「団地のふたり」を読み終えた。
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著者は藤野千夜さん。この人の本は初めてだった。イラストも可愛い。
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日本中に欲しい人がひとりいればいい、というのは、素敵なシステムだと奈津子はたびたび思った。いくら売れそうにもないものでも、世間で誰かひとりくらいは興味を持って探してるかもしれない。ひとりだけいればいい。そのひとりに届けばいい。
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中学生のころから通っているけれど、ホットケーキの味はずっと変わらない。折り紙付きのおいしさだった。まず口あたりがさくっとしている。ホイップバターを塗ったくって、そこにたっぷりのシロップをかける。
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「ダメダメ、五十なんて、ここじゃまだ小娘よ」
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フリマアプリの売り上げで買った、コンビニのパン、「粗びき全粒粉入りミニバゲット」を使ってしゃっきりレタスと、カレー味に和えたツナマヨ+ピクルスをそのバゲットに挟む。マグカップにティーバッグの紅茶を入れ、お気に入りのレトログラスに紙パックのトマトジュースを注げばランチの完成だった。
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以上引用です
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もともと幼馴染みだったふたりが、数十年後に団地で再会。
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社会経験のバックグラウンドは違えど、お互い独身で好みや性格をよーく分かっている。
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焦らず、がっつかない、ゆるーい生活にほっこり。日常の何気ない幸せ、何も起こらない幸せだろうか。いいよね。
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特に奈津子のオークションの件に共感(笑)とてもとてもこれだけで生計は立てられないけれど、うまーい感じで売れたら嬉しいよね。
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近所のコミュニティや、団地内の程よい(ときには濃い)繋がりを楽しみに変えられるのが年の功なのかも。
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半世紀ほど生きたからこそ見えてくるものもあるんじゃないかな。
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あとね、何度か出てくる食事の描写がいちいち素敵。
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とても優しい、心穏やかになる小説でした。
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