いつものように、しけたツラとへっぴり腰を引っさげてアルバイトに行くと「賃金改定のお知らせ」と書かれた紙が貼られていた。
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「こ、これは・・・」
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「ご、ゴクリ・・・」
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普段は頭がすっからかんのくせに、こういうときだけは頭の回転がすこぶる速い。瞬間ブロックチェーンのハッシュすら解けるくらいの勢いだ。なめてもらっちゃ困るのだ。
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つまるところ、最低賃金の改定に伴って時給が上がるようだ。
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キター!(笑)
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実は2年前にも一度時給が上がったことがあって、これで2度目になる。
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[41] じ、時給が上がった!
今日もいつものように死んだコオロギのような目をしてバックヤードに入るとハイリさんがいた。もうすでに帰りたくてしょうがない。
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ハ 「おつかれさまです。自分さん、雇用契約書が置いてあるので書いて持って来て下さい。」
自 「は、はい」
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自分は生粋の「やんごとなきアルバイト」だが、最初の入社時に雇用主と雇用契約書を交わしている。雇用契約書には時給や...
[42] じ、時給が上がった!(2)
雇用契約書が入っている封筒を開けて中を見てみた。
書類を手にとり血眼になって「時給」の欄を探す。
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時給・・・
ジキュウ・・・
JIKYUU・・・
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時給30円アップ!
さ、三十円・・・
今はもうビックリマンチョコすら買えない(笑)
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つまり今まで時給1,060円だったのが1,090円に上がる。
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いくら上がるんだろう?
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今はもう直属の上司、鬼軍曹ハイリさんはいない。
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監視の目をかいくぐる必要は無いが、そこはアルバイト、悲しいかないつもの癖で忍び足でそろりとパソコンまで行きログインする。
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赤い彗星ハイリさん
元日からアルバイトに駆り出された。
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凍えるような寒さの中、凍てつくバックヤードを歩いていると薄暗い通路の向こうに何か赤い物体が蠢いているのが見えた。
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・・・?
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・・・
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シャ、シャア!!?
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・・・
違う!
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なんとハイリさんが髪の毛を赤く染め上げていたのだ。
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その額なんと
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2円!(笑)
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にえん?
ニエン?
NIEN?
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どれだけ目をこらしても、スクリーンには非情にも「2」という1バイトがぼんやりと表示されている。どこからどう見ても2円、2ドルでも2ユーロでも2BTCでもなく2円だ。
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とどのつまり、80時間労働で160円のベアということだ(笑)
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[45] 日曜祝日は時給が上がるらしい
最近は祝日ばかりだ。明日も即位礼正殿の儀で祝日らしい。
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悲しいが時給で働く非正規アルバイトには関係ない。むしろ日祝日はイベントや客が増えて鬱陶しいし、おまけにハイリさんも怖いし出たくない。
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先日細木さん(バイト先のおばちゃん)に
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細 「ねぇ、日曜と祝日は時給が上がるのよ、かといって出たくはないけどね~、ガハハ!」
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自 「そ、そう...
時給1,090円で命を危険に晒す男
マスクを洗ってみた。
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一応、この動画を参考にして洗ってみた。
布マスクじゃなく使い捨てマスクなので効果は分からない。それでもやらないよりはいいだろうし、付けないよりはマシだろう。洗っているときにふとスヌーピーに出てくる言葉を思い出した。
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You play with the cards you're dealt.
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「配られたカードで勝負するしか...
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おそらく法令に触れる黒のゾーンからグレイを超えて、髪の毛1本くらいギリギリ白に重なる金額が2円だったんだろう。
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逆に言えば「1円じゃないのが良心的」ともいえるかもしれない。
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2円といえば、1円のものが2つ買えて、2円のものが1つ買えて、10,002円の買い物にそっと添えれるバカにできない金額だ。
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ありがたき幸せ!下がらなかっただけ良かったな。
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