この夏の星を見る(上・下)を読み終えた。
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本屋の「夏休みに小説読もうぜ」みたいなコーナーをぷらっとな。
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作者は辻村深月さん。
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最初、間違えて下巻を買ってしまった。新たに上巻を買いなおして読了。
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レジでしおりがもらえて、夜空のしおりを選択。小説に合いますな。
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亜紗はもともと、すぐに言葉が出てくるタイプじゃない。その場で気の利いたことを言える瞬発力が高い同年代の子もたくさんいるけど、LINEでもゆっくりと時間をかける方だ。だから今も、文章で来てたら何か気の利いたことを返せたんじゃないかと考えてしまう。
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島で最初から暮らしていると、星を見ることも、島の名所とされる場所を巡ることも、改めて時間を取ってまでしてみようとは思わない。あまりに自分の日常とだから、ということもあるけれど、もっというなら照れみたいな気持ちからそうなっている気がする。今更すぎてわざわざやれない、というか。
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男子と自転車の二人乗りなんて、清涼飲料水のCMか何かにしか存在しない世界だと思っていた。あまりにも青春っぽすぎて、想像するだけでくらくらする。
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「趣味っていうと軽く聞こえるかもしれないけど、案外、人生を豊かにするのはそういう役に立たないところにある興味や好奇心なんだよ。オレだってそうだ」
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言葉と裏腹に、泣きべそをかいたウサギのスタンプが入る。ウサギの背後にある文字はなぜか、Thank you だ。
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「コロナがあったから失われ、でもコロナがあったから出会えたこともある。どちらがよかったのかなんて葛藤をあの子たちが持たなきゃならないことがもどかしい。本当だったら、経験は経験で、出会いは出会いのまま何も考えずに飛び込んでいけたはずなのに、そうじゃなかったことが」
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本心で嫌がったり、不満に思ったわけじゃないけどなんとなく口にしてみんなでダルい、いやだ、と盛り上がる。いや、盛り上がるってほど盛り上がりもしないのに、なんとなくそうしてしまう場面に、凛久自身、これまで覚えがあった。この人たちも今回、そうだったのだろう。それを凛久たちが聞いているなんて思いもしないから、言葉通りただなんとなく言ってしまったのだ。
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人間万事塞翁が馬。思いがけない方向に進んだ道が、振り返ると大切な経験になっていたこともあります。それは決して最初から望んでいたことではなかったかもしれないけれど、後から振り返った時に必要な経験だったと感じることがあります(山崎直子)
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以上引用です
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めちゃくちゃよかった、感動!
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帯を見るとすでに実写で映画化されているようだ。
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ぜひスタジオジブリに映画化して欲しい。
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この物語と生成AIも吐き出すアノ絵柄がすごくすごくマッチすると思う。それ以外はイヤ!(笑)となりのトトロを超えてくるよ。
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コロナ過の厳しい時期に、バックグラウンドが異なる中高生が悩み、考え、共に成長する姿が印象的で大人が学ぶこともたくさんあった。
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特に亜紗や凛久、真宙たちの心がモヤっとする描写が好きだったな。
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自分が学生の頃、文化部は今でいう陰キャ、根暗でオタクな人が入るイメージだった。
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運動部とは違い地味な活動に成りがちだけれど「何か面白そう、好きかも」という気持ちは何よりのモチベーションだ。
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将来、たとえ職業にできなくても生きる上での大きな強みになると思う。
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巻末にある宇宙飛行士の山崎直子さんの解説も素晴らしかった。
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最後に印象に残ったところを
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「いやー、そりゃ、泣くでしょ。青春ですから」
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くー、夏に読めてよかった。
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読むしかないっす。
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