「赤と青とエスキース」を読み終えた。
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青山美智子さんの新作だ。著者の作品は以前に「お探し物は図書室まで」を読んだことがある。
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この本が大好きで、ぜひ今作も読んでみたかった。
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なんだってそうだ。スタートさせるのは思いのほか容易なことで、おしまいはいつもあっけない。難しいのは続けること。どこが最終地点なのかわからないまま、変わりながら、だけど変わらないで、ただ続けること。
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彼にはたくさん友達がいるだろう。誰とでも、どんな会話でも、相手に合わせてぽんぽんとうまくこなす。それは才能だ。私はそういうものを、ひとしずくも持っていない。
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私がいつも怖いのは終わりになることじゃなくて、終わりになるんじゃないかと不安になるあのぞわぞわした時間だ。相手に対して猜疑心が芽生えたり、知らないことが増えたり、分かってくれていると思っていたことがぜんぜん見当はずれだったり。そのころにはもう、どちらかが熱くて必死で、どちらかが冷めてしらけている。
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俺なんか必死だ。漫画のこと、制作過程のこと、人気のありそうな映画の感想や、道端の猫やらうまいもんやらの写真を投稿しまくって、やっとのことフォロワー1万人到達といったところ。いいねが50ももらえればうれしい。砂川なんて、ごくたまに「もう寝る」ってつぶやくだけで、いいねが確実に4桁はつく。
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プロになるとはそういうことなんだと思う。公の目に触れるネットの場で、どこの誰かも分からないヤツから悪意に満ちた言葉を投げかけられたり、ろくに読んでもいないのに知ったようなことを論じられたり、作品とはぜんぜん関係ないことをあれこれ言われたりする。そしてそれが、勝手に拡散されていく。無責任に、野放図に。
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皮肉な話だ。今まで、彼と会うのにこんなに心を砕いたことがあっただろうか。一緒に暮らしていたころは、寝起きのまま顔も洗わずパジャマで1日過ごすことだってあったのに。でも私が今、どうしてもきれいであろうと奮闘しているのは、甘やかな恋ではなく虚勢だ。老けたなと思われるのは耐えられなかった。別れて惜しい事をしたと悔しがらせたかった。その一方で、あんまり気合を入れすぎて、俺のためにお洒落してきたと調子に乗られるのはシャクだとも思う。力加減が難しい。自分で、自分が面倒くさい。
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好きなように、楽しそうにしてるからって、そんなふうに見えるからって、その人が悩んだり苦しんだりしてないなんて思うのはあまりにも想像力に欠ける。ひとりの女性の60年の人生が、そんなに単純だったわけがない。
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以上引用です
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感想は・・・素敵なお話だった。
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内容は4章とエピローグで、全5章の構成になっている。そして最終章で全てのピースが組み合わさっていく。
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タイトルにも使われているように、色の描写が素晴らしかった。一流の作家さんにかかると雨や風はもちろん、音や光までもが変幻自在に言葉で綴られていく。すごいなー
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頭の中で色彩がじんわりと広がっていって、勝手なエスキースを想像していた。もし映像化されたら、きっと映えるんじゃないかな。一方で「こんなんじゃない!」と思うかもしれないけど(笑)
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一番好きだったのは第四章の「赤鬼と青鬼」だった。
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人の気持ちが移ろいやすいなんてみんな分かってる。それでも好きになってしまうんだよな、はー
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ちなみに、本の帯に「この本を読み終わったとき最初に思い浮かんだ人を、どうか大切にしてください」とある。
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自分が真っ先に思い浮かんだのはなぜかアーロイ(ゲームの主人公)だった。なんかすいません(笑)
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バタフライピーは知らなかった、ほー。柿ピーのようなお菓子を連想していた(笑)あ、あと頬杖をつくシーンが多かったかなと。
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興味のある方はどうぞー
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