移動と階級

読書

「移動と階級」を読み終えた。
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面白そうだったので購入。この人の本は初めて。
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国際移住者は推定2億8100万人、紛争や暴力、災害その他の理由による避難を余儀なくされた国内避難民の数は1億1700万人にも達している。移民の経済活動は世界全体のGDPの1割に相当しておりこれは、アメリカや中国の割合に次ぐ大きさである。
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現代においては空間的な移動や、社会階層を上昇するといった移動をめぐる「移動性への妬み」が存在すると指摘する。背景には人生がうまくいっていると感じられるためには、その人が「どこかに向かっている」と前進している感覚が不可欠であるという現代の状況がある。つまり、他人と自身の移動を比較して生じる妬みや羨望は、人生のコマが順調に前に進んでいる感覚、もしくはそこからの離脱感とも関連する可能性がある。
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移動はアントレプレナーシップを高めるというよりは、移動は「高度人材」のアントレプレナーシップを高めるのであり、移動がイノベーションを生み出すというよりは移動が「高度人材」のイノベーションを生み出すのである。
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宮崎駿の初監督作品「ルパン三世 カリオストロの城」で描かれるスリリングなカーアクションは見事であり、巨匠スティーブン・スピルバーグ監督が「完璧なカーチェイス」と絶賛した。
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2024年に日経新聞が全国の首長を対象に行った調査では、人手不足を背景に6割以上が自らの地域で「移民を受け入れたい」と回答、6年前の調査で3割前後にとどまっていた職種別の受け入れ意向が2023年には6~7割に増え多数派を占めるまでになっている。
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女性が自動車事故に遭った場合は、身長、体重、シートベルトの使用の有無、衝突の激しさなどの要素を考慮に入しても重症を負う確率は男性より47%高く、中程度の障害を負う確率は71%も高い。これらの要因の一つは、安全性能に関する基準が長年にわたりドライバーとしての男性の体形だけを想定してきたことにある。
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全世界の中で飛行機に乗る人はわずか11%である。さらに、過去1年以内に海外に渡航した人はなんと4%だけである。アメリカで53%、ドイツでは65%、台湾では66%の人たちが航空サービスをまったく利用していないというのがリアルで、日本で過去数年間に一度も飛行機を利用していない人は53%にものぼる。
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地球温暖化の25%以上は、人、食品、モノの石油をベースとする移動から起きていて、世界の温室効果ガス排出量に対する観光の関与は推定8~12%である。
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個人の移動をめぐる自由や権利を大きく制約する正義は、押し付けがましく持続性もない。
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[関係人口] 移住でもなく観光でもなく、特定の地域に継続的に関心を持ち関わる人々。
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私たちは無意識のうちに「その集落を離れたくない人は、何とかその集落を維持させたいし、何が何でも離れたくない」と思ってしまう。しかし、語りから見えてきたのは、集落がなくなる未来も暮らしの限界も誰よりも冷静に認識し、移動できなくなったら終わりだと理解している姿だった。
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以上引用です
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移動格差とは「人々の移動をめぐる機会や結果の格差と不平等、それが原因で生じる様々な社会的排除と階層化」という定義らしい。
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初めて聞いた言葉だ。
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世の中には飛行機で世界中を飛び回り、なんなら宇宙まで行く人がいる。その一方、マイルドヤンキーのように生涯地元で過ごす人もいる。
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全員に同じ機会なんて与えられないし、与えられたとしても移動を拒む自由があるのも資本主義だ。
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つまるところ「移動なんて個人の自由だし、好きにすればいい」と思ってしまう。
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しかしながら、平和な国に住んでいると実感しにくいけれど、戦争や災害で故郷を移動せざるを得ない人(消極的移動)そして中国のように政治的な要因で地方から都市部への移動が厳しく制限されている場合もある。
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古くはベルリンの壁、イスラエルとパレスチナを隔てる巨壁もそうかもしれない。
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資本主義の次に来る世界
「資本主義の次に来る世界」を読み終えた。 . . 著者はイギリスの経済人類学者で、欧州グリーン・ニューディール諮問委員もつとめているそうだ。面白そうだったので購入。 . 原題は LESS IS MORE. How degrowth will save the world でこの人の本は初めてだった。 . . ■ . . 研究者たちは、陸上昆虫の数が10年ごとに...

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一番分かりやすいのが経済的格差が移動格差になり、さらに体験格差に繋がるパターンじゃないだろうか。
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旅行好きじゃなくても、一度外の世界を体験してみるのは貴重だと思う。
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今の時代、体力さえあれば大金は必要ない。
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成功するチャンスが増えるというよりは、こちらの常識が通じない世界を痛感できるのが大きなメリットだと思うな。
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ちなみにグーグルの移動データはすごいね。スマホを持って移動しているだけで自動でログを取り、頼みもしないのにマップ上にアリバイを作ってくれる。関係ない話でした(笑)
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ノマドランド
「ノマドランド」を見終わった(U-NEXTで550円) . . 企業の倒産と共に長年住み慣れた町と家を失った女性ファーン。彼女は1台の車に亡き夫との思い出を詰め込み、現代のノマド(遊牧民)として車で旅をし労働現場を渡り歩くことを選ぶ。ファーンはノマドたちと心の交流を図りながら旅を続ける。 . . 感想は・・・良かった。 . 一番心に残ったシーンは、主人公のファー...
グリーンブック
「グリーンブック」を見た(U-NEXTで550円) . . 1960年代のアメリカで、白人の運転手男性と黒人の天才ピアニストが黒人差別の最もひどいサウスを二人でライブツアーに回るお話。 . ■ . 感想は・・・めちゃくちゃ良かった! . ネルソンマンデラ、キング牧師、マルコムXと黒人の偉人のお話はたくさんあるがそれと同じくらいに素敵な話だった。 . 映画の...
マイスモールランド
「マイスモールランド」を見終わった(U-NEXTで1,100円) . . 幼い頃から日本で育った17歳のクルド人・サーリャ。ある日、家族の難民申請が不認定となり、これまでの日常が一変した。埼玉に住むサーリャは、進学のため父に黙って始めたバイト先で出会った、東京の高校に通う聡太と自由に会うこともできなくなり(U-NEXTより) . . 公式サイトによると、埼玉県には2,0...
西洋の自死
「西洋の自死」を読み終えた。 . . 著者はジャーナリストのダグラス・マレー。随分長い間カートに入れてあってようやく読めた。 . . ■ . . うまく行くという振りを装ってきた。この程度の移民は正常なものだと。また仮に一世が欧州の文化に同化できなくても、二世や三世が同化するかもしれないと。さらには移民が同化しようがしまいが問題ではないと。いずれ行き詰まる可能性の方が...

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最後に印象に残ったところを
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「移動で多くのことを見て経験して視野が広くなっているはずなのに、なぜ『移動しないの?早くすればいいじゃん』というような態度を取る視野が狭い人間になってしまうのですか?」と質問された。理由は、メリトクラシーと生存バイアスにより失敗した経験を脇において、自身の成功した経験のみを基準に判断してしまっているからだ。
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そしてこの本「死にがいを求めて生きているの」から
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死にがいを求めて生きているの
「死にがいを求めて生きているの」を読み終えた。 . . ■ . 朝井リョウさんの新刊で、かの有名な「桐島、部活やめるってよ」でハマってしまい「何様」や「何者」も読んだ大好きな作家の一人だ。 . ゲームの「428」のように個人のストーリーがそれぞれあって、読み進めていくうちに登場人物が複雑に絡み合っていくという構成になっている。 . はっきりいって天才だと思う。自分...

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無人島に行って、やっと、何かを成し遂げた人になれたんでしょうね。人間本来の意味なんて、普通の暮らしの中で見つけられるのに。命の使い方なんて、生きがいなんて、どこにいたって感じられるはずなのに。
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行きたい場所にいつでも行けますか?
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自分の移動を自分で決めて、実行できますか?

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