝わっていた。妻の淑子さんは手術当日、子供たちに告げた。「お父さんは今日、とても難しい手術をします。結果によっては大学を辞めることになります。その時はあなたたちも覚悟を決めなさい」
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「反省しなければ前に進めない」。原口さんは辞任前、大麻を吸引した12人に対し、自ら名乗り出るよう求めた。誰も手を挙げなかった。12人全員が不起訴になったこともあり、誰が大麻を吸ったのか曖昧なまま事件が終わった。
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最終的に7ヶ月続いた監視生活の原因は、3年前の旧知の中国外交官との会食だった。北朝鮮の故金日成主席の女婿、張成沢氏の処刑を話題にしたことが中朝関係の秘密を探ったとして間謀罪に問われたのだ。
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接見の弁護士からは「警察は自白を得るため、殺人でも死刑にならないと言って六法全書を見せる」と聞かされていた。この夜、取調室に現れた警察官の手には六法全書があった。警察は本気で私を犯人にしようとしている。
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ある日、芸能活動をしていることが親にばれる。母親は大学卒業までの活動を認めれくれたが条件を出された。「裸でテレビに出ない」。だから、懸賞生活で服を脱ぐよう命じられた瞬間、真っ先に母親の顔が頭をよぎった。
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以上引用です
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ドラマや映画とは違い「こうなったらいいのに、こうなるはず」という思いは見事に裏切られる。
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これがノンフィクションで、厳しくも惹きつけられる部分だと思う。
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中でも印象に残ったのは「日本初の生体肝移植」そして「カンボジアのPKO」。このふたつは泣けた。
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ウォーターボーイズのモデルになった学生は、元々女子にモテたいという動機から始めたそうだ。
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その後映画化され、役者の道に進もうと志すも、監督に「1本だけ映画に関わる人間なんて山ほどいる、君は医者を目指すべきだ」と諭され、その後毎日10時間勉強して歯科医師になる。
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山一証券の件は「しんがり」が面白いです。
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大手新聞は、いわゆるオールドメディアと揶揄されることも多い。
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しかしながら、丁寧に取材を重ね、決められた枠で伝えきる素晴らしい能力を持つ記者はたくさんいる。
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日々毒にも薬にもならない断片的な情報で埋め尽くされ、絶え間なく消費し忘れさられていく時代において貴重な本だと思うよ。
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読み応えがありました。

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読売新聞社会部「あれから」取材班

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