「プロパガンダ」を読み終えた。
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初版が出版されたのは1998年で今から約20年ほど前の本らしいが、プロパガンダ(宣伝)の本質が詳細に書かれている良書。この本では「説得」という言葉で置き換えられて使われている箇所が多い。
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プロパガンダの最終的な目的は、受け手がその立場があたかも自分自身のものであるかのように「自発的」に受け入れるようにすることにある。
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自己説得はその導入方法に関係なく、説得法のなかでも最も効果的なものの一つである。
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反復(広告を何度も繰り返させ)、強度(十分な明るさ、大きな音で広告せよ)、連合(広告内容を受け手の経験と結びつけよ)、巧妙さ(その広告を目立たせよ)をうまく使って広告を記憶させる必要がある。
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マスメディアが取り上げる問題と、視聴者が最も重要だと考える問題はある程度一致する。
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憲法は言論の自由も保証しているわけだが、それは混んだ映画館で「火事だ!」と大声で叫ぶような権利ではないのである。
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われわれは「正しい持ち物」を購入するとこによって、お気に入りの著名人のように「なる」。そうすることで自分自身の自我を強化し、自分の不完全さを合理化するのである。
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一般市民は、私たちが想像する以上に原始的である。したがって、プロパガンダは常に単純な繰り返しでなくてはならない。結局、諸問題を簡単な言葉に置き換え識者の反対をものともせずに、その言葉を簡明な形で繰り返し繰り返し主張し続けることができる人だけが世論に影響を与えることができるのだ(ナチの宣伝相ゲッベルス)
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自尊心が高い人のほうが強い恐怖喚起によって行動を起こしやすく、反対に自尊心が低い人は強い恐怖を引き起こすコミュニケーションに接した直後に行動を起こすことが最も少なかった。
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[グランファルーン] 誇りを感じさせるが意味のない人間同士の連帯
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ガールスカウトのクッキー募金運動で、12,000箱のクッキーを売った13才の少女はどうのようにしたのかと尋ねられるとこう答えた。「相手の目をじっと見て、罪悪感を感じさせるの」
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ハルマゲドン教会は「この世は邪悪である」と教える。邪悪な外集団を作ることは二つの面で好都合である。一つは信者たちに集団に属していることを快適に感じさせること、二つ目は集団から離れることを恐れる気持ちを強めることである。
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宣伝効果のほとんどは人々の感情に訴えかけるべきであり、いわゆる知性に対して訴えかける部分は最小にしなければならない。われわれは大衆に対して過度な知的要求をしてはならない。大衆の受容性は非常に限られており彼らの知性は低い。しかし、忘れる能力は非常に大きい。宣伝を効果的にするには要点を絞り、大衆の最後の一人がスローガンの意味するところを理解できるまでそのスローガンを繰り返し続けることが必要である(アドルフ・ヒトラー)
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感想は・・・とても面白かった!
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宣伝がどのように行動に影響を及ぼすか、どうやって悪質なプロパガンダから自分自身を守るか、逆にどうしたら賢く説得できるかがよく分かる。スパムメールからカルトの教祖になる方法まで書かれている(笑)
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かなり分厚い本なので、時間が無ければ第7章の「情報戦略が失敗するとき」だけでも読んでおいて損は無い。後半くらいからナチ党のプロパガンダの例がたくさん出てきて「ヒトラー演説」を思い出した。
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人間は誰でも間違える。
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例えこういう知識があったとしても間違える事もあるだろう。それでもこういった知識は、ステマやフェイクニュースの時代でも持っていたほうがいいと思う。
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社会心理学や行動経済学(ヒューリスティック)、ナチ党の話が出てくるので「行動経済学」や「選択の科学」「ヒトラー演説」あたりを読んでおけばより一段深く読めると思います。
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