「僕らはそれに抵抗できない」を読み終えた。
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依存症と言うとタバコやビールなどの「物質依存」を思い浮かべるが、最新のテクノロジーから現在の依存症である「行動依存」について詳しく書かれている。訳も素晴らしくとても読みやすい。
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プロローグを読んだだけで「次のページをめくりたい衝動に抵抗できない」レベルの良書(笑)
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どれだけハッシュタグをクリックしてもその先がある。まるで有機体みたいに独り歩きを始めて、やがて人間はハッシュタグに執着し出す(インスタグラムのエンジニア)
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問題はユーザーが意志薄弱という点ではなく、スクリーンの向こう側にあなたの自制心をくじくことを生業とする人間が大勢いることが問題なのだ。
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[行動嗜癖(behavioral addiction)] 何らかの悪癖を常習的に行う行為。
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アメリカで育つ子どもの多くが最初にデジタル世界に出会うのは、親が「そこにいるのに、そこにいない」ことに気付いたときだ。
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ただ弱いから依存症になるわけでない。倫理観が欠如しているからというわけでもない。全員とは言わないまでも、多くの場合はただ不運だったことが原因なのだ。
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脳の耐性がつくにつれドーパミンを生成する領域が休業状態になり、ハイとハイの間にやってくるローの度合いが深くなる。もう過剰な刺激がこなければその領域が働かないのだ。
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依存対象を欲しがる依存症患者の多くはその対象を全く好きではない。
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客が負けたとき、失った金額のうちごくわずかな金額が自動的に「マーケティングボーナスポット」として別枠でプールされます。機械のアルゴリズムはこのプール金の貯まり具合から、客の気持ちが離れるタイミングを事前に察知するというわけです。
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タイム誌は「頭を使わない無意味な作業」にのめりこませるという理由で、このゲーム(ファームヴィル)を史上最悪の発明ランキング上位50件に含めた。
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試練と、その試練をちょうどぎりぎりで克服する能力、その二つが組み合わさった状況のとき人は強烈な持続的な幸福感を感じるのである。
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第1の要素は没入感だ。ゲームの中に入り込む感覚があること。第2の要素は達成感で何かを成し遂げている感覚があること。そして第3の要素はこれが一番大事なのだが、社会的要素があることだ。
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[苦労の接種効果] 電話番号を覚える、何をすべきか考えるなど頭を働かせる経験をしていると病気の予防接種と同じように、のちのちの精神的苦難に対して免疫ができるという考え方。たとえば読書は予防接種になる。本を読むのはテレビを見るより難しい作業だからだ。
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ゲーミフィケーションに共通する3つの要素は、ポイント制であること、バッジがあること、そして上位に入ったプレイヤーを発表するランキング表があることだ。
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以上引用です
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知っていた話もいくつかあるが、それでもとにかく面白いエピソードがたくさん出てくる。
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ラブマティカリーはインスタグラムのフィードに流れてくる写真すべてに自動的に「いいね!」をつけるアプリだそうだ。
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「いいね!」がデジタルドラッグだとすれば、このアプリを使えば無料でドラッグが流通することになる。
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このアプリの開発者がダウンロードを許可したわずか2時間後に、インスタグラム側からこのアプリをシャットダウンされたそうだ。
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インスタグラムがドラッグの売人なら、この開発者はそのドラッグを無料で配る新参者というわけだ。
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あと目標依存症のアメリカ人がクイズ番組をハッキングした話や、ウェブコミュニティのレディットが仕掛けたボタンの話は特に興味深かった。
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まさに「やめられない止まらない」だ(笑)
「意志」とか「決意」ほどあてにならないものはなく、必要なのは習慣でその習慣をつくる環境だ(行動アーキテクチャ)一時的な気持ちの高ぶりだけで悪癖を辞めることは難しい。これは語学や運動など何か良い習慣を続けたいときにもあてはまると思う。
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人はたいてい怠け者だ。
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自分もツイッターもみるし、ゲームもするし、甘い物も食べるがこういう知識があってするのとしないのとでは長期的に見てかなり違ってくるだろう。
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高校生の読書感想文はもうこれでいいんじゃないかと(笑)
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アプリやプラットフォームは依存症になるようにデザインされているということは知っておいて、それを知ったうえで利用すればいい。若いうちに身につけておくべき知識だと思う、オススメです。
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