百年の孤独

小説

「百年の孤独」を読み終わった。
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著者はコロンビア出身で、初版が1967年に発表されベストセラーになりその後1982年にノーベル文学賞を受賞したそうだ。
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ラテンアメリカの小説を読むのはたぶん初めて。
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「科学のおかげで距離なんてものは消えた。人間がわが家から一歩も外に出ないで、地上のすべての出来事を知ることが出来る日も、そんなに遠くはない」
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自由党はフリーメイソンの会員で、坊主を縛り首にし、民事婚と離婚の制度を取り入れ、庶子にも嫡出子と同一の権利を認め中央政府からその権利を剥奪する連邦制に国を分断することを主張しているならず者の集まりだった。それに引き換え、神から直接その権威を授かった保守党は、公共の秩序と家庭道徳の保持のために努力している。それはまた、キリストの信仰と権威の原則の護持者であり、国が多くの自治体に分裂するのを容認していない、ということだった。
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「ただ気にかかるのは、軍人たちを憎みすぎたために、彼らをあまり激しく攻撃したために、そして彼らのことを考えすぎたために、連中とまったく同じ人間になってしまったことなんだ。これほどの自己犠牲に値する理想なんてこの世にないと思うんだがね」
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絶大な権力にともなう孤独の中で、彼は進むべき道を失いはじめていた。占領した街々で歓呼して迎えるが、恐らく敵にも同じことをするに違いない民衆に疎ましさを感じた。そっくりな目で彼を見つめ、そっくりな声でしゃべり声をかけると同じような馴れ馴れしさで話しかけてきて息子だと名乗りをあげる大勢の若者に至るところで出くわした。彼は自分の種があちこちに飛び芽を吹いているような気がしてかえって激しい孤独に落ちいった。
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この艶やかな女たちは、古今の恋の手管に通じており、起たない者に刺激を与え、尻込みする者の活を入れ、欲望の強い連中を堪能させ、回数の少ない連中を励まし、度のすぎるものをこらしめ、独りで済ませる者を改めさせる、あらゆる種類の塗り薬や器具を用意していた。
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メメは暇があると辞典を読んだ。これまで恋人のうわさや友だち相手の密室の実験に向けていた関心を読書が奪う形になったが、しかしそれは、とくに勉強したい気を起こしたからではなくて、世間の誰もが知っていることを話題にするのが嫌になったためだった。
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「戸や窓を開けるのよ。さあ、肉や魚を料理して。亀を買うんだったら大きいのをね。よそ者をどんどん呼んで隅のござで寝たり、薔薇の木に小便をかけてもらったら。気の向いたときに何度も食事させるのよ。げっぷをしたり、おしゃべりをしたり、そこらを泥靴で汚したり好きなようにしてもらったらいい。屋敷が荒れるのを防ぐ手はこれしかないんだから」
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何年も経って、アウレリャノが世間へ出て行ったとき、人々は彼がでたらめを喋っているとしか思わなかった。歴史家たちが認めて教科書にのせている実は誤った解釈と根本的に対立するものだったからだ。
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血を濁らせる表通りの女達、豚のしっぽのある子供を産む屋敷の女達、死をもたらして生涯心を苦しめる闘鶏、触れるだけで20年の戦争騒ぎを引き起こす鉄砲、幻滅と狂気を生むだけの見当外れの冒険。要するに、その一切のものというのは神の限りない善意によって創造されながら、悪魔が堕落させてしまったそれだった。
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数年前に145歳に達したときから、彼女は年を数えるというやくたいもないことはやめていた。そして、記憶の静止した周縁的な時間、啓示された確実な未来、トランプの仕掛けた罠や当てにならぬ予測におびやかされる未来をはるかに超えたところ、そこに生き続けていた。
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以上引用です。
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時代はいつ頃だろう。
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千日戦争からネールランディア協定を経て、19世紀後半から20世紀の初頭、中旬にかけての100年くらいかな。
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コロンビアの歴史を知らなくても読むことはできる。でも、当時の保守と台頭するリベラル、アングロサクソンの入植などに詳しい人はさらに面白く読めると思う。
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登場人物が多く名前が長い。くわえて関係性も複雑怪奇なのでメモしながらじゃないと理解が追いつかない(赤X印は亡くなった人物)
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例えるなら、ルートがホセ・アルカディオ・ブレンディア(科学者)だとしたら、そのディレクトリの中にディレクトリ、幾重にも階層が続いて中のファイル名はほぼ同じみたいな(笑)
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そして同じような人間が同じような顛末を再生する。
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偉大なる一族ブレンディア家の中で、個人的に一番まともだと感じたのは(大概とはいえ)ウルスラだ。年老いても家庭を守り、血縁の有無を問わずにこちら側へ迎え入れる。
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残念ながら間近で彼女の薫陶を受けているにも関わらず、なんと無聊に苦しむ人物の多いことよ。
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もうひとつ物語を通して印象的だったのは、ラオウや矢吹ジョーに勝るとも劣らない彼らの死に様だ。グロテスクで美しい最後に、散り方の美学みたいなものを感じたな。
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訳者あとがきによると、ラテンアメリカの現代小説におけるキーワードはブーム、マフィア、そして魔術的リアリズムの3つがあるそうだ。
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魔術的リアリズム(マジックリアリズム)とは、日常的な現実性と非日常的な幻想性の混和もしくわ共存、を足して2で割る手法のことらしい。
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今でこそ普通に「転生もの」なんか出回っているけれど、その先駆者が著者なんだろう。初めて知った。
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確かに現実のドキュメンタリーチックな展開に、幽霊、人の浮遊、埋蔵金めいたものまでファンタジーが融合する場面に出くわす。
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そんな文章を600ページも読んでいると、現実と非現実のボーダーが曖昧になり無意識に没頭しているのかもしれないね。
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作者が認めているように、本作には誤植が42あり、かつ重大な矛盾が6つある。意志を尊重してそれらをあえて訂正しない部分もまたマジックリアリズムなんだろう。
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最後にもうひとつだけ
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「文学は人をからかうために作られた」
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長編なので、秋の夜長にじっくりと読むのもいいと思います。
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ガブリエル・ガルシア=マルケス

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コメント

  1. がぶ より:

    そのネーミングのお酒がずっと気になってます(焼酎飲まないけどw)

    • 自分 より:

      同じ名前の焼酎があるんですね!
      ぼくも酒はほぼ飲まないので知りませんでした。

      調べると宮崎県の地酒でレアな感じが。

      宮崎といえばですね、先日チキン南蛮と冷や汁を食べてきましたw ははは

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