「ブラックアウト アメリカ黒人による、民主党の新たな奴隷農場からの独立宣言」を読み終えた。
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著者はキャンディス・オーウェンズさんで、黒人女性の保守系の作家であり政治評論家だ。三人の翻訳者の一人は我那覇真子さんで沖縄生まれのジャーナリストらしい。こちらの方は知らなかった。
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南北戦争の時代から「黒人の敵は民主党」であったことは、歴史的事実として今もまったく変わっていないのだが、現代におけるイメージは180度反対に宣伝されている。「民主党は黒人の見方、共和党は白人至上主義だから、黒人たるもの民主党に投票するのは当然だ。黒人は黒人であるかぎり民主党への投票を継続すべきだ」というナラティブだ。
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最近のニガー(黒人の蔑称)たちの中には分をわきまえない輩が増えてきており、それは我々にとって問題だ。彼らは以前には持っていなかったもの、つまり彼らの傲慢さを裏付ける参政権を手に入れたからだ。だから、我々はこの問題をなんとかしなければならない。彼らに少しだけ何かを与えなければならないが、それは彼らを静かにさせるには十分でも、変化をもたらすには不十分なものにしなければならない(第36代大統領 リンドン・ジョンソン)
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2008年には黒人有権者の投票率に割合が、白人有権者の投票率を初めて上回った。これはリベラル派の巧言に反して黒人の投票権が人種差別によって「抑圧」されていないことを示している。
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不法移民の流入は技能を身につけていない黒人から仕事を奪い、不当に苦しめていること。警察を悪者に仕立て上げ、警察の力を削いだため犯罪が増加したこと。そして、それによって増えた被害者の多くは黒人であること。人種のよる大学へのアファーマティブアクションで黒人を優先的に入学させることや、地域再建投資法のように簡単な条件でお金を借りることができる仕組みは、黒人の助けになるどころか、むしろ害になっていること。事実でありながらもこのような話題が議論されることはないのだ。
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今日の民主党の指導者たちは、黒人たちの置かれている不公平な状況を嘆き、「民主党に清き一票」を投じさえすれば必ず状況は好転するという、あまりにも使い古され、美辞麗句に彩られた希望に満ちた約束をします。この繰り返し行われている彼らの欺瞞に満ちた「約束破りの戦略」が成功しているのは、私たち黒人が彼らの提唱する「被害者史観」を受け入れているからです。
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KKKは民主党の命令を実行するために創り出されたものであり、だからこそ民主党のリーダーがあんなにあくせく動いたのである。
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人はいつも他人の醜さを指摘しようとしますが、それは自分が善良であることを周囲に納得させるための手っ取り早い手段だからではないかと思うことがあります。
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私は黒人が抱える最大の重荷は、彼らの75%が父親不在で育っていることだと思う。この事実は低所得に陥る可能性や、犯罪率や検挙率の高さなどあらゆる面で黒人社会に悪影響をもたらしている。その結果として黒人社会の基盤が弱くなってしまうのだ。
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もし私があなたの息子たちに「君たち、働かなくてもいいのよ。私が、全部面倒を見てあげるから」と言い、あなたの娘たちに「お嬢ちゃんたち、好きなだけ子供を産んでいいのよ。私が、もっとお金を出して面倒を見てあげるから」と言ったとしたら、20年後のあなたの家族はどうなっていると思いますか?教えてあげましょう。あなたの息子たちは働かずに実家で暮らし、娘たちは婚外子を産み、あなたらの家族は非情に貧しくなっているでしょう(ケイ・コール・ジェームズ 黒人初のヘリテージ財団会長)
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性別だけでなく、人種、階層、性的指向などの複合的要素を含む現代版フェミニズムは、一般的に「インターセクショナル・フェミニズム」と呼ばれ、本来のフェミニズムの目標であった男女平等の追求とは何の関係もないものです。
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それにしても現代のフェミニストたちが、自分たちのことを被害者女性であるかのようなイメージを作ると同時に、男性の人生を自由に支配できる法的地位を得ようと努力している、という大きな矛盾を見ることは何と楽しい娯楽に満ちているのでしょう。
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「人種差別の被害者になりたりという欲望」が、メディアによる黒人対白人の分断キャンペーンをさらに深めるために利用されたのです。
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黒人の被害者意識は利益を産みます。それは政治家を当選させ、NAACPのように人種差別を「暴露」(搾取)することを目的とした組織は、黒人の被害者意識を利用して手数料を取るだけで巨額な資金を得ることができるからです。
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私たちの社会が完璧になれるという間違った概念を前提にし、存在しないハードルを作り続け、偽りに満ちた怒りの声を絶えず上げる人々がいます。黒人の中にもそういう人たちは存在し、人種差別の告発という行為自体を社会生活における自分の居心地の悪さの理由づけというか、言い訳として利用しています。自分たちが他の人種と平等な立場にいるということを認めてしまうと居心地が悪くなる人がいるからなのではないかと考えています。
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現在のアメリカにおける黒人の最大の問題は自由です。すべてにおいて発展途上にあり、かつて抑圧されていた彼らは新しい自由を手にすると、まず衝撃と屈辱を感じます。なぜならば、自由は彼らの未熟さと対等な競争力のなさを露呈するものだったからです。自由になったがために、彼らに関するあらゆる醜い固定観念、特に劣等感が本当のものであったと裏付けられのです。しかし、彼らはもはや抑圧されているという言い訳は使えないのです。抑圧が無ければ、劣等感や競争力のなさは自動的に彼らの責任になります。つまり、自由とは屈辱的なものであるだけでなく、圧倒的な責任の重さを伴うものなのです(ハーパー・コリンズ)
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恵まれない人々への配慮は、自分たちができないことをできると勘違いすることとは全く違う。また、人間には本質的な限界がありはするが、それを認めたからといって、その限界ある能力で全力を尽くすことを怠るのとは別の話だ。
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「犠牲者 vs. 抑圧者」という枠に入れて考えることは、特に黒人の若者の精神に悪影響を与えます。結局のところ、あなたの欠点に関してあなた自身には何の責任もない、と言われていてはとても努力する気にはなれないのです。
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教育を受けていない子供は、やがて教育を受けていない大人になり、教育を受けていない大人は、物事を自分の頭を使って批判的に考えるよりも大規模なプロパガンダに支配されやすいということをおそらく民主党はよく理解しているのでしょう。
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BLMの主張に対して、警察が黒人男性を恐れる理由は黒人男性が警察を恐れる理由よりもはるかに高い。そして実際、2015年に警察官が黒人男性に殺された確率は、丸腰の黒人男性が警察官に殺された確率の18.5倍だった。取り締まりに関する世間からの批判や監視と、動画サイトなどを通しての映像の拡散を恐れた警察官が、犯罪者に対して十分な取り締まりができなくなることによって犯罪が増加してしまう(ファーガソン効果)
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共産主義と社会主義の間には、人を奴隷にするという同じ究極の目標を達成するための手段を除いて何の違いもありません。共産主義は力によって人を奴隷にすることを提案し、社会主義は投票によって人を奴隷にすることを提案します。
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神を求めることは、もはや政治的に好ましくないので左派は神を求めません。社会主義の社会を見れば、人々が無神論者になることが、社会主義にとって最も重要な要素であることがわかるはずです。
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以上引用です
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感想は・・・読むしかない!
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自虐史観(この本では被害者史観と書かれている)を脱して、民主党の集票装置と左翼思想から抜け出す術が書かれている。
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一言で言うなら「同胞(黒人)たちよ、自立せよ」という感じだろうか。
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著者は黒人女性でありながらBLMや現代のフェミニズム、アファーマティブアクションを「黒人の未来を奪うもの、自立のチャンスを阻むもの」として統計とエビデンスを挙げて痛烈に批判している。
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左派の自虐史観はアメリカに限らず日本も同じだろう。
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「過去に戦争をした日本は悪い国で、日本人は残虐だ」と繰り返し子供の頃から言われたら、将来自信を持って生きるのは難しい。
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それが楔になって、歩めたであろう自分の人生を歩めなかったり、更にはその「作り出された罪悪感」を利用する輩に搾取されてしまう。
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世の中には「未来永劫、あなたには被害者でいて欲しい」そして「存在している問題を継続させなければならない」と考えている連中がいるのだ。
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つまるところ、良心や被害者意識を食い物にしていると。
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あと自虐からの脱却は未来志向でもあると思う。パールハーバーを奇襲した国と原爆を落とした国が今や同盟国でトモダチだからね。
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過去の反省は大事だけれど、賠償金や優遇措置が逆に被害者を過去に縛り続けている一面もあるのかなと。あれ、話がずれていった(笑)
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「お前は被害者意識という重荷を下ろす準備ができているか?人生というレースを本当に自由に走る準備はできているのか?」(キャンディスさんのおばあちゃんの言葉)
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特に面白かったのは「過剰な文明化について」と「メディアについて」だった。
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FBIの殺人事件に関するデータは、黒人が白人警察官から守られる必要は全くなく、むしろ同じ人種である黒人から守られる必要があることを明確に示しています。
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丸腰の白人が警官に暴力を受けて殺されるほうが、丸腰の黒人が殺されるよりも25%多い。
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普通にメディアから流れてくるニュースをそのまま受けとるだけでは深い部分までは分からない。
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それぞれのキー局が各政党のプロパガンダ装置なら 反対意見を調べてみないと時には危険な思想になってしまうかもしれないね。
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悪名高いジム・クロウ法を経て、黒人が投票権を得てからの投票行動の変遷がよく分かる。
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著者は「堕落してしまった学校制度、家庭での父親不在、勤勉さと自立への道を阻害する福祉制度」が黒人社会を悪くしていると訴えている。
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時間はかかるだろうけれど、先人が血を流して獲得した「投票権」でまた反転させることもできるんじゃないだろうか。
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あとね「著者がもし白人の男性だったら、アメリカ国内で同じ評価を受けれるだろうか」とも考えてしまった。
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タイトルは硬くて難しい感じがしますが、翻訳が素晴らしくすごく読みやすい本です。ぜひ手に取って読んでみて下さい。
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「狂気とはすなわち、同じことを繰り返し行い、違う結果を期待すること」(アルバート・アインシュタイン)
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