先日、いつものようにうだつが上がらない顔を引っさげてアルバイトに行くと、薄暗いバックヤードの向こう側からのっそりと二足歩行でやってきたパートの細木さんがおもむろに話しかけてきた。
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細 「ハイリさん異動するみたいよ、知ってる?」
自 「そ、そうなんすか・・・・」
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どうやらハイリさんが他店に異動するようだ、知らなかった。直近の上司の異動はチワワさん以来だ。また今回も本人より先に細木さんから聞くという(笑)どんなネットワークだ。
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[33] この悲しみをどうすりゃいいの 誰が僕を救ってくれるの
いついついつものように気だるさ満点で着替えて売り場に行くと、細木さんが遠くから小走りでかけよってきた。カラテカなら最初のギロチンで確実に初見殺しにあってるスピードだ。
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細 「ねぇねぇ、聞いた? チワワさん〇〇県の店に移る見たいわよ!」
自 「(!)・・・・・そ、そうなんすか」
細 「それでね、みんなで贈り物しようと思って一人千円ずつ集めてるのよ。よろしくね」
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なんだかんだあったが(ブログでは多少面白おかしく書いてます)自分が入社して以来ハイリさんにはずっとお世話になってきた。最初に指導されたのも彼女からで、おそらく一番長い時間一緒に働いていると思う。
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いざ居なくなると思うと寂しいものだ。
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気が強くてガサツなところもあったりするけど、根は優しくて真面目な子だ。その気になればきっと管理職、課長くらいまで昇進できるだろう。
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赤い彗星ハイリさん
元日からアルバイトに駆り出された。
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凍えるような寒さの中、凍てつくバックヤードを歩いていると薄暗い通路の向こうに何か赤い物体が蠢いているのが見えた。
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・・・?
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・・・
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シャ、シャア!!?
・・・
・・・
・・・
違う!
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なんとハイリさんが髪の毛を赤く染め上げていたのだ。
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翻って向こうからしたら、ずいぶんと年の離れた毛色の違う小汚い輩への指導はストレスだっただろう。口数も少ないので何を考えているか分からなかったかもしれない。そう考えると居たたまれない。
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[19] アルバイトのくせに年下の女性社員を好きになる
アルバイトを始めてしばらくたった頃に、同じグループの女性社員に作業を教えてもらう事があった。
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この人は副リーダーらしく、年齢は20代後半から30代前半くらいだろうか。見た目は、リスとチワワを足して割ったような感じの目が大きくくりっとしたショートカットの可愛らしい小柄な人だ(以下チワワさん)
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例えていうなら、ニーアオートマタの2Bのような髪型をしている。まさに...
[29] ずっと好きだったんだぜ 相変わらず綺麗だな
バックヤードに行くと大体誰かがいて、引継ぎの仕事を教えてくれる。その日もいつも通り気だるさ満点で行くとチワワさんがいた。
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自 「お、おつかれさまです」
チ 「あっ!・・・・・・おつかれさまです」
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チワワさんは自分の顔を一瞬見ると、すぐに目をそらして向こうを振り返って何かをし始めた。いつもは普通に挨拶をしてその日の仕事の引継ぎの話をしてくれる。
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[34] ああ卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう
この日はチワワさんと同じシフトになる最後の日だ。かといって別に何も変わったことがあるはずもなく、いつも通りに指示を受けていつも通りに売り場に出ていつも通りに仕事をこなす。
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自 「お、おつかれさまです」
チ 「おつかれさまです。自分さん、今日はこの作業をして下さい」
自 「は、はい」
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自分はこの日ラストまでのシフトだった。途中で上がるチワワさんが、...
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若くて有望な人材だ。新天地でもがんばってほしい。
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さようなら、ハイリさん。
お世話になりました。
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*アルバイトのくせに上から目線になりました、この話にはもう少し続きがあります。
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