「香君 上 西から来た少女」を読み終わった。
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著者は上橋菜穂子さんという方で、恥ずかしながら知りませんでした。上下巻になっていてその上巻だ。
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カシュガ家には、ふたつの系統がある。ひとつは、オアレ種の稲をこの世にもたらしたという伝説の忠臣を祖先にもつ名家、旧カシュガ家。もうひとつは、あるとき、そのカシュガ家に次男として生まれ、長じて後、革新的な農政によって帝国の富を飛躍的に増やし、一代の英雄となったマキヤ=カシュガが新たに興した新カシュガ家である。
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帝国を豊にし、帝国の安定を支える、そういう役割を担わされた自分には、もはや、ひとりの女としての幸せは望みえないことを、香君はみな、十代にして思い知るのだ。
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お日さまの光を独り占めして立つ木は、幸福そうに見えても、周りと繋がりを断たれて吹きさらしの中で、ひとり生きていかねばならない。本当は寂しいのかもしれないわね。
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君もよく知っているように、その米を食べることは出来ても、収穫した稲籾を種籾として使うことは出来ない。種籾として蒔いても芽は出ない。だから人々は毎回帝国から支給される種籾を蒔かねばならない。--- オアレ稲は豊かさだけでなく従属ももたらすわけだ。
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以上引用です。
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感想は・・・早く続きが読みたい!
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最初の100ページほどは、物語に中々入っていけなかった。
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登場人物も多く、このストーリーの地名、固有名詞などもある。それでも、そこを超えたあたりからオゴダに至るまでは没頭して読みふけった。
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まずね、オアレ稲からは悪名高いモンサントの遺伝子組み換え種子を思い出した。
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詳しくは上の本をどうぞ。自分の感想と一緒に少し引用すると
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遺伝子組み換え種子とネオニコチノイド農薬をセット販売して、作付後は雑草を枯らすためにグリホサート除草剤がかけられる。
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ネオニコチノイド農薬が残留した餌を食べたハチは帰巣本能を失い群れが崩壊する。ハチの死骸の92%からネオニコチノイド農薬が検出されている。
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遺伝子組み換え種子と農薬のセット販売は特にあくどいと思う。
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遺伝子工学で1年しか発芽しない種子を作って、その種子が自社製品の農薬にのみ耐性を持つように遺伝子を組み換える。そしてこの種子にのみ効く除草剤もセット販売する。するとその農地では遺伝子組み換え以外の種子は作付けできなくなるというもはや悪魔の所業だ。
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こういうことが特にアフリカで行われているんだよね。さらにUNHCRなどの援助物資と一緒に「無償」で送り込まれているからタチが悪い。
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香君の生まれ変わりを13歳の娘から選出する件は、チベットの風習でこいういうのがあった気が・・あれはなんだったかな?忘れた(笑)
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特に印象に残ったのは、タクとアイシャとオリエでオアレ稲の肥料のテストをするシーンだった。
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タクはアイシャの本物の抜きんでた嗅覚を分かっていたから、畑でオリエと会わせたくなかったんだよね。
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つまるところ、オリエにとって偶像が偶像と思い知らされる瞬間だ。
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そしてアイシャもまた、彼女が偽りの立場で苦しみながら日々生きているのを分かっていて心痛していると。
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このときの二人の感情を想像して胸が苦しかった、はー
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続きをおくれ!(笑)
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