「渚のリーチ!」を読み終えた。
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日本プロ麻雀連盟のプロ雀士、黒沢咲さんの小説。初の上梓で麻雀青春小説らしい。ファンです(笑)
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とくべつ男勝りってわけでもないのに、麻雀してるときだけはやたらかっこいいから痺れるよ。
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配牌は誰もが平等に運まかせだ。それはとても人生に似ていると私は思う。どんな家に生まれて、どんな容姿か。配牌は誰も望み通りには決められない。与えられた配牌を生かすも殺すも、すべて自分の選択にかかっている。
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「大地さんは、鳴くとひどいことになりますねえ」
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どれだけ頑張ったって、持てる時間と力のすべてを注いだってどうにもならないことはある。病気になるのと同じように。努力したらその分報われると無邪気に信じていられた私は、それだけで確かに運が良かったのだ。みんな、努力したところで報われるかどうか分からないなか、それでも努力するしかすべがなくて、先の光が見えない道をただただ走り続けるしかない場所に立っているのに。
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勉強すればするほど、知識が増える。常識的に考えてこの並びのときはこうするべきとか、こういうときは鳴いて聴牌を狙うとか、そういう頭でっかちの知識が。
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麻雀は卓につけばひとりの戦いだ。どこまで行っても、孤独な道が続いていく。人生と同じで、最短の道が必ずしも正解とは限らないし、目に見えるものがすべてじゃない。
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以上引用です
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感想は・・・面白かった!
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麻雀プロが書いた入門書や戦術書は数あれど、小説を書き下ろしている人はそういないだろう。
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自分が知っている限り「元彼の遺言状」の著者の新川帆立さんくらいだ。「渚のリーチ!」も「お嬢」の通り名に恥じない知的さに溢れていた。
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麻雀小説であると同時に自伝であり、そして生き方の本でもあると思う。
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麻雀プロを目指している人はもちろん、それ以外の「何者かになりたい人」には特に響くところがあるんじゃないかな。
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日本プロ麻雀連盟や鳳凰位は実名で書かれているが、Mリーグのチーム名などがデフォルメされているのは大人の事情なのかなと(笑)
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作中の榎戸プロと楠木プロは、それぞれ伊藤優孝プロ(死神)と佐々木寿人プロ(魔王)だろうね。友情出演だ。
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個人的に思っている他の雀士と決定的に違う彼女の魅力は、負けを補って余りある確固とした自分のスタイルと、若さや勢いだけで売っている訳ではないそれに伴う実力だ。
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現在日本プロ麻雀連盟の最高峰A1リーグで活躍していて、数百人?(所属人数が分かりませんでした)の中のトップ13だ。去年はさらにその中で2位になって鳳凰戦にも挑戦している。
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加えて確率やセオリーの向こう側、つまるところ運否天賦の闘牌に痺れるのだ。
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卓上で沈思黙考しているその所作がとても素敵で魅了される。一流のプロにふさわしいエンテーテナーでもあると思うよ。
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この本「推し、燃ゆ」から
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愚問だった。理由なんてあるはずがない。存在が好きだから、顔、踊り、歌、口調、性格、身のこなし、推しにまつわる諸々が好きになってくる。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、の逆だ。
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ちなみに、物語に登場する対局はすべて自身が過去に実際に打ったものらしい。あ、表紙のチーピンは最後まで読むと分かります。
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今年も、黒沢イズムの麻雀を楽しみにしています。
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