「人間」を読み終えた。
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又吉直樹さんの新作で、帯を見ると毎日新聞に連載されていたものを一冊の本にまとめたものらしい。ちなみに前作の「火花」は読んでいない。
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*これから先はネタバレの可能性があります。
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「凡人Aの罪状は自分の才能を信じていること」
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「永山に嫉妬するとき、俺は自分の時間を振り返ってみるんだよ。馬鹿みたいに飯食って、寝てたなとか、恥ずかしくて狂いそうだよ。俺のこと豚って呼んでいいよ」
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他者の行動に動揺させられるということは、自分に対して期待しているということにほかならない。
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「あなたの才能のせいで、僕は傷ついてますよ、って伝えるわけにもいかんしな」
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自分が把握している自身の記憶なんてものは、やはりほんの一部分でしかなく、おなじ人生であったとしても、どの点と点をむすぶかによって、それぞれ喜びに満ちた物語にも暗澹たる物語にもなり得るのかもしれないとおもった。
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以上引用です
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感想は・・・心地がいい話ではない(笑)
おそらく太宰治、人間失格へのオマージュもあるだろう。
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影島道生に自身を投影して、そのアバターを客観的に主人公の永山になりきって俯瞰しているように感じた。又吉さんの本はこれが初めてだったが、やはりとても頭がいい人だなと思う。
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一方で、影島とナカノのやり取りなどは少し冗長かなとも思った。あと意図的なのか人物が話の途中でコロッと変わるところが何度かあるので、そういうところも楽しめる人は面白いだろう。
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「人間失格」とドストエフスキーの「罪と罰」(未読)が話の途中に出てくるので、両方読んでおくとより一層深く読めると思います。
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