いつものように気だるさ満点でバックヤードに入ると、チワワさんがいた。どうもシフトが変更になったらしい。
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自 「お、おつかれさまです」
チ 「今日は、新しい作業を教えます」
自 「は、はい・・・」
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客観的に見れば、中年フリーターが一回り以上は下の女性から作業指示を受けるというなんとも悲壮感漂う光景の出来上がりだ。
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詳しい中身は言えないが、ノートパソコンを使ってある指定された数値を変更するという作業だった。店独自のソフトウェアで、インターフェースにデザイン性のかけらもない退屈な仕様だったけどチワワさんが横で教えてくれるなら話は別だ（笑）
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チ 「まずは、この項目をクリックしてこうしてから、こうします」
自 「は、はい」
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物覚えの悪い周回遅れの小汚いおっさんにも、敬語でとても丁寧に分かりやすく教えてくれる。とてもきれいな字を書くし、言葉の節々から育ちの良さが分かる。ほんとできた子だなと思う。
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「チワワさんから言われた仕事は、しっかりとこなしたい」この一心で普段取らないメモすらもとって「無いやる気」を絞り出して、密かに忠誠心を全面に醸し出していたのは内緒だ。
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その様はまさに飼い主に忠実な犬、いや老犬だ（笑）
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おそらくTABキーやショートカットキーを使えばもっと早く作業できるだろうと思ったが、そういう余計な事は一切口にはしない。
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アルバイトはただただひたすらに言われた通りにこなすだけだ。むしろ何も分からないふりをするくらいがちょうどいいと思う。
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二人で横に座りながら1台のノートパソコンを作業をしていたので、そんなに視線を合わせる必要がなかったが、返事をするどさくさに紛れてちら見すると「赤ちゃんのようなつるつるな肌」と「ヘアモデルのようなサラサラな髪の毛」を装備していて、すでに以前の「ヨルハ二号B型」とは別物のニュータイプになっていた。
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ゲームで例えるならDLCのみのスペシャル版だ。
もういっそのこと、ポッドで撃たれたい。
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