「利他」とは何かを読み終えた。
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著者は未来の人類研究センターの「利他プロジェクト」に携わっている5人の共著らしい。伊藤亜紗さんは以前「手の倫理」を読んで知っていた。國分さんの本も読んだことがある。
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合理的利他主義の特徴は「自分にとっての利益」を行為の動機にしているところです。
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効果的利他主義は「私たちは自分にできる(いちばんたくさんのいいこと)をしなければならない」という考え方です。
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「共感から利他が生まれる」という発想は「共感を得られないと助けてもらえない」というプレッシャーにつながる。
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自分自身を、他者を助け問題を解決する救済者と見なすと、気づかぬうちに権力志向、うぬぼれ、自己陶酔へと傾きかねません。
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贈与という現象の最大の問題は負債にあります。物をあげるという行為は同時にもらった側に負債の感覚を与えてしまうのです。つまり、一方に負い目と従属が生まれ、もう一方には権力的支配が発生する。
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与えたことがどこかで自分に帰ってくるという期待を持って行為をすると、どんなに長いスパンや時間軸であったとしてもそれは利己的な利他というものの一部であると考えなければなりません。
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[忘己利他] 己を忘れて他を利すること
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行いによって利他は始まり、沈黙によってそれは定まる。
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利他的な行為には、時に「いい人間だと思われたい」とか「社会的な評価を得たい」といった利己心が含まれています。利他的になろうとすることが利己的であるという逆説が利他、利己をめぐるメビウスの輪です。
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以上引用です
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感想は・・・真の利他とは難しい。
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自分は聖人君子ではなく生粋の俗人なので、個人的には「情けは人の為ならず」という考えが一番しっくりくる。
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別に期待はしていないが、良い事をしたらいずれ自分にも回ってくると思っている。あといがみ合っているよりは親切にしたほうが単に自分が気持ちよく過ごせるからだ。
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その後で例えば良い事が起きても「あのとき、親切にしたからだ」とはそこまで考えないかなー
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見返りを求めない、つまるところ、陰徳をつめるようになるのが一つの理想なんだろう。
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そこは即座の反応(response)が一つの肝になるようだ。これは左脳ではなく右脳で行う親切のことを言っているのかなと。
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もちろんよかれと思ってしたことが実際には大きなお世話だったり、押し付け、そしてこの本にも書いてある「利己的な利他」になりかねない。
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「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」というのも大事なところで、過剰なお金や物を与えることはその人の能力や機会を奪うことになる。この件でグラミン銀行を思い出した。
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独りよがりのエゴで手段を間違えると、結果誰も救えないのだ。
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「目には目を歯には歯を」とハムラビ法典にもあるように、やはり親切にしてもらった人には親切に返したいと思う。
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あれ、メビウスの輪になってきた(笑)堂々巡りだ。
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あとこの本の中で Giving what we can というサイトが紹介されている。居住地、年収、家族構成を入力すると自分が裕福さにおいて世界の上位何%に入るかが表示される。
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そして仮に年収の10%を寄付するとどれだけの薬や蚊帳が買えて、どれだけの人が救えるかも算出される。
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試しに居住地を日本国、年収300万(税引き後の240万を入力)で、一人暮らしで計算すると
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なんと世界の上位7.1%!超富裕層だ!(笑)
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世界の富の半分近くを1%の人口が握っているとは有名だが、それでもすごい数字だと思う。スーパーロングテールの平らになる前だからね。
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仮に10%を寄付すると447個の蚊帳、2,328個の薬が購入できるそうだ。そしてより効率的な組織に寄付できるように設計されている。
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お金に関するあらゆる本にも(良書に限る)収入の5%~10%は寄付しようと書いてあるよね。ちなみに自分は0.3%~0.5%くらいかな。
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あ、こんなことを晒してしまうと陰徳を積めなくなるのだ(笑)
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長くなってしまった・・・興味のある方はどうぞー
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