「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」を読み終えた。
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著者はノンフィクション作家でありジャーナリストでもあるマルコム・グラッドウェル氏だ。原題は「BLINK ひらめき」で、文庫版が出ていたので購入。
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[適応性無意識] 一気に結論に達する脳の働きのこと(無意識とは別物)
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医者が医療事故で訴えられるかどうかは、ミスを犯す回数とはほとんど関係がない。そのわけとは何か。それは、医者から個人的にどんな扱いを受けたかである。だとしたら、訴えられる可能性を知るのに手術がうまいかどうかを調べても意味がない。医者と患者の関係さえ分かればいいのだ。(訴えられた事のない外科医は、訴えられたことのある外科医よりも、一人の患者に付き合う時間が3分以上長い)
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よりよい判断を下す方法を学びたければ、瞬時の判断の不思議を受け入れる必要がある。理由が分からないままに分かることはあるという事実を尊重し、そのほうがうまくいくこともあるという事実を受け入れる必要がある。
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「彼女たちには一瞬で分かってしまうんだ。この人のことを気に入るかしら。親に会わせることができるかしら。それともただのくだらない男かしらということがね」
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第一印象は経験と環境から生まれる。つまり第一印象を構成する経験を変えれば、第一印象を生む輪切りの方法を変えられるのだ。
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アメリカの病院では2%から8%の割合で、患者が心臓発作を起こしても家に帰されている。医師が何らかの理由で問題なしと診断したためだ。しかし判断がつきにくい場合、用心しすぎて診察を誤るケースのほうが多い。
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余計な情報はただ無用なだけでなく有害でもある。問題をややこしくするからだ。心臓発作を予測しようとして医者が誤るのは、たくさんの情報を検討しすぎるからだ。
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情報が増えるほど、判断の正確さに対する自信は実際と比べて不釣合いなほど高くなる。優れた判断には情報の節約が欠かせない。
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人が支配的なグループとの肯定的なつながりを選ぶのではない。そうではなく、そのように求められているのだ。周囲では支配的なグループが常に善と結びついている。新聞を開いてもテレビを付けても、そこから逃れられないようになっている。
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[感覚転移] パッケージの緑色に黄色を15%足すと、飲んだ人はライムやレモンの風味を強く感じる。中身は同じなのに別の感覚が転移するようなこと。
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私たちは、あるのもをなぜ好きなのか、あるいは嫌いなのかについてもっともらしい理由を思いつき、本当の好みをその理由に合わせてしまう傾向にある。
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表情を作るだけで、自律神経系に目立った変化が現れるということだ。眉を下げて(4番)上瞼を上げ(5番)瞼を細め(7番)唇をぎゅっと結ぶと(24番)怒りの感情が生まれる。心拍数が10は上がる。両手が熱くなる。感情を切り離して表情を作ることはできないんだ。実に不愉快な話だ。
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あなたが赤ん坊の手を包み込んだら、赤ん坊はあなたの目を見る。顔を見ると答えが見つかると知っているからだ。
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以上引用です
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感想は・・・面白かった!
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普段、ほとんど気付くことのない「無意識のパワー」についてのお話だ。
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例えば、何年も時間をかけてお付き合いをして結婚したにもかかわらず長続きしないケースもあれば、「初対面でビビビと来たんです!」みたいな人が生涯一緒に添い遂げる場合もあるよね。
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つまるところ「意識的な熟慮か、それとも直感的なひらめき」かだ。
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どちらが良いのか一概に言えないまでも、ある程度の体系的に確立されたパターンを教えてくれる。「無意識と意識の間」という感じだろうか。
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第一印象の質を見分けることは経験と情熱で高めることはできるそうだ。
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難しいのは、その「直感」も知識と経験からくるからこそ「ひらめき」になるのであって、そうでなければただの「あてずっぽう」になるのかなと。う、うーむ(笑)
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情報過多の時代はどちらかというと、直感よりも知識に頼る人が多いんじゃないだろうか。
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情報があればあるほど、よりうまく、より賢く、より間違いなく出来ると思い込んでしまう。あまつさえ、人を出し抜けると。
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もう一つ引用させてもらうと
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知りすぎたり、情報の山に埋もれたりすると思いがけず痛い目に遭う。たぶん私たちは情報とその理解を取り違えている。
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その分、無駄な情報も増えて正確な判断が出来なくなるそうだ。上の本にもあった「自我消耗」とも言えるかもしれないね。
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あとね、時間をたっぷりかけて考えに考えた末に出てくる「ひらめき」というのもあると思うな。どちらもうまく飼いならしながら「本能に頼るべき場面とそうでない場面を見分けること」が大切なんだろう。
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シーナ・アイエンガーさんの「選択の科学」が多めに引用されている。少し前の本だけれど、自分も初めて読んだときに衝撃を受けた。こちらもとても面白いです。
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もう少し直感を信じて生きてみてもいいかもしれない(笑)
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読後はそんな風に思える本です。興味のある方はどうぞー
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