[11] 若いリーダーに煽られる2

アルバイト

リーダーはとにかく作業が早い。
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あっという間に棚のレイアウトを変更してそこへ品物を配置してしまう。さすが社員で若くしてリーダーまで上り詰めただけある。
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この日は品物が置いてある棚の配置を変更して、スペースを作ってそこに品出しをするという作業をリーダーと一緒にしていた。
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まず、バックヤードから目的の商品をカートに山積みにして売り場まで引っ張ってこなければならない。どんなに軽い商品でも山積みにするとかなり重くて、自宅に届くアマゾンの箱レベルじゃないのだ(笑)
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リ 「自分さん、じゃぁこれとこれをずらして、あれとそれをそういうかんじで配置してみましょう」

自 「は、はい」
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慣れてないのもあって、すぐに作業に移れずどうしても頭で考えてしまう。リーダーの冷たい視線を背後に痛いほど感じる。
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リ 「難しいことは考えず、手を動かせばいいから」

自 「は、はぁ」
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そうは言われても、頭の中ではテトリスとぷよぷよと涙の倉庫番スペシャルがぐるぐる回っている(笑)
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とにかく必死で体を動かして、目的のレイアウトまでの完成形を目指す。終わった頃にはエアコンの効いた店内でも汗だくになる。
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リ 「・・・」

自 「・・・(汗)」
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終始自分の作業を見ていたリーダーは、デューク東郷のように厳しい顔をしたまま何も言わない。「用件を聞こうか・・・」とも言ってくれない。後ろに立っていなくてよかった。今度はイヤな汗が先ほどの汗に加わる。
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その後、バックヤードに戻ってリーダーが口を開いた。簡単にまとめると「自分の給料は夜間で高いから、もっと体を動かして働け。そうじゃないと契約更新が怪しくなる」ということだ。
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自分はアルバイトで、しかも試用期間の身だ。契約更新されなければ問答無用で即刻クビなのだ。トランプ大統領の You're fired が聞こえてくる。
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確かに言われていい気分はしなかったが、同時にきっとリーダーも上から厳しいノルマを課せられて、限られた工数で数字目標を達成しなければならいんだろうと思うと、雇う、雇われるということ自体がイヤになる。
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そのほかに会話で印象的だったのは
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「昨日も仕事が忙しくて全然寝てない」
「朝6時から出て、夕方に仮眠してからまた仕事に戻ってきた」
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と言っていた。
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本当のことなのか、ただのオレってすごいだろアピールなのかは分からない。でもアルバイトの自分にこういう愚痴をこぼすくらいだから、きっと社内でこういう話ができる人がいないのかもしれない。
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この若者は身を削ってまで何のために働いているんだろう。
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