「人間には12の感覚がある」を読み終えた。
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著者はあの有名な「利己的な遺伝子」のリチャード・ドーキンスの愛弟子。この人の本は初めて。
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錐体細胞が一種類しかない一色型色覚の動物 --- ヨザル、アザラシ、クジラなど --- には色が見えない。そういう動物にとって世界は濃さが様々に異なるグレーで成り立っている。錐体細胞が二種類の二色型色覚動物 --- アリクイやシマウマなど哺乳類の全てがこれに属する --- は、私たちより色の少ない虹を見る。例えば、犬には青に対応する錐体細胞と、赤と緑の間の波長、つまり黄色に対応する錐体細胞の二種類しかない。緑の芝生と赤いボールを見分けられないのはそのためだ。ただ後者の錐体細胞には、赤と黄色の間の100近くもの色の違いを区別する能力があるため、犬は一万近い種類の色を見分けられるという。
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コンチェッタは完璧な四色型色覚者である「黄昏を描くのに私が使った色は、特に芸術的表現というわけではありません。他の人がグレー一色にしか見えないという時でも、私の目にはライラック、ラベンダー、スミレのような色、エメラルドにような色など、様々な美しい色のモザイクが見えているのです」
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暗闇で何かを見る時、見たい物の少し横に視線を向けるとよく見えるは錐体細胞と桿体細胞の分布で説明ができる。弱い光を錐体細胞ではなく桿体細胞の多く分布する領域に当てることで感じ取りやすくするためだ。
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アメリカ海軍研究所から資金提供を受けた研究者たちは、プラスチックを使って構造を再現した。模型を風洞に入れて実験したところ、発生する音が大幅に小さくなることが分かり、この設計の特許を取得することにした。この発見は、偵察機や潜水艦のステルス化に役立つだけでなく、発電用の風力タービンやコンピュータのファン、旅客機の騒音を大幅に減らすのにも役立つ。「どうすればこの世界をもっと静かにできるのか。フクロウは私たちにそれを教えてくれます」
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無響室で、私は2つの音を聞いた。ひとつは高い音、もうひとつは低い音だ。私は担当の技師に尋ねてみた。部屋は静かなはずなのに、なぜ私には2つの音が聞こえたのかと。技師によれば、高い音は彼の神経系から発せられる音、低い音は血液が流れる音だという。
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モグラの鼻は、地下を進むとき唯一の頼みとなっている鍛えあげられた触覚だ。大量の神経が通っており鼻を軽く叩くだけで死んでしまう。
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視覚障害者だけでなく聴覚障害者もやはり、触覚が鋭敏になることがわかっている。そして元来は聴覚情報を処理するはずだが用をなさない聴覚野を触覚が利用している、というのも視覚障害者と同じである。視覚も聴覚も持たなかったヘレンケラーの脳では、視覚野と聴覚野が空いており自由に利用できる状態になっていた。つまり、触覚に使える脳の力がそれだけ増えているということだ。
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触覚は死ぬときにも最後まで生きている感覚であり、しかも生まれる時に最初に機能し始める感覚でもある。なんと胚がまだ受精後8週間半の時点ですでに機能し始めている。
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「ロブスターは脚で味を感じます。ホウボウはヒレです。しかし、ナマズは全身に味覚があるのです。もはや「泳ぐ舌」と呼びたいくらいの動物です」
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味蕾の数には大きな個人差があり、味蕾の数がどのくらいかによって知覚世界はまったく異なってしまう。味蕾の数が極めて多いと超味覚の持ち主になるが、超味覚があれば自動的にグルメになるわけではない。むしろ食事の時間が辛いものになる可能性がある。触覚は総じて女性の方が男性に比べて鋭敏である。総じて女性の方が、皮膚の単位面積あたりの感覚受容器の数が多いことがその理由で、味覚の場合も女性の方が単位面積当たりの味蕾の数が総じて多いために超味覚の持ち主は女性が多くなるようだ。
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人間がどこかの場所にいれば、必ずその痕跡が残る。痕跡を残さずに去るのが不可能なことは科学的に証明されている。人間の身体からは絶えず皮膚が剝がれ落ちている。コーンフレークの形をした微小な皮膚の破片が毎分100万個ほども空気中に撒き散らされる。呼吸する空気には最高で1リットルあたり5万個もの皮膚がの破片が含まれているし、私が歩いた場所には最高で1メートルあたり500個もの皮膚の破片が落ちている。ブラッドハウンドの強みはなんといってもその鼻、嗅覚である。
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人間の聴覚は区別できる音色は平均で数十万種類だとされる。聴覚研究者のほとんどはそれに賛同するだろう。人間の視覚が区別できる色は平均で数百万種類だとされる。視覚研究者の大半はこれに賛同するはずだ。しかし、人間の嗅覚は少なくとも一兆種類のにおいを区別できるというのだ。サル、ラッコ、オオコウモリよりも鋭敏で、ハツカネズミ、クマネズミなど嗅覚が鋭敏とされる動物をも上回る。
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雌のフェロモンは、雄に対するメッセージというよりも命令と言った方がいい。ほんのわずかな量に接しただけでもその命令に服従してしまう。においとは感じられないにおい、香りとは感じられない香りがあり、嗅いだ動物は自分で気づかないうちに行動をハイジャックされ自由意志を奪われてしまう。「フェロモンの存在は感知はされても認知はされません」蛾の雌は認知されない不思議な香りで5キロ離れた雄を呼び寄せる。
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点字を使う視覚障害者は、触覚が発達している。ところがバレリーナの場合は、重要と思われる感覚が発達するどころか弱くなっている。内耳から来る情報を堰き止めて平衡感覚のはたらきを弱めているのだ。
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大事なのは、めまいを引き起こすのは結局のところ耳ではなく脳だということです。身体の中で最も重要な平衡感覚器官は脳なのです。
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ゴミグモは人間の髪の毛の千分の一ほどの幅の動きさえも感知できる。しかも、その動きが風によるものなのか、求婚に来た雄によるものなのか、餌になる獲物によるものなのかも分かる。
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今は本当は何時なのだろうか、ということがとにかく気になったのは最初の2日間だけで、その後はまったく興味がなくなり時間のない暮らしを心地よいと感じるようになった。8日目、朝食のすぐあと私は日記に「何かがおかしい」と書いている。10日目に外に出たとき、最後の起床時刻が午後3時だったと聞かされて私はとても驚いた。アクトグラムを見ると、規則正しくはあるが、周期が約25時間になっていた。つまり、毎日1時間ほど1日が長くなっていたのだ。
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時刻に影響を受ける活動のリストは間違いなくこれからも長くなり続ける。歯の痛みは夜の方が強く感じやすい。陣痛は夜に始まることが多く、必然的に出産は朝になることが多い。校正は夜の方がうまくできることが多いし、短距離の水泳は夜の方が速くなることが多い。交通量が最もよく起きるのは午前3時頃である。「チョルノービリ原発や、エクソン・バルディーズ号の原油流出事故が夜間に起きたのは決して偶然ではありません」
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徹夜で働くことも、タイムゾーンを越えて移動することも、人間が本来持っている生体リズムに逆らう行為であり、その行動は悲惨な結果をもたらすことが多い「例えて言えば、胃袋は北京にいるのに肝臓はデリーあたりにいて、心臓はサンフランシスコにいる、ということが起きるのです」
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概日リズムの周期が、太陽日である24時間から多く逸脱した生物は生き延びるのが難しい。「ゴミグモの体内時計の周期は本当は18時間半なんです。ということは調整の度に5時間以上も時刻をずらす必要があるわけです」つまり、クモは常に時差ボケ状態にあるということだ。
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E7と名付けられたオオソリハシシギは、太平洋を越える長距離飛行に出発すると、天候に関係なく異常なほどに敏感な磁気コンパスを頼りに昼夜を問わず飛び続けた。おそらく、彼女は赤道が近づくにつれ、磁力線の角度が小さくなることを察知したはずだ。また、赤道が近づくにつれ磁場が弱まっていくのも察知していただろう。その二つの情報により彼女は自分が間違いなく北から南へと向かっていることを確認できる。また鳥たちが、この緯度に関する情報を元に経度も計算できることを示す証拠も見つかっている。つまり現在地の地球上での座標を特定できるわけだ。
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磁気を感じ取る能力を持つ動物は、研究者が調べれば調べるほど多く見つかる。たとえば、アカウミガメやオサガメ、タイヘイヨウサケ、シラスウナギなど、羽はないが長距離を移動する動物たちがそうだ。
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近年の研究により、タコには驚くべき知恵があることが次第に明らかになってきている。迷路を解くこともできれば、レゴで作られた物を解体することもできる。なんと人間の顔を見分けることもできるのだ。
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私たちの脳は、身体中に分布する無数の筋肉受容体から絶えず情報を受け取っている。脳はその情報を処理するのだが、情報を受け取り処理するプロセスを私たちが意識することはまったくない。「身体を動かそうとした時に、私たちがどの筋肉をどう動かすかを考える必要はないのです」
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切断された腕の動きは、軌跡も、速度プロフィール --- 加速度、ピーク速度、減速度 --- も通常のタコの動きと同じでした。両者の動きは似ているというより、同一と言ってよかった。つまり頭部があろうがなかろうか、腕は同じように動くことが分かったわけだ。
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(タコの持つ)自己受容感覚とは自身の身体に認知にも、四肢の空間内での配置、移動にも不可欠で、実のところ自身の存在の認知にも不可欠である。間違いなく、いわゆる五感をすべて合わせたよりも重要な感覚だ。この感覚を失うといわゆる幽体離脱が起こる。
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以上引用です
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「おれにも第六感あるんじゃね」と思ったことはある。虫の知らせみたいな。シックスセンスという映画もあったね。
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最新の知見によると、人間はどうやら12の感覚どころか33の感覚を持ち合わせているらしい。ほんとかっ?!
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突き抜けた能力を持った12匹の生物を引き合いに、人の感覚器の驚異を教えてくれる。
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元々無意識下で備わっていた「ギフト」が、科学とテクノロジーの発展で検証できるようになった。
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それぞれの感覚に専用の受容器官があるだけでも驚きだ。
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盲目の動物は数多くいる。限られた嗅覚や味覚しかない動物もいる。一方で聴覚のない動物はいない。つまるところ、地球上には真空中でない限り必ず音が存在し、それを頼りに生存できると。
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ちなみに人間の持つ平衡感覚と時間感覚、方向感覚の内、今も証明できないのは最後の方向感覚だけらしい。
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人が大きく優れている点は、たとえひとつの感覚を失っても他の感覚が手助けしてくれるところ。
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それらのギフトは誰にも備わっているんだけれど、失って初めて気づく。失わないと分からない。
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眠っていた機能が目覚め、輪郭が浮かび上がってくる。
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もうひとつはこの優れた脳だ。
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尖った感覚器を持つ生物には適わない。でもハードウェア(感覚器)を制御するには高性能のソフトウェア(脳)が必要になる。感覚器単体がどれだけ優れていても結局は脳の処理能力で決まる。
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特に最後のタコの話(幽体離脱のメカニズム)は興味深かった。
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以前読んだ「からだの錯覚」でも触れられていた。
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最期に印象に残ったところを
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「誰もいない森の中で木が倒れたら、音はするか?それを見る人間の目が近くに存在しない時、りんごは本当に赤いだろうか?誰もいない森の中で木が燃えたとしても、そのにおいは存在しない」
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動物の凄さと同時に人間のセンス・オブ・ワンダーに驚愕。
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読み応えがありました。面白い!
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