「カッコいい」とは何かを読み終えた。
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カッコよさの歴史、似た言葉のクール、ヒップ、ダンディズム、モッズなどとの比較など、音楽やファッション、戦争などからカッコよさとは何かを追求した「カッコいい」に関してお腹一杯になる本。
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カッコいいの条件とは
・魅力的(自然と惹かれる)
・生理的興奮(しびれるような体感)
・多様性(一つの価値観に縛られない)
・他者性(自分にはない美点を持っている)
・非日常性(現実生活から解放してくれる)
・理想像(比類なく優れている)
・同化・模倣願望(自分もそうなりたいと自発的に感じさせる)
・再現可能性(実際に憧れていた存在のカッコよさを分有できる)
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「カッコいい」対象は多様であるので、何にしびれるかというのは自分がどういう人間であるのかを、その都度快感とともに教えてくれる。
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「カッコ悪い」人間が、表面的な「カッコよさ」を通じて実質的に「カッコいい」と認識されることを目指すように、ナチスの「カッコいい」制服はナチス自体を「カッコいい」と感じさせる危うさを常に孕んでいる。それこそが「カッコいい」制服をデザインする意味だからである。
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本がいかに「カッコいい」存在への憧れを喚起し、その認識を深めさせ情報を広く一般に普及させていくかは、出版不況が嘆かれる今日こそ見直すべき事実である。
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「カッコいい」人を探すというのは自分探しである。誰を「カッコいい」と思うかこそが私たち一人一人の個性となる。
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体験だけでは不十分である、その核には体感がなければならない。色々なことを体験させられながら全く鳥肌が立つ瞬間が無ければ、単に疲れるだけだし不満が残る。
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以上引用です。
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感想は「カッコいい」ものは他のものを「ダサイ化」することでもあると思った。インターネットや多様性が今ほど無かった時代は、新商品を売ったり(特にファッション)新たにブームを作るときに自らをダサイ化してカッコいいもの作りだして大量に消費させるモデルが成り立っていた。
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今の社会は、以前よりは多様性が認められていて消費もロングテールで、少数派や古いモデルをダサイ化するほうがダサイというか差別になることすらあると思う。女性でもかっこいい人はたくさんいる。
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男女問わずカッコいい人は魅力的だ。
理屈ではなくしびれるようなカッコよさがある。
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ちなみに自分がかっこいいなと思う女性は、アナウンサーなら井上あさひさん、プロ雀士なら黒沢咲さんだ。これはどうでもいい(笑)
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前半は小難しい話も多いので、読む時間が無い人は第10章だけ読んでもいいと思う。
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あと全然関係ないけどボードレールが引用されている部分がたくさんあって、漫画の「悪の華」を思い出した。あの漫画は傑作だった。
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