「武漢日記 封鎖下60日の魂の記録」を読み終えた。
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武漢が1月23日にロックダウンされた2日後の25日から、封鎖解除されるまでの60日間の日記、ドキュメンタリーだ。当局の度重なる削除にも負けずに、ネット上で書き残したものをまとめた本。
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ある国の文明度を測る唯一の基準は、弱者に対して国がどういう態度を取るかだ。
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功績を称えるべき対象は誰なのか。媚びへつらうにしても、節度をわきまえて欲しい。
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感染症との闘いは日常生活と同じで、多くの愚か者が愚かなことをしでかす。だが、より多くの人は愚か者ではないし、すべて愚かなこととは限らない。
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彼らはみなマスクをつけ、ベッドに横たわる患者の一人一人に向かって高らかに「共産党がなければ新中国はない」を歌っている。この歌が誰もが歌っていいが、どうして病室で高らかに歌う必要があるのだろう?
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法の執行者に少しだけ人道精神があれば、感染者が出た家に、何人もの人がすぐに駆けつけて、入り口を鉄の棒で封じてしまることもなかった。さらには、親が隔離されたため病気の子供が在宅のまま餓死することもなかった。
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メディアの仕事をする人は可哀そうだ。双方から批判されるから。上からは真実を報道するなと言われ、下からは真実を報道しろと求められる。彼らはいつも、自ら選択できない。
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中国には媚びへつらう記者も多いが、勇気ある記者もいないわけではない。
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幸福な家庭は似たり寄ったりだが、不幸な家庭にはそれぞれの不幸がある。
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偽装をする、しかも大っぷらに偽装をする、形式主義、しかも際限のない形式主義、それがすでにこの社会の「新型コロナウイルス」になっている。
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以上引用です
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感想は・・・面白かった。
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ロックダウン下の武漢でのリアルな日記だ。
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特に中共を全面否定しているわけではなく、うまく協調して利用して生き抜くたくましさがとてもリアルだった。反体制に対する拘留の線引きが曖昧な中国でさぞかし勇気がいることだろう。
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一党独裁という点では中国とは大きく違うが、官僚主義と責任逃れ、メディアがおかしいのは西側も同じで日本もそんなに変わらないのかなと。
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作者の方方(ファンファン)さんのプロフィールを見たところ1955年生まれだ。毛沢東の文化大革命を生き抜き、改革開放、天安門事件、そして民主主義無き資本主義へと激動の時代を経験してるんだろうな。
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ちなみに60日にわたる日記の中で3月18日の「あのときの私たちが、今日のあなたたちだ」が特に印象的だった。
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あと中国の七言律詩や論語が引用されているので、その辺の知識があればもう少し深く読めたかな。自分はよく分からなかった(笑)
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最後に鄧小平の名言を引用させてもらう。
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「白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕るのが良い猫だ」
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興味のある方はどうぞー
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