「限りある時間の使い方」を読み終わった。
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著者はオリバー・バークマンという方で、元ガーディアンの記者でありライターだそうだ。この人の本は初めてだった。
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訳者の高橋璃子さんは「エッセンシャル思考」「エフォートレス思考」「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」「ブロックチェーン・レボリューション」などの翻訳もされている方だ。
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訳者の本のほうが読んでいるという(笑)
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われわれに与えられたこの時間はあまりの速さで過ぎていくため、ようやく生きようかと思った頃には、人生が終わってしまうのが常である。
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生産性とは罠なのだ。効率を上げれば上げるほどますます忙しくなる。タスクを素早く片付ければ片付けるほど、ますます多くのタスクが積み上がる。
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仕事の量は、完成のために利用可能な時間をすべて満たすために膨張する。
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すべてを完璧にやるためのテクノロジーは、結局のところ、やること全てのサイズをどんどん大きくする。だからそれは常に失敗する運命なのだ。
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「ほかにも価値のある何かを選べたかもしれない」という事実こそが、目の前の選択に意味を与えるのだ。これは人生のあらゆる場面に当てはまる。例えば結婚に意味があるのは、その他の相手を全て断念して目の前の相手にコミットするからだ。
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「もっといい人がいるはずだ」と密かに思いながら、中途半端な相手と交際を始めることは明らかに妥協だと誰もが認めるだろう。でも、決まった恋人を作らないこと、理想の相手に出会うためにマッチングアプリで10年間相手を探しつづけることも、やはり一種の妥協である。つまりいつまでも先に進めないという残念な状況に甘んじているわけだ。
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例えば自由というのは、必ずしも自分が完全に裁量権を持っていることを意味しない。時にはコミュニティのリズムに合わせたほうが自由になれることもある。いつ何をするかを自分で決められない、そんな他人まかせの状況に身を置いたほうが、大きな自由を感じられるのだ。
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「スイカに輪ゴムをかける動画を40分も見てしまった。私の人生って一体・・」
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[アテンション・エコノミー] 人々のアテンション(注意・関心)に値段が付けられ、SNSなどのコンテンツ提供者がそれを奪いあっている状態のこと
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僕たちが利用している無料のソーシャルメディアは実は無料ではない。そこではあなたは顧客ではなく商品だからだ。僕たちはただの燃料であり、シリコンバレーの炎に投げ込まれた丸太だ。注意は個性を剥ぎ取られてデータの貯蔵庫に投げ込まれて企業に使いつくされる。画面の向こうで1,000人があなたの注意を引こうと待機しているのだ。
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単に邪魔が入るのではない。人は邪魔を自ら望んでいる。忙しすぎるとか注意散漫だというのは言い訳にすぎない。本当は、ただ読書には時間がかかるという事実を受け入れたくないだけだ。
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あなたの人生とはすなわち、あなたが注意を向けたあらゆる物事の総称である。人生の終わりに振り返ったとき、そこにあるのは注意を向けたことたちであって、それ以外の何ものでもない。くだらないものに注意を向けるとき、僕たちはまさに人生の一部を削ってそのくだらないものを見ているわけだ。
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待つことに対する耐性の低下はあらゆるところに現れている。計算によると、アマゾンのトップページの読み込みが1秒遅れるだけで、年間16億ドルの売り上げが失われる。
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退屈がつらいのは、単に目の前のことに興味がないからではない。退屈とは「物事がコントロールできない」という不快な真実に直面したときの強烈な忌避反応だ。
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心の安らぎと解放は、承認を得ることからではなく「たとえ承認を得ても安心など手に入らない」という現実に屈することから得られる。
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人生の残りの週が少なくなるほどに、その減少速度も加速していくように感じる。もっとも説得力のある説明は、脳が一定時間に処理する情報量の減少だ。脳は情報量の多さで年月の経過を測っているため、新しい情報が入ってこないと、あっという間に時間が過ぎたと感じられる。
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人はみんな、様々な目標を達成しようとして、日々を過ごしている。まだ達成されていなければ欲望が満たされないので不満である。一方、すでに達成されてしまった場合も、追い求める目標が無くなってしまい不満である。いぜれにせよ、人は不幸なのだ (ショーペンハウアー)
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以上引用です
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いい本だった。
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過度な生産性を否定しながらも「ひたすら、ゆるーく生きよう」に振り切ってないところがよかった。
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人生は平均すると4,000週間ほどしかないそうだ。その限られた時間をどうやって費やすかは、どう生きるかということだよね。
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ありとあらゆるライフハックと最新のガジェットを身にまとい、効率とタイパを最大限に高めてモダンタイムスのように生きることもできれば、快楽と放蕩に耽って、日々退廃的に生きることもできるだろう。
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人の幸せはそれぞれなので正解はない。
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その最適なバランスを見つけることも、また人生の醍醐味なのかなと。年齢によっても変わってくるだろう。
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経験上、忙しすぎるのも辛いけれど暇すぎるのは耐えられない(笑)
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誰もが時間を大切にしたいのは同じじゃないかな。いつまでも若くないし限りある人生だからね。個人的には、ダラダラする時間を作ってダラダラして、ぼーっとする時間を作ってぼーっとしたい(笑)
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つまるところ、意図的な選択で過ごしたい(そんなうまくはいかないけれど)
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あとね、もちろん何かを達成するのもいいんだけれど、活動そのものを楽しめるようなものがあると人生に張りができると思う。
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同時通訳者にならなくても語学は楽しめるし、世界チャンピオンじゃなくても運動は楽しめる。
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終わりが無いからね。
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この本「死にがいを求めて生きているの」から
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無人島に行って、やっと、何かを成し遂げた人になれたんでしょうね。人間本来の意味なんて、普通の暮らしの中で見つけられるのに。命の使い方なんて、生きがいなんて、どこにいたって感じられるはずなのに。
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もう一冊「お探し物は図書室まで」から
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お金を貯めて、会社を辞めて、場所を見つけて商品を揃えて、いつか、いつか。----- いつかって、いったい、いつのことなんだろう。
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そして最後にもう一つ
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人は金を稼ぐために健康を犠牲にし、健康を取り戻すために金を犠牲にする。また、未来を心配しすぎるあまり現在を楽しめない。その結果、現在を生きることも未来を生きることもできなくなっている。そして、自分の命が永遠に続くかのように日々を漫然に生き、真の意味で生きることがないまま死んでいく (ダライ・ラマ14世)
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自分の生き方について何かしらヒントをもらえるんじゃないだろうか。そんな印象でした。
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興味のある方はどうぞー
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