「新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実」を読み終えた。
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著者は病理学と免疫学の専門家で「日経ビジネス電子版」で連載されていたものをまとめた本らしい。インタビュアーとの対談形式で進んでいく。
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[CFR (Case Fatality Ratio 致命割合)] 感染症だと確定診断が出た患者の中で亡くなる人の比率。新型コロナは約2%、季節性インフルエンザは0.02%
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[IFR (Infection Fatality Ratio 感染致命割合] 確定診断は出ていないが、感染した人を分母にとったもの。
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[基本再生産数 R] すべての人に免疫が付いていない状態のおいて、1人の感染者から何人に感染させるかという平均値。コロナはおよそ2.5ほど。麻疹は18。再生産数Rが1より下だと自然終息する。
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新型コロナのRを2とすると、集団免疫 1-(1/R) を持つ人の数は0.5、すなわち50%の人が免疫を持つと集団の中ではそれ以上感染が流行せずに自然に止まる。しかしながら日本の人口1億2千万人の半分6,000万人が罹患するというのは現実的ではなく「自然感染で免疫を獲得できる」というのは絵物語ということをスウェーデンが証明している。
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水道水でのうがいは上気道感染症を防ぐことができる一方、うがい薬を使うとほとんど上気道感染症を防がない。
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ワクチンの効き目は大きな幅があり、事前に予測できない(個々人の免疫力など)
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ワクチンの場合は「一気に全国民接種」も「安全性が100%になるまで拒否」も、どちらも大きなリスクがある。
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科学者ができることは、分かったことは分かったと伝える。出すべき数値は出す。モニターするものはモニターする。そういったことを繰り返すしかないと思っていて、それを超える発言は領空侵犯、越権行為だと思っています。
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PCRで陽性の人を陽性だと正しく判断できる割合はおよそ70%で、陽性患者の3割を見逃して陰性の人の1%程度を陽性と誤認する。つまり陽性の確定には使えても陰性である証明にはなりにくい。
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「陽性か陰性か」を見分けるのには適していない一方、「陽性と疑わしい人」(検査前確率が高い人)を確定するのに向いている。
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勉強もせず、基本から考えず、肩書を疑わず、バックグラウンドも聞かないで耳新しい説が出ると無責任に掲載するメディアの責任もある。
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以上引用です
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感想は・・・とても分かりやすく書かれている良書だ。
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新型コロナは40%~44%ぐらいは軽症、無症状のゾーンに入り「体調が悪い」と自覚できない。つまり感染者の4割が自覚なく感染を広げてしまう可能性が高いそうだ。
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しかもPCR検査では発症前の検査が一番信頼度が下がる(偽陰性)のでタチが悪い。そして発症後からは検査の精度が上がると。
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セキュリティホールへのゼロデイアタックみたいものか、いや違う(笑)
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つまるところ、普通の一般人で無症状の人がPCR検査を受けてもあまり意味はないのかなと。家族の1人が罹患してその濃厚接触者が陰性だったなんては話はよくあるもんね。完璧なものはないようだ。
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う、うーむ・・・
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読後に自分で考えてみた。自分にできることは
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接触を減らしてコロナウイルスに罹らないようにする。そしてより確実で安全なワクチンの接種を待つと。そして理想はインフルエンザなどで主流になっている不活化ワクチンを打つことかな。
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日本人でも先駆けてワクチンを打っている人がいるようだけど、中国人民解放軍やメイドインモスクワのワクチンを打ちたくはない。
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今まで10年かけて開発していたものを、人命を救うという御旗のもとに約1年の突貫工事で作られる。功利主義じゃないが、多少の犠牲(副反応)はトレードオフになっているのもまた現実だと思う。
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あとこの本にも書いてあるが、他の国に実験させてその成果だけをいただくのは倫理的にどうなのかという問題がある。核酸ワクチンやベクターワクチンを打つのはある意味、壮大な人体実験だからね。
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日本と違ってアメリカやイギリスはもう罹患者が多すぎて、そちらに舵を切るしかないんだろうな。
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正直、どうするのが一番いいのかは分からない。
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ちきりん風に言うなら「自分のアタマで考えよう」だ。
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「極力接触を減らしてコロナウイルスに罹らないようにする」までは同じでも、その先はそれぞれ答えが違うのかなと。
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この本に出てくる偽陰性と偽陽性、特異度など統計に関することは「シグナル&ノイズ」がとても面白い本です。ちなみにワクチンは「副作用」でなく「副反応」と言うそうだ。
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最後にこの本から引用させてもらう。
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あなたが1回きりの低確率な破滅リスクを冒し、そのリスクを生き抜いたあと、安心してまた1回きりの破滅リスクを冒す、なんてことを続けていれば、いずれ100%の確率で破滅する。1回きりのリスクを冒すのが合理的であれば、もう1回同じリスクを冒すのもまた合理的に見えてしまう。個々のリスクは1000分の1とかいう微小なものでも、そのリスクに対して身をさらす回数が増えていけば、破滅の確立は1へと近づいていく。
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興味のある方はどうぞー
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