「世界でいちばん透き通った物語」を読み終えた。
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夏に本屋の一角に設けられる「夏休みは小説を読もう」みたいなコーナーがとても好きだ。小説が読みたくて購入。ジャケ買いと帯買い(笑)
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二人とも本の虫だけれど守備範囲が重ならない。というのは程よい親子関係だった。相手の趣味ではない本を薦め合い、面白さが分からないと文句を言われ解説する、そんな適度な距離感。
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僕も書店員なので、死人をだしにしたこの会話を薄汚い儲け主義だと責められない。有名作家の死去は拡販のチャンスなのだ。
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「ただとにかく、自伝みたいなのとか過ちの反省とか償いとか、そういうつまらないことは書いてほしくないかな」
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「やり方は2つありました。一つ目は「春琴抄」と同じようにページを文字で埋めて空白をなくす。でもこれは谷崎潤一郎のような文体ゆえに許される方法ですし、なによりも燈真さんが「春琴抄」の文章を詰め込みすぎで読みずらかったと言っていたのですよね」
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勝手な男だったのだ。これまでに話を聞いてきた人々全員の見解は、一致していた。勝手で、わがままで、純粋な --- 小説家だった。読み手の心を躍らせるミステリを書くことしか考えていなかった。
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以上引用です
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すごーーい!
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えーーー!
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物語は各章が20ページほどで、とてもテンポよく進んでいく。
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ページ数が少ない(240ページほど)のもあるかもしれないけれど、冗長な部分が全くない印象だった。
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主人公の藤坂燈真は、愛人の子供なんだよね。その作家の愛人が残したであろう遺稿をめぐって、大きく人生が展開していく。
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生物学上の父親である宮内彰吾が「人を殺しかけた」のはおそらく燈真を堕ろそうしたんだろうなと、そして深町霧子が何かしらのキーパーソンなんだろうなと。
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そういう部分ではほぼ予想通りだった。
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でも・・・
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そういう事じゃないんだよね。
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キャラの心情がどうこう、トリックが云々などよりも伝えたい思いが込められている。ちなみに自分は205ページ目で気付いた。
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え?・・・もしかして・・・
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まさか・・・
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・・・
・・・
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えーーー!(声が出た)(笑)
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つまるところ、DXならぬAX(アナログ・エクスチェンジ)だ。
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上梓するには並外れた労力が必要だったのは間違いない、すごいよね。
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ミステリ小説であるだけでなく、読者を驚かせてくれる新しいエンタメ小説でもあると思う。
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そして作品自体が著者の感想にもなっているのかな。ぜひ手に取って帯の意味を知って欲しいな。
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読めてよかったです「ありがとう」
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コメント