「音楽が聴けなくなる日」を読み終えた。
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罪を犯した人の作品を「聞かない、見ない」権利と自由がある以上は「聞く、見る」権利と自由もあるんじゃないかというお話。ちなみにこの帯は坂本龍一さんの言葉だ。
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薬物報道ガイドラインには「薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと」が挙げられています。
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前例を踏まえるのはいい面と悪い面があります。恣意的な判断に陥らないのはいい面です。裁判や法律の世界はこれにあたるでしょう。他方、悪い面として、事なかれ主義の側面が強くなってしまう点が挙げられます。
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怒りとかストレスとか、ハラスメントが一日中ついて回るような今の世の中のキーワードは「許さない」ことだと思うんですよ。
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この時代にレコード会社が相対せざるを得ないのは「血に飢えた正義のガーディアン(守護者)」たちです。
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娯楽の目的がリクリエーション、即ちシャワーを浴びて日常に戻ることにあるとすれば、アートの目的はそれを体験した以上は以前の日常に戻れなくさせることにあります。
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電気グルーヴ作品の販売・配信停止措置そのものよりも「そうした措置をやめられない社会」をやめようと呼びかけるものです。
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以上引用です
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感想は・・・本当に好きな人はどんなことがあっても、どんな手段を使っても聴くと思う。
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たとえ音楽レーベルが配信を停止しようとも、家族愛を歌うミュージシャンが不倫しようとも、薬物反対運動の先頭に立ちながら薬物で捕まろうとも、好きな人はその人の音楽を聞くだろう。
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個人的に、薬物の使用中に作り出された音楽やアートは封印されてもしょうがないかなと。それは自分の力じゃないからね。ただ実際にそんなことは分からない。
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この本の著者は3人でそれぞれの専門分野から意見を述べている。中でも一番面白かったのは、かがりはるきさんの章で「表現者が逮捕されたので、その者の関わった作品を封印する」という自粛の歴史がよく分かる。
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平成に入ってからここ30年で特に厳しくなってきているそうだ。
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今は執行猶予期間中でも音楽活動は社会的に封印される。昔は普通に音楽活動をしたり東京ドーム公演を行ったりしていて、なにより「世界に一つだけの花」も執行猶予中に作られた曲だそうだ。
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最近は自粛警察なんかも取りざたされてるけど、たとえ多くのファンの署名活動を受けて音楽レーベルがゴーサインを出したくても「血に飢えた正義のガーディアン」いわゆる世間様がそれを許さないのだ。
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自粛との間のバランスを取る難しさがよく分かる。一方で社会の成熟さと寛容さはトレードオフの関係なのか、成熟しきれてないから寛容さがないのかは分からない。
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やはり犯罪を犯さないのが一番だ(笑)
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興味のある方はどうぞー
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