うちの父が運転をやめません

小説

「うちの父が運転をやめません」を読み終えた。
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垣谷美雨さんの新作で、好きな作家さんの一人だ。
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うちのように、親が常に疲労を滲ませているのを見て育つと、子供は大人になることを楽しいことだとは思わないだろう。
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考えてみれば、最後の自由時間は大学生のときだった。あれから三十年もの間、仕事が忙しすぎて、残業が多すぎて、二十代の頃からずっとへとへとで、疲れが取れた瞬間などなかった気がする。
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いつか、ゆっくりと。「いつか」というのが、実は定年後のことだと気づいたのは、いつ頃だろうか。
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時代によるかもしれないが、無職イコール怠惰という考えは間違っていると自分は思う。人にはそれぞれ得意分野や好みというものがある。いい歳をして野球の選手になりたいだとか、俳優になりたいと言っているわけではないのだ。
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「自分を慰めるためさ。こんな俺でも人の役に立ってるんだという自己満足が大切なんだ。それがないと、長い人生、生きていくのがつらいぞ」
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「そうかもね。若い奥さんなら、見るからに愛想笑いって感じの人もおるけど、中高年は年の功で、心の底からの笑顔みたいなんを装うのがうまくなっとるからねぇ。女の人は、いっつもニコニコしとらんと舅や姑ともうまくやっていけんし、近所の人とのつきあいも笑顔が潤滑油だからね。そうせんと生きてこれんかったわけやし」
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「わしはボケん。死ぬまでボケん」
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この頃になると、会社での激務や、年功序列の人間関係に三十年も耐えてきたことが皮肉にも自信につながっていた。どんな苦労も乗り越えていける気がした。それがいいことかどうかは別として。
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以上引用です
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感想は・・・やっぱり良かった!
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この題名にびびっとくる人なら誰もが共感できるところがあるんじゃないかな。働き方、子育て、過疎化など色々な社会問題をゆるーく取り入れつつ、ときには真面目にストーリーが進んで行く。
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自分も父親に「いつまで運転するん」と言ったことがあるが、なんかはぐらかされてそのままずっと運転している。
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運転をあきらめるということは、きっと物理的に不便になるのと同じくらい、いやそれ以上にプライド、生きがいが奪われることなんだろう。
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移動スーパーの件はすぐに「とくし丸」とピンときた。この会社は以前「ガイアの夜明け」などで放送していた有名なベンチャー企業だね。
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ドストエフスキーの「罪と罰」の次に読んだ小説だったせいもあってか、とにかく文章が読みやすい!同じ日本語かと思うくらいで「文章の平易さ」に関しては±2σにキレイに収まっていると思う(笑)
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興味がある方はどうぞー

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