「ミセス・ノイズィ」を見終わった(U-NEXTで399円)
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夫と娘と共に引っ越してきた小説家の吉岡真紀。スランプ中の彼女は、隣人の若田美和子による騒音と嫌がらせに悩まされ、執筆も家族との関係もうまくいかず、心の平穏を奪われていく。そんななか、真紀は美和子を小説のネタに書くことで反撃に出るが・・
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天野千尋監督が「争いはなぜ起きるのか」をテーマに、隣人問題から始まるSNS炎上やメディアリンチなどの社会問題を描き、常識や正しさとは何かを観る者に問う衝撃作(U-NEXTより)
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感想は・・・深い。
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こんなに深い映画だと思わなかった。
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見ているうちに「あれ、おれは今どちら側についているんだろう?」と思考がクルクル回り出す(笑)まるでだまし絵のようだ。
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クリックベイト(釣り記事)のキャッチーなタイトルだったり、都合よく記者会見の一部をすっぱ抜いたり、動画のおいしいところだけ強調したり、そういうことに対する警鐘を鳴らしたかったのかなと。
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どれだけ物事の断片を見ても全体像は分からない。
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ある程度は自分の時間を費やさないと、物事全てが誰かのフィルターを通したものになってしまう。それはそれでラクなんだけど、本当は疑問に思ったり響いたりする箇所は100人いたら100通りあるんじゃないかな。
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この本から
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情報化社会が悪いのではない。周囲に流されることは、判断しなくてもよい、考えなくても良い、ただみんなについていけば迷子にならない、自分だけ損をすることはないという気楽な状態であり、生き方として省エネなのだ。
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もう一つこの本から
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憲法は言論の自由も保証しているわけだが、それは混んだ映画館で「火事だ!」と大声で叫ぶような権利ではないのである。
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宣伝効果のほとんどは人々の感情に訴えかけるべきであり、いわゆる知性に対して訴えかける部分は最小にしなければならない。われわれは大衆に対して過度な知的要求をしてはならない。大衆の受容性は非常に限られており彼らの知性は低い。しかし、忘れる能力は非常に大きい。宣伝を効果的にするには要点を絞り、大衆の最後の一人がスローガンの意味するところを理解できるまでそのスローガンを繰り返し続けることが必要である(アドルフ・ヒトラー)
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あと受け手側にも課題はあるだろうね。
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最後にこの本から
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俺、分かったんだ。今の時代、百万人の世間が断罪しても十万人の信者がいればその中で生きられる。どんなに非道な行為でも大勢の人前でやればそれはパフォーマンスになってファンがつく。どれだけ炎上したとしても、情報量が多い今すぐに全部が有耶無耶になる。どこもかしこも埋め立て地。都合よく上書きし放題だ。
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確かに、誰でもどんなことでも発信できるようになったのはすごいことだと思うよ。古いしきたりやルールがなくなって既得権益が揺るがされて爽快ですらある。でもそれって、誰からもどんなことも受信しちゃうってことなんだよね。発信はすっごく多様化して誰でも色んな方法を学べるけど受信するときに気をつけるべきことって全然学べない。古いルールはなくなったけど、新しいルールは追いついていない。
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キャストは相変わらず誰も分からなかったので、見終わった後で公式サイトを見ていた。みなさん演技が素晴らしかったです、すごい!
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個人的にはあのキャバクラ嬢のセリフが良かった。おそらくこの人は言わないであろうセリフをさらっと言うシーンがある。
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あ、こういう考えがもうステレオタイプなのだ(笑)
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とても面白かったです。
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コメント