ルポ 超高級老人ホーム

読書

「ルポ 超高級老人ホーム」を読み終えた。
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著者は元「週間文春」の記者で、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞を2度受賞しているそうだ。なんだか面白そうだったので購入。
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ごく一般的な価格の老人ホーム内では、食堂にある共用テレビのチャンネル主導権を巡って口論を始める者や、ビンゴ大会で常勝している人への妬みを募らせ攻撃的な態度に変貌する者がいたという。さらには恋心が芽生えストーカーのように未亡人に付きまとう者や、噂話を吹聴して人間関係を乱す者などもいると聞いた。確かにその通りだろう。こうした高齢者ほどウソっぽくなく、実に人間的な魅力に満ち溢れている。もっと言えば正しく老いている証だと思うのだ。ならば、高級老人ホームでも実態は同じではないだろうか。
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厚生労働省が公表している意識調査によると、病気で治る見込みがなく、およそ1年以内に徐々にあるいは急に死に至ると考えたとき、最後を迎えたい場所を自宅としている一般国民は約44%である。しかし2021年に亡くなった人のうち、住み慣れた自宅や老人ホームで死亡した人はわずか27%。一方、病院で死亡した人の割合いは約66%にのぼっている。
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「想定される顧客は、入居費の3倍程度の資産をお持ちの方が対象ですね。3億円から10億円相当ですか。月々の生活費はご夫婦で80万円見当と見ております」
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熱海第三伊豆山の部屋は所有権分譲方式だ。賃貸型の老人ホームとは違い、部屋の購入後は個人資産となる。
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居住者は女性が多く、その中でも独身者が多い。「やっぱり女性のほうが平均寿命が長いですからね。二人で入ってきても男のほうが先に死ぬんですよ」
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「介護棟にはできるだけお世話にならないようにと思っていますが、いずれはお世話になれるという安心感もあります。このまま歳を取れば、身体が動かなくなったり記憶力が落ちたりすると思うんです。そうなると、スタッフの方や先生などが判断してから、介護棟に行くわけですよね。そのときは仕方ない。仕方ないけどありがたいとも思ってます。もし身体が動かなくなって「もう出て行きなさい」「どこかの施設を探しなさない」と言われても受け入れてくれる人がいないと困るでしょ。そういう意味でありがたいんです。そうした安心がここを選んだ理由の一つです。でも本当は最後まで一般居室で過ごしたいですけどね」
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介護職員の人員配置基準の数をごまかしている施設は他にも例がある。別の施設では清掃スタッフを介護職員としてカウントしており、書類上の帳尻を合わせることを日常的に行っていた。
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国村さんが高級の本質を「孤独からの解放」と悟った一方、別の施設には人間関係を避けることを生きる入居者たちの姿があった。その生き方はどちらも正解なのだろう。老人ホームが単なる住居であることを超えて入居者が自らの居場所を見つけるための場であるからだ。
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過去に築いた地位や事業の成功を臆面もなく語る者も多かった。しかし、そうした発言は決して嫌みや自慢などではなく自らの社会的成果を再確認しようとする試みだろう。それは一般的な価格の老時ホームに入居するものをあまり変わらない。自己のアイデンティティーを再確認したうえで、残り少ない人生をどう生きるべきか自分自身に問いかけているように思えるのだ。
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以上引用です
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超高級老人ホームは入居金だけで数億、ランニングコストが月数十万かかるそうだ。
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金融資産ピラミッドでいうところのアッパーマス層、準富裕層のその上で富裕層(1億円~5億円)超富裕層(5億円)が主な顧客になるんだろう。
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金持ちであろうとそうでなかろうとマウントを取り合う人はいるし、いがみ合う人もいる。人が集まって問題が起こるのは金の有無ではなく、個々の人間性の問題に思えた。
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「金持ちだから」は少しステレオタイプかな。
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そのほうが大衆受けするのかもしれないけれど。
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お金で選択肢と可能性が増えるのは素晴らしいことだと思うよ。
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至れり尽くせりの施設に住み、90歳を過ぎても銀座に行ったり、ちょっとそこまでとフランスに行けるのは健康と経済力があるからだ。
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しかしながら、幸せが保証されるわけではないのがこれまた人生でね。
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不安や悩みもきっと同じくらいにあるんじゃないかな。
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パーフェクト・ケア
「パーフェクト・ケア」を見終わった(U-NEXTで399円) . . 「完璧なケア」で裁判所からの信頼も厚い法定後見人のマーラ。だが、実際は高齢者の金を搾り取る悪徳後見人だった。次の獲物に資産家のジェニファーを定めるが、不穏な出来事が次々発生。身寄りのないはずのジェニファーの背後からロシアンマフィアが現れ(U-NEXTより) . . 感想は・・・胸糞が悪い、でも見るしか...
ロストケア
「ロストケア」を見終わった(2022年/日本) . . 早朝の民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が発見された。捜査線上にセンターで働く斯波宗典が浮かぶが、彼は介護家族に慕われる献身的な介護士だった。検事の大友秀美は、斯波が働き始めてからの自宅での死者が40人を超えることを突き止め(U-NEXTより) . . 葉真中顕さんの小説の映画化らしい。全く知識ゼロでみた。 ...

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超高級老人ホームとは無縁だけれど、自分の老後も考えてしまった。
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こういう世界もあるんだなーと、さらっと読めると思います。
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この本「おいしさ」の錯覚から
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「おいしさ」の錯覚
「おいしさ」の錯覚を読み終わった。 . . 著者は2008年のイグノーベル栄養学賞の受賞者だ。大変興味があったので購入。原題は GASTROPHYISICS: THE NEW SCIENCE OF EATING . . ■ . . 舌に地図などない。味蕾のどれもが5つの基本味すべてを感じることができる。しかし、味蕾は舌の前部、後方の両側、そして後部にしか存在...

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[ヴェブレン効果] 商品やサービスの価格が高ければ高いほどよいという考え方。自分の富を見せつけ社会的地位を示す心理(ちなみに、支払う代金が多いほど食事がおいしく感じられるか?に対する答えは、必ずしもそうとは限らないが多くの場合イエスとなるらしい)
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最後に印象に残ったところを
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「経験上、ご主人が先に亡くなると元気になる女性というのも多いんですよ」
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日本で女性に生まれるともれなく長生きできる(他国に比べて健康寿命が長い)可能性が高い。これはもう統計的に示されている。
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お金に換算できない大きな恩恵のひとつだと思うよ。
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あ、ぼくは男だった。残念(笑)

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