「生命とは何か」を読み終えた。
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著者のポール・ナースは細胞生物学者で、ノーベル生理学・医学賞受賞者だ。またcdc2遺伝子を発見した人で本を上梓するのは初めてらしい。
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あらゆるものは時間とともに秩序立った状態から無秩序な状態へと向かう。生き物は秩序あるものを食べて無秩序なものを排泄することで、体内の秩序を保っている。
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染色体の数はさまざまだ。エンドウ豆はそれぞれの細胞に14個、人間には46個、そしてアトラスブルーという蝶にいたっては、400個以上の染色体がある。
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自然淘汰は適者生存、すなわち競争できない個体の排除につながる。
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人の命が進化することを許す状況そのものが、最も致命的な人間の疾患の一つの原因になるというのは逆説的だ。
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異なる宗教は非常に異なる信念を持ち、異なる教義は互いに矛盾していることが分かった。
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[ウェットウェア] 生命という「柔軟性のあるコンピューター材料」のこと。細胞は湿った化学を媒介してパーツ同志がつながっている。
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遺伝子のアップデートで細胞のシステム全体が時間とともに徐々に複雑になる傾向にある。これは余剰へとつながつ。つまり、生きているシステムは人間によって理に適うように設計された制御回路よりも、非効率かつ非合理的に構築されていることが多い。
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感染症との戦いは、われわれが決して完全には勝利することのない戦いでもある。それは自然淘汰による進化が原因だ。
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一神教の国では、科学を志す人間は、宗教を乗り越えて科学を「選ぶ」ことを迫られる。
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以上引用です
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感想は・・・うーん・・
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今まで生物学と物理学、遺伝学がどうやって生命の謎を解き明かしてきたかが時系列で書かれている。著者の自伝でもあり少し教科書のような感じがした。
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個人的には、この類の本を何冊か読んでいる人はあまりがんばって読む必要はないかなと(読んでも絶対に損はないです)
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ただ、いつも思うのは
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生命は複雑なシステムだということだ。
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生命はシミュレーションゲームのパラメータのように単純にはできていない。超複雑系だと思う。
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一番印象的だったのは、科学者である著者がある日、教会の牧師に創造説は神話として扱えうべきだと問うて軽くあしらわれた件だ。それ以来、宗教自体はリスペクトしながらも無神論者で不可知論者になったそうだ
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上にも書いたが、クリスマスからハロウィンまでなんでも取り込むアミニズムの日本とは違って
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一神教の国では、科学を志す人間は、宗教を乗り越えて科学を「選ぶ」ことを迫られる。
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翻って自分の生き方、信念に矛盾が生じてしまう訳でかなり葛藤するんじゃないかな。つまるところ「思想の踏み絵」を踏まされるということだ。
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似たような本では「生物と無生物のあいだ」エピジェネティクスは「エピジェネティクスと生命」合成生物学は「合成生物学の衝撃」が面白いです。
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興味のある方はどうぞー
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