「未来は決まっており、自分の意志など存在しない。」を読み終えた。
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タイトルに惹かれて購入。著者は心理学者で専門は知覚心理学だそうだ。この作者の本を読むのは初めてだった。
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意志や意識というのものが後付けで「最も遅く」、身体や脳がそれよりも先んじているということだ。脳、身体の情報が十分に高められ、最後の最後で「意志」で決めたという幻想が生まれるのである。
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この世にはありとあらゆる「多数派 - 少数派」の対立がありうる。どんな人間でも常に多数派であり続けることはできないはずである。だからこそ少数派を無下に扱う、否定するということは自分自身のためにも、決してしてはけないことだと私は思う。
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外的な刺激が全く異なる非モテの人間が、どんなにモテる人の行為を否定し、非難したとしてもある種の無責任さがある。想像を超えた環境の違い、つまり刺激の違いから生じる行為の違いは意志の力を超えているのだ。
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[サバン症候群] 芸術や数学など特定の分野に圧倒的な能力を発揮する一方で、全体的な脳の処理能力が一般的なレベルにない脳の個性を持った人たち
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[非風非幡] あるお坊さんが風にはためくのぼりを見て「のぼりが動いている」といった。別のお坊さんは「いや、動いているのは風だ」といった。また別のお坊さんは「動いているのは、のぼりや風ではなくあなた方の心だ」といった、世界とは私の心のことだと(禅問答)
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[同担拒否] 同じ推しのファンと絡みたくないという心性。
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我々は、物体から離れて情報として永遠にこの世界に漂い続ける権利を得始めている。
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制作物は、鑑賞されることがなければ意味の場に立ち現れない。鑑賞者は製作者と共同で作品の意味を生み出すのだ。
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以上引用です
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感想は・・・面白かった!全部は分からなかったけど(笑)
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この本のサブタイトルにもなっている「心理学的決定論」とは
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この世は全て事前に確定しており、自分の意志は幻影だ。
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という概念?考え方らしい。
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タイトルだけみると眉唾物の与太話かと思うかもしれないが、漫画やアニメ、映画などのサブカルのお話も絡めながら読み進めていくうちに少しずつ外堀を埋められていく。
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意志があるかどうかは分からない。ただ意志が当てにならないのは確かで、それよりも環境に大きく左右されるのは間違いない。
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小さいときに、テレビでテレビのCMが流れているのを見ながら「このテレビのCMのテレビで、テレビCMが流れてその中でまた・・・」なんて事を考えたことがあったなー(笑)
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この心理学的決定論を信じるかどうかはさておき、とても学べる本だと思う。個人的に橘玲さんの匂いもするなーと感じた。
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あと好きだったのはこの件だ。
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生まれつきのお金持ち、生まれつき頭が良い、生まれつき顔が良い。どう頑張っても全ては運命で決まっておりそこの努力の余地はない。逆に言えば、今社会を動かしている強者も犯罪者も実際にはごくごくわずかな差しかなく、それはただの運命でしかない。だから、社会の強者を尊敬せず弱者も蔑まない。そして自分は全ての努力を放棄する。この考え方には一理あるのかもしれない。だが、しかし、わたしはこういった「受動態ニヒリズム」をすすめない。
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せめて人生の半分くらいは、自分の自由意志で選択していると思いたい。
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最後にこの本から
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脳の各部分(神経細胞など)の働きを理解したところで、脳そのものの働きは永久に理解できない。
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面白かったです、興味のある方はどうぞー
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