その日もあいも変わらず、うだつが上がらない顔を引っさげて店の売り場で作業をしていた。
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すると目の前に母親と子供、たぶん幼稚園児くらいだろうか、小さな男の子がお菓子コーナーを物色しているのが見えた。
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おそらくルマンド、いやビックリマンチョコでも探しているんだろう。なんてことを思いながらダンボールと格闘していると
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じょろ・・・
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ジョロロロロロ・・・
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・・・
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・・・
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え?!
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そこはかとなく、男の子が黄色い液体のシュプールを描いている。
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おしっこだ。
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母親が血相を変えてこちらへやってきた。
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母 「すみません!おしっこを漏らしちゃって!」
自 「い、いえ、大丈夫ですよ・・・」
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誰がどう見ても大丈夫な訳は無いのだが、動揺しているお母さんに少しでも安心して欲しかったので、平静を装ってさも「よくあることですから、ふふふ」と言わんばかりに対応してしまった。
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今思えば、自分自身を落ち着かせたかったのかもしれない。
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男の子はまだ小さいから我慢できなかったんだろう、しょうがないよね。
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・・・
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ど、どうしよう?(笑)
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自分ほどのエリートアルバイトにもなると、ちびっ子に頭突きをされたり、中国人にまくし立てられたり、「いつも頑張っている姿を見てます」と知らないお客さんにお土産をもらったりと、大概のイベントには動じないがこのケースは始めてだ。
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しかも、この日はあいにく一人のシフトでリーダーも不在ときている。
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確か、以前受けた 半分寝ていた ありがたい研修で「お客さんが嘔吐した場合は、その場を立ち入り禁止にして担当の人を呼びましょう」と教わったのを覚えている。たぶんこのケースもそれに近いだろう。
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でも・・・
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・・・
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この状況でどうしろと(笑)
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しょうがない、課長に連絡しよう。
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つづく
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*協力:アールグレイのパン(ホワイトチョコ入り)
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