「絶対悲観主義」を読み終えた。
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著者は楠木建さんで「ORIGINALS」や「THINK AGAIN」の翻訳と監修をされている方だ。
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名前は知っていたが、本を読むのは初めてだった。
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こと仕事に関していえば、そもそも自分の思い通りになることなんてほとんどありません。この身も蓋もない真実を直視さえしておけば、戦争や病気のような余程のことがない限り、困難も逆境もありません。逆境がなければ挫折もない。成功の呪縛から自由になれば、目の前に仕事に気楽の取り組み、淡々とやり続けることができます。GRIT無用、レジリエンス不要、これが絶対悲観主義の構えです。
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若者の最大の特権は、時間があることでも、未来の可能性があることでも、体力があることでも、頭の柔軟なことでもありません。「まだ何者でもない」ということです。
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僕が直面している問題はむしろ逆でありまして、いかに偉くならずヒラ教授のままでいることを追い求める闘争です。これを私的専門用語で「黒い巨塔」と言っています。
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人は「幸福になる」ということと、「不幸を解消する」ということを混同しがちです。不幸になる要因をどんどん潰していけば幸せになれるかというとそんなことはありません。その先にあるのはただの「没不幸」です。
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マクロ他責の鬱憤晴らしは悪循環の起点にして基点です。そのときはちょっと気が晴れるかもしれませんが、繰り返しているうちにどんどん不幸になっていきます。
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自分を客観視する。世の中での自分を俯瞰して見る。具体的なことごとの背後にあるものを抽象化して本質をつかむ。ようするに知性です。何よりも自分の経験と頭と言葉で獲得した価値基準を持ち、精神的な自立と自律を保てているか。つまりは教養です。
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ゴルゴ13は究極のブランデッドの体現者です。SNSを駆使したブランディングに余念がないゴルゴ13には仕事を頼む気にはなれません。
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いろいろな情報を収集して、このサプリメントがいいとかこれは効かないとか、日常の生活習慣でこれはやってはいけないとか、やたらと知識豊富な人がいます。これはこれで不健康だという気がします。
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全員から受け入れられるということはあり得ません。ネット上で罵倒されることもしばしばです。そのうち、罵倒されるのが面白くなってきました。被虐趣味ではありません。「あ、こういう人からちゃんと嫌われている」という確認ができる。これが仕事にとても役に立ちます。
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人間に関心があるということと、実際に人と会って交流を深めるということは別ものです。その点、読書は人物を深く知ることができるのに実際に会わなくてもいい。面白くなければ、すぐに読むのをやめればいい。これが読書のいいところです。
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友達というのは偶然性、反利害性、超経済性という条件を備えた人間関係である。
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以上引用です
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感想は、めちゃくちゃ面白かった!
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自分は性格も暗く、どちらかというと悲観的なのでとても共感できた。
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ほとんどの人は「うまく行かないと思っていて、やってみたらうまくいった」というパターンが一番うれしいんじゃないかな。
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「うまく行くと思っていて、うまく行かなかった」が最悪のパターンとあるけれど、そもそもペシミストにとってうまく行くと思えることはない。
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つまるところ、
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「うまく行かないと思っていて、やってみたらうまくいった」
「うまく行かないと思っていて、やってみたらうまくいかなかった」
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の二択で、どちらも逃げ道が確保されているので思い切りチャレンジできると。これが悲観主義者の基本的なストラテジーだ(笑)
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この辺の思考は、内向的か外向的という性格、気質にも関係があるかもしれない。
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デューク東郷の言葉を借りるなら「利き腕を人に預けるほど俺は自信家じゃない」といったところだろうか。
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さらに言えば利他にも少し似ているかなと。
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見返りを期待せずに、あくまでも自分のためにやる。もしお礼を言われたら、それはそれで良しみたいな。これはちょっと違うか(笑)
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著者の自伝、人生論のような本でもあると思う。読みながら途中で、日経新聞の「私の履歴書」のような感覚にもなってきた。機知に富んでいてユーモアがあり、文章がとても面白かった。
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特に「初老の老後」はゲラゲラ笑わせてもらった(笑)高峰秀子さんの大ファンということはよーく分かった。
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あと「痺れる名言集」がとてもよかった。これだけ博識な方が刺さる言葉というのはやはり唸った、うーむ。たくさんメモさせてもらいました。
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そんな名言集の中から3つほど引用させてもらうと
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「ギャンブルは二度とやらない。賭けてもいい」 賭博で捕まったときの蛭子能収さんのコメント
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「言ってわかる人には言わないでもわかる。言わなきゃわからない人には言ってもわからない」高峰秀子
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「他人の幸福をうらやんではいけない。なぜならあなたは、彼の密かな悲しみを知らないのだから」ダンデミス
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ね、うなるでしょ?(笑)
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興味のある方はどうぞー
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コメント
うなりますねーw
蛭子さんの、たぶん本人は無自覚な
でも満点なコメントが好きですー
高峰秀子さんのエッセイはずいぶん読んだのです。
凛としてて気風が良くて美しくて…
文章が先で、遡るように色々な映画をみました。
加工されていない真の美しさ、俳優陣の素晴らしさ、
重厚な演技力、モノクロの世界etc…
いやぁー映画って・・・と何度も思いましたよw
この著者は高峰秀子さんの大ファンなのですね。
さっそく読み物リストに入れました(^^)ふふふ
うなってくれてうれしいですw
蛭子さんの魅力ですよねー
記者会見はトランプ柄のセーターで挑んで欲しいですw
実はですね、この本を読むまで高峰秀子さんは知らなかったんです、はは・・
銀幕スターで大女優なんですね。著者は大ファンだと思いますよ。
ウンカスさんもお気に入りの女優さんだとお見受けしました。
よかったら読んでみてくださいね。
トランプ柄のセーターw
いや、私も自分さん同じく高峰秀子さん?
全然知らなかったんですwあはは
エッセイ読んで検索して映画みて…、へぇーー
こんな大女優さんだったんだー?と認識しました(^^ゞ
高峰さんきっかけで見始めた昔の映画は、今は大御所といわれる
俳優さん達が溌剌と演じられていて、高峰さんに限らず、
みな美しくてカッコよくって…、ちょっと衝撃でした。
その中でも、ひときわ輝く銀幕スターだったのでしょうねー
この関連記事に「大家さんと僕」がありますが…
続編の「大家さんと僕 これから」はご覧になりましたか?
ちょうど執筆中に大家さんとのお別れが訪れたようで
矢部さんは葛藤しながらもその部分も描かれています。
が、大丈夫ですよ!
1冊目の感想で「湿っぽいのは…」「賑やかなのが好きだわ」
と仰っていた大家さんの意を汲んで、矢部さんが素敵に
仕上げています。こちらもとても良かったですよー
えーーー、そうなんですか!
わたしと同じでしたねw
そこから、高峰さんのエッセイを読んで映画を見られたんですね。
なんて好奇心でしょう、恐るべし・・ウンカスさん。
今は昔の映画も、家でポチッと見ることができるので便利な時代ですよね。
(著者はたしか一回りほど年上だったと思います)
ウンカスさんも「大家さんと僕」読みましたか!
実はですね、続編はまだ読めていないんですよ。
何かの記事で読んで、大家さんが亡くなられたのは知っていました。
あのほっこり感がすごく好きでした。またチェックしてみますね。
「舟を編む」見ましたよーw
ウンカス、興味をもったものは探求し、興味がないものには
まったく針が振れないという特性がありますw
知識に偏りがあるのは自覚してますが、これはもう
子供の頃からなので仕方ないと悟っています(^^ゞへへへ
舟を編む、キターーーー!!!!(^ω^)
くぅぅぅーー、
いろいろ言いたい!w