「ワース 命の値段」を見終わった(2019年/アメリカ)
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2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが発生し、政府は被害者と遺族を救済するための補償基金プログラムを立ち上げる。プログラムを束ねる弁護士・ファインバーグは、独自の計算式に則って補償金額を算出しようとするが、さまざまな矛盾に直面する。
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この映画は事実に基づいて作られたそうだ。
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人の命はいくらだろう?
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まるでマイケル・サンデルの講義のようだけれど、冒頭の授業のシーンで主人公のケン・ファインバーグが「我々が行うのは哲学ではなく経済学だ」というセリフがある。
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いいか悪いかはさておいて、人の命には値札がついている。生命保険や住宅ローン契約時の団信がそうだろう。秀才のクオンツ達が電卓を叩いて算出する、統計的に企業が倒産しないように設定される金額だ。
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さらには損害賠償や不倫までもが保険金や慰謝料という形でカバーされる。
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そういう意味では、全ての物事はお金で解決できることになるだろう。あくまでも、表面上は。
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翻って、金銭での解決がかえって人を傷つけるパターンもあるよね。
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人間は感情を持った不合理な生き物だ。その分間違いもたくさん犯すんだけれど、だからこそ愛や優しさに繋がるんじゃないかな。
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元々この補償基金が作られたのは提訴を恐れた企業のレントシーキングだ。
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つまるところ、大金の出どころを企業の内部留保から国民の税金に付け変えたと。
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本来なら企業がお金を使うべきところはロビイングではなく、時間をかけて誠意をもって被害者を補償することだろう。
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これもショックドクトリンのひとつだと思うよ。
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キャストは主人公役のマイケル・キートンがすごくよかった。「スポットライト 世紀のスクープ」にも出演していた。
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チャールズ・ウルフは弁護士?なのかな。これはよく分からかった。
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ぜひ「幸福の計算式」も読んでみてほしいな。面白かったです。
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