暗殺の冬

小説

「暗殺の冬」を読み終えた。
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*ネタバレします
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道徳的な苦しみとは不思議なものだ。強い人間も弱い人間と同じようにその苦しみに襲われ、それには手術も鎮痛剤も人工呼吸も効かない。道徳的苦痛は別種の獣なのだ。解決法は、ゆっくりみずからが蝕まれていくにまかせるか、思い切った手段に訴えて自分を解放するしかない。
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スヴェンは、彼女が内心もっと子供を欲しがっているのではないかと疑っていた。今となっては遅すぎるが、彼女が一度の陣痛、一対の小さな足、一時期だけ母乳で重くなった乳房、一度の登校初日で納得してくれるよう願っていた。一度しか経験できないと分かると、もう一度経験したくてたまらなくなるものだ。
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私には何があるの?何もない。何も持たず、誰でもない。記憶の攻撃は別にして彼女の心を動かし心に振動を起こすものがあるとすれば、それは、人はどれだけのことに耐えられるかを知り、何があっても毎日目を開けられると知ったことだ。彼女は起き上がり、トイレに行って、一日を始めた。まるでどん底など存在せずひたすら落下していく無限の穴が存在するだけのように。それが人間に降りかかる運命なのだ。
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現実の世界に居場所がなかったから、他者の人生を生きることで頭の中に居場所を作ろうとした。そこは明確にしておきたい、とても大事なことだから。
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人が対処できることには限界があり、ときに私たちは、その限界を超える物事と向き合わざるを得なくなる。つまりその先には敗北しかない --- 何かしらの形での。だが、そうなったとき、はたして私たちは人間であるが故に許されるのか?そんな値打ちなどないのに、人間に生まれたというだけで、間違ったことをしても他者に許しを請えるのだろうか?それは言い訳にならない。結局、人は何をしても責任を負わなくていいと言うようなものだ。自分はただの人間だと言うのは「だから許されるべき」と言うのと同じことだ。人間なのだから罪の意識を覚えなくていいと。
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以上引用です
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著者はスウェーデンを代表する犯罪学の専門家であり小説家。
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これだけ多くの警察官が登場するにもかかわらず、一人称の「わたし」がぜーんぶ持っていくんかーいっ(笑)
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警察官を主人公にした流れがおそらく一般的。「こういうのが北欧ミステリーなのだよ」かも。
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登場人物は多め。
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世代を経ながら30年のスパンを行き来するので、メモしたほうがいいかも。
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ヴィレかミッケ・ホーカンソン(爺さんの息子)が大きなどんでん返しをしかけてくる!という予想は見事に裏切られた。
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弟が自ら車で突っ込んだとしたら、死ねなかったことが最大の誤算。一方でスヴェンにとってはリンデルがもみ合いの末、死んでしまったことが最大の誤算だった。
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「わたし」もラスムスいう弟がいたわけで、エヴィの心情は痛いほど理解できてたんじゃないかな。
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小説に出てくるスウェーデンの言い伝え、80年代の重苦しい雰囲気、社会的背景みたいなものは巻末の解説が大変分かりやすかったです。
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クリストフェル・カールソン

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