「生き物の死にざま」を読み終えた。
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この手の本は好きで結構読んでいる。この本はエッセイ風に書かれていて、可愛らしいイラストもありとても読みやすかった。著者は農学博士で現在大学院の教授だそうだ。
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「ダーウィンが来た」が好きな人なら楽しめることうけあいだ。
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繁殖行動を終えたセミに、もはや生きる目的はない。セミの体は繁殖行動を終えると、死を迎えるようにプログラムされているのである。
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厳しい自然界で、子どもを守り育てる「子育て」という行為は、子どもを守る強さを持つ生きものだけに許された特権なのである。
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交尾をしている最中でも食欲旺盛なメスは、捕らえたオスの体を貪り始める。しかし、オスの行動は驚愕である。あろうことか、メスに頭をかじられながらもオスの下半身は休むことなく交尾をし続けるのである。
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誤解を恐れずに言えば、生物学的には、すべてのオスはメスに精子を与えるためだけの存在なのだ。
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寿命が長い、短いなど、そんなことは大した問題ではない。自然界では、全ての生命が寿命を生き抜けるわけではない。天寿を全うすることなどほとんどできない話なのだ。
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歳をとらないわけではないが、ベニクラゲは何度もポリプに若返り、何度でも生涯をやり直すことができる。その意味では、まさに不老不死である。
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歳をとり、卵を産む能力の低くなった女王アリは、働きアリたちに見向きもされず容赦なく捨てられていく。
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老化がなく、老衰で死ぬことのないハダカデバネズミの最後は病気やケガなのである。老衰で死ぬことは許されないのだ。
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イヌは獲物を獲ることはない。番犬として吠えることも少ない。イヌの多くは愛玩犬として人間にかわいがられることを主な仕事としている。
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以上引用です
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感想は・・・良書だ。
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全部で29種類の生き物の話があって、1つあたり10ページ弱くらいの構成になっている。特にハサミムシとハダカデバネズミの話が読んでいてわくわくした。人間も少しずつ不老不死に近づけるんじゃないかな。
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もし生命のヒエラルキーの頂点にいる人間も、交接できる期間が1年でそれが終わったら死ぬようにプログラムされていたらどんな生き方をするだろう。
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少なくとも今よりは全力で生きるだろう、いや生きざるを得ないだろう。案外リミットが決められている人生もそんなに不幸なことじゃないのかもしれない。
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今まで読んだ似たような本では「昆虫はすごい」「植物はすごい」「働かないアリに意義がある」もオススメです。
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もっと深く読みたいなら「ゾウの時間 ネズミの時間」や「利己的な遺伝子」「人間と動物の病気を一緒にみる」あたりも面白いと思います。
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小中学生辺りに読んでほしいなー、興味のある方はどうぞー
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