言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか

読書

「言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか」を読み終えた。
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著者の一人である、今井むつみさんの本は何冊か読んだことがあって全部面白い。この人の本だったので購入。
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オノマトペは感覚の言葉である。いわゆる擬態語は「ニャー」「パリーン」「カチャカチャ」のように聴覚情報を中心に表す。擬態語の中には「ザラザラ」「ヌルッ」「チクリ」のように触覚情報を表していると思えるものもあれば「スラリ」「ウネウネ」「ピョン」のように視覚情報に注目しているものもある。さらに擬情語と呼ばれるオノマトペは「ゾクッ」「ドキドキ」「ガッカリ」のように第六感とでもいうべき身体感覚、心的経験を表す。
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清濁の音象徴は、ポケモンの名前研究でも報告されている。体長の長いポケモンや体重の思いポケモンに濁音が多いほか、進化が進むにつれて名前に濁音を持ちやすくなることが分かっている。たとえば「ヒトカゲ」というポケモンは進化すると「リザード」に名前を変える。濁音が1つから2つに増えている。
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日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白い ことばの世界
「日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白い ことばの世界」を読み終えた。 . . 国立国語研究所に寄せられた日本語に関する様々な質問に、研究者や専門家が答えたものをまとめた本らしい。 . . ■ . .  実際のそういうタイプの人々がそのように話すわけでもないのに、キャラクターがそういう話し方をするとなぜか「そういうタイプ」の人のイメージを呼び起こすこと。 . ...

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日本語の「かたい」という形容詞はいかにも硬く「やわらかい」という形容詞はいかにも柔らかく感じられる。かたいはk,tという阻害語を、やわらかいはy,w,rという共鳴音を含んでいる。そのため、日本語を知らない外国人に「どちらがsoftでどちらがhard?」と聞くと多くの人が正解する。「とがる」「かくばる」「カクカク」「ギザギザ」なども硬い言葉と言える。「なめらか」「なだらか」「ゆるやか」などは柔らかい言葉である。いずれも言葉を構成する音そのものがアイコン的である。
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柔らかい毛で覆われた動物を形容する「モフモフ」は2000年頃にできた新語である。筆者らが漫画で見つけた「コシコシ」は甘えて頭を擦り付ける様子を、「ふるふる」は首を素早く振る様子を表すために新たに作られたオノマトペである。
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笑う大天使
「笑う大天使」を読み終わった。 . . . 感想は・・・めちゃくちゃ面白かった! . . 川原泉さんの漫画を読むのは「美貌の果実」に続いて2つめだった。 . おそらく連載当時(1987年 昭和62年)はスマホはもちろんインターネットもなく、身近にある一番確実な情報源は本だったんじゃないかな。その中でも信頼できるのは図鑑や専門書の類だろう。 . 数学...

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日本語のハ行は特筆に値する。日本語話者は当然のように、ハ行がバ行およびパ行と三つ組の対比関係にあると思っている。実際、何かが落ちる様子を表す「ハラハラ」「バラバラ」「パラパラ」や、喋り方を表す「ヘラヘラ」「ベラベラ」「ペラペラ」、軽く出かけるさまを表す「フラリ」「ブラリ」「プラリ」は微妙なニュアンスを表し分ける。目的の無さが強いのは「フラリ」、のんびり楽しむ感じが強いのは「ブラリ」、ややいい加減な感じがするのは「プラリ」
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[換喩(メトニミー)] ある概念をヒントにそれと近い関係にある概念を表すこと(「手を上げる」で立候補する意味や暴力を振るう意味を表したり、ワンワンで犬を指したりする)
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意味の抽象化はアイコン性を薄める。しかしオノマトペがアイコン性を薄める要因はこれだけではない。アイコン性を薄める方向に働くもう一つの要因は多義性である。人間は隠喩(メタファー)換喩(メトニミー)によって意味を派生させようとする。
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砂の女
「砂の女」を読み終えた。 . . あらすじを読んで面白そうだったので購入。 . 著者は東京大学医学部卒で芥川賞受賞者でもある安部公房さんだ。恥ずかしながら、読むのが初めてどころか名前すら知らなかった。 . . ■ . . 寝苦しかった。女の気配に耳をそばだてながら、あんなふうに大見得をきってみせたりしたのも、けっきょくは女をしばりつけていたものへの嫉妬であ...

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ウサギが特定の動作で歩いているところに「ネケッているよ」と動詞で名付けをし、そのあとウサギが全く違う動作で歩いている動画と、クマがさっきと同じ動作で歩いている動画を見せた。すると3歳の幼児はどちらが「ネケッている」動作か分からなくなってしまう。しかし「ノスノスしてる」という、音と動作につながりが感じられる動詞を使うと動作主が変わっても同じ動作に動詞を一般化できる。
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「ぴえん」が流行すると、さらなる気持ちの高ぶりを表現するため、対比的に「ぱおん」が用いられるようになった。たとえば「コロナの影響でダンスのコンテストが中止になった。ぴえんこえてぱおん」(実用日本語表現辞典)
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人間は記号が身体、あるいは自分の経験に接地できていないと学習できない。かたやAIは大量のデータを受け取れば受け取るほど、記号から記号への漂流を続けながら知識を驚異的なスピードで拡大し続けることができる。ただ、重要なことは、誤りのない良質なデータを作るのは人間だし、そのデータを学習に使うようAIを誘導するのも人間だということである。
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舟を編む
「舟を編む」を見終わった。 . . 出版社の営業部で変人扱いされていた馬締は、人とは違う視点で言葉を捉える能力を買われ辞書編集部にスカウトされる。そこで新しい辞書「大渡海」の編纂に関わることになり辞書作りに没頭する。その一方で、大家の娘・香具矢と出会い、彼女に恋をする(U-NEXTより) . . 原作は三浦しをんさんの小説らしい。自分は未読で全く知識ゼロの状態で見た。 ...

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赤ちゃんは統計的な分析能力を駆使する。赤ちゃんは自分の母語で、単語の最初に来る確率が高い音、低い音、単語の最後に来やすい音、来にくい音などを分析してそれを使うことができる。単語中でこの音が来たら次はこの音が来やすいなどの続きやすい音の並びも抽出する。
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[U字型の発達] 英語の不規則動詞 go の過去形は goed ではなく went だ。最初は正しく went と言えていたのに、きちんとした文を発話を言う機会が増え、動詞の語彙が増えてくると goed と言う。しかしながら不規則動詞に規則動詞の規則を使った誤用をする期間がしばらく続くと間違いは自然と修正されること。そのパターン。
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THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す
「THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す 」を読み終えた。 . . 「GIVE & TAKE」や「ORIGINALS」の著者であるアダム・グラント氏の最新作だ。ファンです(笑) . . . ■ . .  獲得と凍結。答えを獲得するとそれを保持しようとする欲求。 . . 他人の見解であれば、私たちは目ざとく再考の必要性を指摘す...

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ベルベットモンキーは、天敵である蛇が砂地の上に跡を残して這うのを見ることがあっても、蛇の這った跡から蛇の存在を予測できない。すなわち、砂の跡は蛇が近くにいることを意味する、と予測するような学習はおこらないのだ。
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ひとたび何かについての知識を得ると、すぐにそれを別の機会に適用し、別の知識の学習に使う。この「知識を使う力」つまり「知識が知識を創造する」というパターンは人間以外の動物には見られないものである。
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事実はなぜ人の意見を変えられないのか
「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」を読み終えた。 . . 前からずっと読みたくてショッピングカートに入れてあった本。著者はユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの教授で神経科学者だそうだ。 . . ■ . . 脳をスキャンすると、自分のとっておきの知恵を他人に伝える機会を得たとき脳内の報酬中枢が大いに活性化するのがわかる。 . . 結婚生活が長く続く一番の...

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人間はあることを知ると、その知識を過剰に一般化する。言葉を覚えると、ごく自然に、換喩、隠喩を駆使して意味を拡張する。ある現象を観察するとそこからパターンを抽出し未来を予測する。それだけではなく、すでに起こったことに遡及し、因果の説明を求める。これらはみなアブダクション推論である。人間にとってアブダクション推論はもっとも自然な思考なのであり、生存に欠かせない武器である。
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人間は子供の頃から、そして成人になっても論理的な過ちを犯すことをし続ける。しかしこのアブダクション推論こそが言語の習得を可能にし、科学の発展を可能にしたのである。
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以上引用です
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読むしかない!
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めちゃくちゃ面白かった。
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オギャーとこの世に生を受けてから、人間はどういうふうに言葉を学んでいくのか。そのプロセスと、他の動物にはない人間特有の「学ぶ力」を認知科学者と言語学者の二人が教えてくれる。
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あ、おそらく「オギャー」は換喩(笑)
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オノマトペの定義は難しいそうだけれど、一応「感覚イメージを写し取る、特徴的な形式を持ち、新たに作り出せる語」らしい。
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このへんは実際に読んでみて欲しい。
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小さい頃ほどオノマトペを使う頻度が大きい。なぜならオノマトペは感覚的で分かりやすく場面全体を表すことができるんだよね。そして音と動作の対応があるので、言葉の意味のコアを掴む手助けになると。
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しかしながら語彙量が増えてくると、今度はオノマトペが障害になる。似た意味の単語がたくさん出てくると、その音が似ていては翻って情報処理の負荷が高まるからだ。
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極めつけは、脳はオノマトペを左脳だけではなく右脳でも認識する。
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つまるところ、言語としてだけではなくアイコン的要素として同時に処理しているのだ。すごい!
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語学の天才まで1億光年
「語学の天才まで1億光年」を読み終えた。 . . 高野秀行さんの新刊だ。 . 初めて読んだ「謎の独立国家ソマリランド」で衝撃を受けた。それ以来「謎のアジア納豆」など数冊読んでいる。全部面白い印象しかない。 . . ■ . . あのおばあさんマザー・テレサだったのか!英語が皆目わからないがゆえに、世界的な著名人に会ったことすら気付かなかった。 . . ...

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自分の英語学習と重ね合わせながら読んでいた。新しい言葉を学ぶときは、まずその音が分からないと覚えられないんだよね(とても難しい)
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例えば
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unxxxxyyyzzz
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という単語あったとしても発音が分からないとまず覚えられない。次にパターンを見つける
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I unxxxyyyzzz a pen.
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というセンテンスならおそらく動詞だろう。
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そして時制は現在形で(不規則動詞なら過去形かも)文頭に接頭語の un がついているのでおそらく否定的な意味かなと推測していく。
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少し意味合いは違うかもしれないけれど、オノマトペからアブダクションへのプロセスに似ていると感じた。
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この考え自体がアブダクションだろうか(笑)
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「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か
「「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か」を読み終えた。 . . 著者は心理学の博士で、専門は発達心理学と認知科学らしい。面白そうだったので購入。 . . ■ . . 同じもの見ていても、人によってその意味が違う。同じものであるのに、この前といまでは自分の中で意味が違う。私たちの世界はただ物理的なモノが存在しているわけではありません。プロジェクションによ...

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筆者らは「オノマトペは言語である」というスタンスをとっている。言葉は自由で進化するんだろう。そしてAIに負けない人間の底力も感じたな。
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あとね、幼少期の絵本の読み聞かせが、その後の子供の成長にどれだけ重要な意味を持つかよく分かると思うよ。
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最期に一番刺さったところを
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言語習得とは、推論によって知識を増やしながら、同時に「学習の仕方」自体も学習し洗練させていく、自律的に成長し続けるプロセスなのである。
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「擬態語は、歌舞伎や茶道、てんぷらよりも日本が世界に誇る文化だ」五味太郎(絵本作家)
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面白い!

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