「ある行旅死亡人の物語」を読み終えた。
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著者は共同通信の記者で、47NEWSに配信していた記事を加筆、修正してまとめたものらしい。ノンフィクションで面白そうだったので購入。
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コウリョシボウニン、とは聞き慣れない言葉だろうが、身元不明で引き取り手のいない遺体を指す法律用語だ。記事には身長や服装、発見場所などの簡単な情報が10行程度にまとめられている。ほとんどが行き倒れや孤独死、自殺であり事件性はめったにない。
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現代において、高齢者の孤独死や無縁死は珍しくない現象である。その数は年間3万人に上ると推定されており、今後増加することはあっても減少することはないだろう。なお、行旅死亡人は年間600~700人ほどが官報に掲載されている。
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本籍(国籍)、住所、氏名不明、年齢75歳くらい、女性、身長133cm、中肉、右手指全て欠損、現金34,821,350円。
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相続財産管理人とは、相続人がいない場合などに故人の遺産を管理・清算する職務のことで、申し立てを受けた家庭裁判所が弁護士や司法書士を選任する。
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私たちの関心は、誰にいくら相続されるというところにはない。千津子さんはなぜ、隠れるように生きなければならなかったのか。彼女の人生に少しでも肉薄すること。
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遠く離れた故郷の小用であなたのことをずっと心配していた人がいましたよ。千津子さんにそう伝えたくなった。
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以上引用です
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感想は・・・人生いろいろ。
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男も女もいろいろだ(笑)
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タイトルにある「行旅死亡人」という言葉自体は、先日読んだ「砂の女」に出てきたので覚えていた。
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こういう言い方はよくないかもしれないが、ミステリアスで興味をそそる響きを兼ね備えた単語だとも思う。
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最初の30ページほど読んだ頃合いで、ピーン!と思ったのは
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千津子はヘイハイツ(黒孩子)じゃないかなと。
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「龍が如く」や「テスカトリポカ」にもあったアレだ。
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戸籍が無く訳アリの生活で成り立つストーリははこれしかない!と半ばコードブレイカーのように興奮しながら読み進めていったものの、半分読んだくらいで「あれ?違う」という(笑)
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おそらくこれだけの手がかりを得られた理由のひとつは名字が珍しかったことだろう。
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そしてもう一つは日本の長寿社会の恩恵なのかなと。
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千津子さんの80代の同級生はまだご存命で、記者たちの取材にも親切丁寧に答えている。色々な偶然が重なったのを差し引いても、後進国なら早い段階で迷宮入りなんじゃないかな。
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「死人に口なし」じゃないけれど、そう思わずにはいられなかった。
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あとね、DNA鑑定は本当に大丈夫か?と。結局「オケダ」は誰だったんだろう?そして財産分与はうまくいったのかな?(笑)
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もしフィクションなら華麗などんでん返しが待っているんだろう。
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ラストはノンフィクションらしい潔よさだった。
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自分は最後どんな感じで くたばる 死ぬのかなーと他人事とは思えない部分もあった。
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死ぬまではなんとか生きるしかない(笑)
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どれだけ平凡に見える人も、唯一無二の人生を生きているのだ。
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面白かったです。
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