おいしさの科学

読書

「おいしさの科学」を読み終えた。
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以前に読んだ「おいしさの錯覚」が面白かったので、今度はブルーバックスで読んでみようかなと。最近のブームは食。
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脳は、甘いとかおいしいと感じると胃腸の働きには関係なく脳自身が空腹感を生み出しているようなのです。例えば、甘いと感じると、あるいはそのおいしさを想像するだけでもβエンドルフィンやドーパミンが脳内に放出されます。これらが分泌されるとオレキシンという摂食を刺激するホルモンが放出され食欲がわきます。これが「甘いものは別腹」となる仕組みです。
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昆布のうま味成分であるグルタミン酸塩とかつお節のうま味成分であるイノシン酸塩、椎茸のうま味成分であるグアニル酸塩の間には相乗作用があることが知られています。例えば、グルタミン酸塩の溶液にイノシン酸塩が加わるだけでうま味は飛躍的に向上します。グルタミン酸塩にイノシン酸塩を加えていった場合、配合率が20~80%でうま味を示しますがイノシン酸塩が100%になるとまたうま味が弱まります。
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伏木らは、マウスを使った実験でかつおだしには病み付きになるおいしさ(香気成分TDD)があることを明らかにしました。そして、そのおいしさには香りが重量な役割を果たしていることが示されました。
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中国料理では「油通し」という技法があります。炒める前に、材料を熱した油の中に短時間くぐらせると材料の周りに油の膜ができ炒めるときに水分が出にくくなります。また炒める時間が短くなるので炒め物の野菜はシャキシャキと歯ごたえがよく鮮やかな色の仕上がりになります。
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ガムはガムベースと糖類、香料を混ぜ合わせて成形し保管された後に包装され出荷されます。製造直後のガムは、組織がまばらで十分な固さではないのですが1週間ほどで成分が移動し、安定化すると組織が密になり噛み応えができます。意外ですがチューイングガムにも食べごろがあるのです。
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和牛香は脂肪と肉が接する部分、つまり霜降り部分で発生します。和牛の肉を薄切りにして空気の下で1~2日間貯蔵したあと、加熱すると和牛香が生成するのですが40度~100度の範囲では80度で最もよく生成することが分かりました。薄く切った肉をさっと加熱する「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」は和牛香を感じられおいしく食べられる調理法です。
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赤身魚が柔らかいのは脂肪が多く、筋原繊維が多いため。そこでマグロは厚く切って、ねっとりとしたうま味やプリプリした弾力を味わいます。一方、白身の魚が固いのは筋膜が厚くコラーゲンが多いため。そこで、ヒラメなどでは薄く切って食べやすくしその食感を楽しみます。ただし白身でもタイはコラーゲンが少ないため薄造りではなく皮を残して厚く切ります。
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[レオロジー] 食品の固さや粘性、弾性などの力学的特性を測定して食品の物性を解明する分野
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アミロースの含有量を変化させて、加工性を向上させた米が開発されています。ミルキークイーンやスノーパールはコシヒカリよりもさらに粘りが強い米で、冷めてもパサパサになりにくいので弁当やおにぎりなどの外食用に適しています。
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水1gの温度を1度上げるのに必要な熱量は1カロリーであるのに対し、水蒸気1gが水に変わるときに放出する熱量は539キロカロリーと大きいので、蒸し加熱のほうが食品に大きい熱を伝えられます。
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[ソレー効果] 温度勾配(物質による温度変化の違い)により物質が移動する現象。短時間加熱して、食品の組織を煮崩れしない程度にバラバラにし、火を止めて時間をかけてゆっくりと調味料を浸透させる(冷めるときに味が浸みるので一晩たったほうが美味しい)
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揚げるとは油を加熱し、油の対流によって食品に熱を伝える加熱法です。油は水より比熱が小さいので簡単に100度以上になります。油の中では食品の水分は蒸発し、代わりに食品の中に油が入ってきます。つまり揚げるとは、食品の中の水と油を交換することなのです。
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高田香料はビールやワインなどアルコールを飲んだときの香りを再現する「酔いここちフレーバー」を開発しました。これはアルコールを含んでいないのにアルコールを感じさせるもので、ノンアルコール飲料に使われています。
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味物質の感じ方は味の種類によって異なり、私たちは酸味や苦みに敏感です。一方、塩味や甘味、うま味は高濃度で感じます。
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「肉料理には赤ワインが合う」と言われるのは、赤ワインの渋みは肉のうま味を洗い流す効果があるために肉をおいしく食べ続けることができるからです。また日本酒は、白ワインよりチーズの旨味の余韻を多く残すことが明らかになっています。
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私たちは「コクがある」とか「キレがある」というように味を表現します。これらの味がどんな味なのかは科学的な定義はありませんが、コクは口の中でうま味が持続すること、キレがあるとは味が消えるスピードが速いと捉えることができます。例えばビールでは、苦みの後味が少ないほどキレがあると感じます。
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脂質の味を受容して脳に伝える味細胞から神経への経路があることが明らかになりました。脂肪の味が五味に続く第6の味になるかもしれないと言われています。
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ネコは甘いもの好みません。ネコは甘味受容体を構成するT1R2の遺伝子の一部が欠損しているため、甘味に関する感受性を失っているのです。またパンダはうま味受容体が、イルカは甘味受容体ばかりかうま味受容体も失われていることが知られています。
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以上引用です
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食材の切り方から調理、保存方法まで科学的な目線から「なぜそうするのがベストなのか」を教えてくれる。
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最新の旨味測定器を持ってすれば「おいしさ」を(ある程度の)精度で測定できるどころか、創薬のように希望の味も作り出せるようだ。
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地方に残る伝統的な郷土料理には今も愛されている理由があるんだよね。先人には分子レベルの小難しい知識は無かったはず。にもかかわらず知恵で食材のうま味を引き出し鮮度を保っていた。
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おいしさというのは「料理は科学である」だけでは補えない部分が大きいのがまた奥深い。
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先日初めてグリーンスターのお店を訪れた。
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何もないように見える田舎で(失礼)地産地消を誇りに、生産者の名前をフルネームで説明してくれる姿に感動した。
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そんな環境や気分、ナラティブに大きく左右される分野でおいしさを追求するシェフは称賛に値すると思うよ。
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「おいしさ」の錯覚
「おいしさ」の錯覚を読み終わった。 . . 著者は2008年のイグノーベル栄養学賞の受賞者だ。大変興味があったので購入。原題は GASTROPHYISICS: THE NEW SCIENCE OF EATING . . ■ . . 舌に地図などない。味蕾のどれもが5つの基本味すべてを感じることができる。しかし、味蕾は舌の前部、後方の両側、そして後部にしか存在...
眠っている間に体の中で何が起こっているのか
「眠っている間に体の中で何が起こっているのか」を読み終わった。 . . 著者は早稲田大学睡眠研究所所長で精神科医らしい。面白そうだったので購入。この方の本は初めてだった。 . . ■ . . 睡眠前半の22時~2時頃をゴールデンタイムと決めつけるのは正しくない。正確には深い睡眠、すなわちノンレム睡眠第3段階が成長ホルモンがさかんに分泌される睡眠のタイミングである(睡眠...
ボイリング・ポイント/沸騰
「ボイリング・ポイント/沸騰」を見終わった(2021年/イギリス) . . 1年で最も賑わうクリスマス前の金曜日、ロンドンの人気レストラン。妻子と別居中のオーナーシェフ・アンディは、衛生管理検査で評価を下げられてしまう。予約過多でスタッフは一触即発状態、その上ライバルシェフが有名なグルメ評論家と共に来店し(U-NEXTより) . . 感想は・・・見るしかない! . ...

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最後にひとつ
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もしも食べることが苦痛だったら生命を維持することができない。だから人間にはおいしさという快楽が与えられている。
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あまり難しいことは考えずに、楽しく食べられるのが一番!

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