「ホワイトカラー消滅」を読み終えた。
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問いのある仕事、正解がある仕事において、圧倒的な知識量、論理力、スピード、昼夜働く力に人間は勝てない。残るのは自ら経営上の問いを立て答えの選択肢を創造し決断する仕事、すなわち「ボス仕事」だけである。そこで必要になる人員数は現状の中間管理職よりも一桁少なくなるはずだ。
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火曜から木曜まで休業し、金曜日から日曜日まで営業するホテルや旅館も出てきている。稼働させるときは単価の高いお客さんを入れる。そのほうが結果的に儲かる。週に4日であれば労働者も確保でき賃金も上げられる。質の高い労働者、すなわちアドバンストな人材を確保できればオペレーションに問題も生じない。
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ありがちなのは、せっかく地域で評判の商品を開発したのに、東京をはじめ全国の有名百貨店に出店したとたん、ローカル版という希少性を失い衰退していく展開だ。規模拡大を追って付加価値と希少性を失うパターンだ。
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少子化で学生集めに苦労している多くの普通大学がどんどん技能習得系の学科や資格取得に直結する学科を増やしていった。一つ格下と大学人が見下していた高専の評価は国内外でうなぎ上りであり、最強の就職力を誇る世界のKOSENになっている。文系的な世界を含めてどこもかしこも「高専」化を進めなければならないのだ。
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新企業の参入と旧企業の退出を比較した場合、常識的に考えれば生産性が低い企業た退出したときに生産性はプラスに働く。ところが日本の場合は旧企業の退出がマイナスに働くという。おそらく退出できる企業は経営的に優良である場合が多いからだ。先進国ではほぼ日本だけの特殊な現象で、退出コストが非常に高いことを示唆している。
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人間の知的活動としては文字と文章に関わることが高度で、そこに能力差がでる。だから「読む力」と「書く力」の学びにエネルギーを傾注することを勧める。差が出るような「聞く力」「話す力」はその上に成り立つものである。考えるための言語能力を身につけていないと生成AIを使いこなすことはできない。
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民間の企業や非営利組織のレベルでは淘汰再編とスタートアップによる新陳代謝は必要だが、それを進めてもデフレ不況人余りと違って長期失業が大量に生まれるリスクはない。むしろ賃金が上がり、勤務条件もホワイトになる人が増える。
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量的な不足を海外から低コストのチープレーバーで補うということは今の日本にとって最悪の選択である。これに走ると産業も企業もデフレ型の安易な経営手段を復活させることになり付加価値労働生産性の足を引っ張ることになる。そこで人権に配慮して家族同伴の永住型の来日を認めると、むしろ非生産労働人口が増え、欧州や米国が抱え込んでいる深刻な社会分断問題を招くリスクがある。
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これからの分厚い中間層を形成しうるのは、圧倒的にローカル経済圏で働くエッセンシャルワーカー、観光産業などの現場技能人材である。そして人出不足社会の日本こそがこれを実現できる位置にいる。
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ホワイトカラーの生き残り策は、ざっくり言えば管理職から経営職まで駆け上がり、AIと競うのではなくAIを使う立場になるか、アドバンストな現場人材としての技能を磨く方向に転じるかである。
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以上引用です
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意識高めのホワイトカラーをターゲットに上梓された本だと思う。アルバイト7年目が読んでみましたよ(キリッ)
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これからの日本は少子高齢化による深刻な人手不足と、デジタル化の進展で急激なホワイトカラーサラリーマンの減少と人余りが同時に起こる。
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一方で自分が働いているようなローカル産業では人手不足が生じ、グローバル産業では人余りが顕著に。
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つまるところ、人手不足なのに人が余る社会になると。
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コロナ過で小売業、清掃、介護など現場の最前線で働くエッセンシャルワーカーと呼ばれていたよね。
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本書ではその中でさらにスキル(高付加価値労働生産性)を持つ人を「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」と名付けている。
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ホワイトカラーサラリーマンをアドバンスト・エッセンシャルワーカーに転身させることで、人手不足を解消でき生産性も上がり、かつ中間層を分厚くできる感じだろうか。
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それ以外にも行政、労働者の立場から見た処方箋が書かれている。
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組織に全フリするような人生はオススメできない。特に凡人は。
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頑張れる人は頑張ればいいし「ほどほどでいいんだよ、仕事なんて」人もいるわけで。
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ただ個人で働くにせよ組織でがんばるにせよ「学び」は必要だと思う。
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時代やルールはめくるめく変化するからね。世の中がどんどん分からなくなる。
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もうひとつはそれに伴って何を手放していくかだろう(アンラーン)
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