翼っていうのは嘘だけど

小説

「翼っていうのは嘘だけど」を読み終えた。
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著者はフランス人のフランチェスカ・セラさんだ。本屋をぶらついていたときに偶然見つけて購入。
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「きれいな子だ」と言うか、何も言われないかのどちらかだ。女の子を形容するための他の言葉はない。「機転が利く」「快活だ」「自主性がある」「粘り強い」「しっかりした考えを持っている」などの長所は気づかれることさえない。
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エル プラネタ
「エル プラネタ」を見終わった(U-NEXTで399円) . . 破産寸前の母が暮らすスペインの田舎町に帰ってきた駆け出しのデザイナー・レオ。親子は崖っぷちに追い込まれながらもSNS映えする暮らしを目指してぎりぎりの日々を過ごしていた。そんなある日、2人はロンドンから来たという雑貨屋の店員と出会う(U-NEXTより) . . ラストが「えーー!」だった(笑) . ...

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人は一人でいる人間を避ける。まるで伝染病を持っているかのように一人でいる人間に距離を置き、それをなんとも思わない。一人でいる人間は悪癖の持ち主だと疑ってかかり、排除を正当化する。誰とも一緒にいないということは、偶然の出来事とはみなされない。
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悲劇というのは時に巧妙な役割を果たすものだ。悲劇は、人々の心の奥底で眠っていた激しい感情を呼び覚まし浄化する。これ幸いと、皆がいっせいに感情を --- だが抑制された形で --- 表出するのだ。こうしておけば、長期にわたって我慢してきた人々の感情がそれぞれ好き勝手に悪いタイミングで噴出するのを避けることができ、そのせいで社会が危機に陥るのを避けることができるのだ。
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絶対音感を持つ音楽家が、曲の中に巧妙に組み込まれた秘密の音を聞き分けるように、ラファエルは人工の靴底がその場できいきい軋む音も、うわべだけの行為が崩れ落ちる音も、なんとか飲み込んだ唾がごくりと喉を通る音も、集団的偽善の風がいっせいに吹く風も、すべて聞き取ることができた。
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砂の女
「砂の女」を読み終えた。 . . あらすじを読んで面白そうだったので購入。 . 著者は東京大学医学部卒で芥川賞受賞者でもある安部公房さんだ。恥ずかしながら、読むのが初めてどころか名前すら知らなかった。 . . ■ . . 寝苦しかった。女の気配に耳をそばだてながら、あんなふうに大見得をきってみせたりしたのも、けっきょくは女をしばりつけていたものへの嫉妬であ...

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いずれにしても、ガランスの人気曲線は、ガランスのブラジャーのカップサイズと比例して上がっていった。こうしてスアドは、徐々にガランスに対する影響力を失っていった。
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二人と同じ匂いがした。表面の薄っぺらい皮をはぐと、その下には別の薄っぺらい皮があらわれ、さらにその下にも延々とそれが続いているタイプだ。
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子どもというのは、誰でも自分がある種の免責特権を持っていると信じているものだ。それは、親は必ず自分のことを許してくれる、という強い確信であってあらゆる罪悪感をしのぐ。どんな罰を受けようとも、この確信が揺らぐことはない。罰は親子の交流であるとさえいえる。恐ろしいのはこの交流が絶たれること、つまり、大人の側の愛が冷めてしまうことだ。
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スマホ脳
「スマホ脳」を読み終えた。 . . 著者はスウェーデンの精神科医。前作の「一流の頭脳」(未読)は日本でもべストセラーになったそうで、著者の本はこれが初めてだ。 . . できるだけ長い時間その人の注目を引いておくにはどうすればいい?人間の心理の弱いところを突けばいいんだ。ちょっとばかりドーパミンを注射してあげるんだよ。 ショーン・パーカー フェイスブック元CEO  ....

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「なんでもありなんです、政治危機であろうが、自然災害であろうが、戦争であろうが。なんでもミームにしてしまうんですよ。あるいは子どもや障害者も対象になります。大統領でもローマ教皇でも、ミームの対象から逃れることのできる人はいません」
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膨大な数の自分の写真、女優のカラー写真、友だちの白黒写真。友情の証、愛の証、ひねくれた根性の証はいったいどれだけあるのだろうか?
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小さな資本家である彼らは、こうした映像に価値があること知っている。自分の値打ちを上げるためには目立つことが必要なのだと知っている。アルゴリズムはより多くの「いいね!」を集めた投稿を上にもってくる。ページの上にあるほど、より人の目に留まりやすくなる、絶滅の危機に瀕している動物でさえ、その利益が守られるためには「いいね!」が必要だ。アマゾンの森林の樹木でさえ、誰も「いいね!」をつけなければ消滅してしまうことだろう。
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僕らはそれに抵抗できない
「僕らはそれに抵抗できない」を読み終えた。 . . 依存症と言うとタバコやビールなどの「物質依存」を思い浮かべるが、最新のテクノロジーから現在の依存症である「行動依存」について詳しく書かれている。訳も素晴らしくとても読みやすい。 . プロローグを読んだだけで「次のページをめくりたい衝動に抵抗できない」レベルの良書(笑) . ■ . どれだけハッシュタグをクリックし...

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いったい何人がこのことを知っているのだろう?明日は何人が知ることになるのだろう?
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人間は欲情をそそるために食べるのをやめてそのせいで死ぬこともできるし、脂肪で内臓器官を詰まらせてそのせいで死ぬこともできる。
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母親が自分に言っていたことは嘘だと分かった。男の子の背中につかまってスクーターに乗っている女の子は不死身なのだ。
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皮肉のレベルは無限ではない。まず、もう他人を笑わせようとせず、自分だけが笑うことのできるユーモアの段階に到達する。その後は、他人から理解されることさえ求めない段階にたどり着く。次の段階は人を傷つけることだ。さらに次の段階、そのまた次の段階へと進む。だが、そのうちに、それでは満足感が得られないことを漠然と感じるようになる。それでも進み続ける。そのかいあって分かってくることがある。これまで傷つけてきたのは実は自分自身だけだったということに気が付くのだ。
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どうして彼女がいなくなったか知っているかと尋ねてみる。彼らは首を横に振って答える。知らない、と。もちろん彼らは知っている。彼女はいなくなったのではない。彼らが追放したのだ。
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THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す
「THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す 」を読み終えた。 . . 「GIVE & TAKE」や「ORIGINALS」の著者であるアダム・グラント氏の最新作だ。ファンです(笑) . . . ■ . .  獲得と凍結。答えを獲得するとそれを保持しようとする欲求。 . . 他人の見解であれば、私たちは目ざとく再考の必要性を指摘す...

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お騒がせ娘は魅力的だ。皆が羨み、真似をし、SNSをフォローする。だが近づきすぎると火の中に投げ入れられる。火は燃え続けなければならないからだ。学校じゅうを席巻する噂の火を絶やさないようにするために、彼女たちはつねに燃えるものを探している。
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SNSを実際の知人グループ間で使うにしても匿名の場で使うにしても、孤独を恐れ、繋がりを求めるがゆえに徐々にその世界に対する依存を強めることになり、依存すればするほど、それはより「リアル」なものになる。
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以上引用です
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面白かった!
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現代版「若者のすべて」といった感じだろうか。結構長い(笑)
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つまるところ、ソーシャルネイティブのリアルだ。
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フランスで最も権威ある新聞「ル・モンド」紙が主催する文学賞の「ル・モンド文学賞」作品らしい。中身はなんと700ページを超える長編で、時間軸が過去と未来を行き来しながら進んで行く。
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主人公のガランス・ソログブは容姿端麗な15才の少女だ。
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無限のパワーが漲って、根拠なき全能感を備え、無為に刺激を求め退屈を糾弾する誰もが通ってきたであろう人生のゴールデンタイムだ。
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友だち幻想
友だち幻想を読み終えた。 . . おそらく思春期くらいのティーン向けの本だと思うけど、40代でも学ぶところはたくさんあった。 . 自分は、人見知りで口べたでできるだけ目立ちたくないくせに、それでも内心では誰かと話しをしたいし、自分の事を分かってほしいと思う相反する気持ちもあるというなんとも厄介な性格だ(笑) . ■ . ・ 幸福のモメント1 自己充実自分が能力を最...

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デジタルは時や場所を越えて瞬時に世界中と繋がれる素晴らしい技術だ。不特定多数が見守るスクリーンの向こう側へ、誰もが口をすぼめて斜め上から撮った奇跡の一枚をアイデンティティとしてお披露目できる。
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一方で、ささいな過ちが終身刑になってしまうことでもあるよね。
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バタフライエフェクトよろしく、何気ない投稿が意図せぬ結果に変わってしまう。
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若気の至りで体に入れた墨を消すよりも、グーグルの検索結果からタトゥーを消すほうがはるかに難しい。
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ちきりんの「自分の意見で生きていこう」から
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自分の意見で生きていこう
「自分の意見で生きていこう」を読み終えた。 . . ちきりんさんは好きで若い頃からずーっと読んでいる。この「~してみよう」シリーズも全部読んでいてその最新作で、完結作のようだ。 . . . ■ . . 意見には「正しい意見」なんて存在しません。「間違った意見」もありません。あるのは私の意見、彼の意見、あの人の意見、などだけです。 . . もし「...

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「承認してもらうべき対象 = 自我」が確立していないと多くの人から承認を得ることはできない。
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若者は年配者のことを「古い、時代遅れ」と批判するように、年配者は「今の若者は」と溜飲を下げる。
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この構図が面白いのは、今の若者もいずれ年を重ねて批判される側になるだろうし、年配者も若いときは何かしら目上の人を批判していただろう。
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どちらかを選ぶとしたら、いがみ合っているよりはお互い気持ち良く過ごせたほうが建設的なんじゃないかな。アルバイトでも結構思うところがある(笑)
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ティーンならではの同級生との苦悩、大人との世代間相違、そしてクジラことソレーヌとの見た目の齟齬をうまーく織り交ぜているなと。
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承認欲求の呪縛
「承認欲求の呪縛」を読み終えた。 . . ■ . 承認欲求の呪縛に陥るのは、認知された期待と自己効力感のギャップが大きいとき、すなわち「期待の大きさを実感をしている一方で、それに応えられる自信がないとき」だそうだ。 . 自分もブログのアクセス数が増えると単純にうれしいし、コメントがあれば記事を読んでくれた人に返信したくなる。何かしらアウトプットしている人は少なからずそんな...
絶対悲観主義
「絶対悲観主義」を読み終えた。 . . 著者は楠木建さんで「ORIGINALS」や「THINK AGAIN」の翻訳と監修をされている方だ。 . . 名前は知っていたが、本を読むのは初めてだった。 . . ■ . . こと仕事に関していえば、そもそも自分の思い通りになることなんてほとんどありません。この身も蓋もない真実を直視さえしておけば、戦争...

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物語の後半は、アオハルから純文学めいたミステリー小説にがらっと趣が変わるので驚くと思う。そしてそのままラストまで突っ走る、はー。もう700ページほど続きそうな感じだった。
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翼の翼
「翼の翼」を読み終えた。 . . 朝比奈あすかさんの本を読むのは初めてだった。 . 帯に、おおたとしまささんの推薦文がある。 . この人の本は「ルポ塾歴社会」「ルポ東大女子」を読んだことがあったので、お受験と塾の闇の知識は多少あった(どちらも面白いです) . . ■ . . 学年のはじめに教科書が配布されると、国語の教科書の中の物語を最初の日にぐんぐん...

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最後に少し長いけれど、一番刺さった件を引用させてもらう。
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世間は自分たちの世代をバカにしたり、非難したりするかもしれない。だが、前の世代だって、彼らが自分たちの特徴だと思っていたものは幻想に過ぎなかった。こうなのだ、こうありたい、と自身を投影していた幻想に過ぎなかったのだ。過去の世代には戦争があり、宇宙征服があり、カウンターカルチャーやロック、エレクトロミュージック、ハードドラッグがあった。そして自分たちの世代にはSNSがある。きっと次の世代も同じようにしていくのだろう。新たな彼ら自身のやり方で、自分がかりそめの取りに足らない存在であるという感覚から逃れようと試みるのだろう。当然のことながら、今インターネット上で自らの幸福をひけらかしている者たちはばかではないし、それを感心して見ている連中もお人好しではない。誰もがルールに則って役割を演じているだけだ。誰だって端役にはなりたくない。主役を張ろうと機をうかがっている。そうして自分を誇示し陶酔感に浸りながらも、だが何かうまくいかないと誰もが感じ始める。
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個人的に、ティーンほどリビドーとプラトーが絶え間なくやってくる期間は無いと思う。楽しまないと損だよね。あ、適切に(笑)
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限りある時間の使い方
「限りある時間の使い方」を読み終わった。 . . 著者はオリバー・バークマンという方で、元ガーディアンの記者でありライターだそうだ。この人の本は初めてだった。 . 訳者の高橋璃子さんは「エッセンシャル思考」「エフォートレス思考」「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」「ブロックチェーン・レボリューション」などの翻訳もされている方だ。 . . 訳者の...

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「流行とはひとつの醜さの形であり、とても人を疲れさせるので三ヵ月ごとに変える必要がある」オスカー・ワイルド
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翻訳もとても素晴らしく読み応えがありました。
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フランチェスカ・セラ

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