「52ヘルツのクジラたち」を読み終えた。
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作者は町田そのこさんで、先日の「本屋大賞」で知った。この著者の本を読むのはこれが初めてだ。
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いやしかし、ひとというのは分からない。村中の奥にはぞっとするような冷たい一面が潜んでいて、それが何かのきっかけで表面にでてくることは充分あり得るのだ。
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冬休み前より痩せたことにも気付かず、ぱりっとしたブラウスを見て「良かったじゃん」とわたしに笑顔で言った。お母さんはね、ちゃんと貴瑚ちゃんのこと見てくれているんだよ。弟くんと同じだけ、貴瑚ちゃんのことも大好きなんだよ。それがよくわかったでしょう!
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さっきまで死ぬつもりだったよね?てことは、もう限界を越しているんだよ。死ぬくらい追い詰めてくるのはもう恩とは呼べないんだよ。それは呪いというんだ。
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「血だよなあ」
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自分の器からはみ出るもんは切り捨てるような小さい男よ。
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以上引用です
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感想は・・・なかなかの重量級だ。
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タイトルと、そのかわいい表紙からはおよそ想像できないような流れに面食らうことうけあいだ(笑)
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読後に思ったのは、冒頭で主人公の貴瑚が村中を殴るシーンはそういう連鎖をほのめかす伏線だったのかなと。
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一番、心にぐっときたところは
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あの子が無条件に愛されているのを恨めしく眺めたこともあるけど、でもいて良かったとも思っていた。あの子が母と義父の間でしあわせそうにしていれば、母もしあわせそうに笑っていたから。わたしでは、母を笑わせることができない。
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の件だ。本人はこういう心境になるのかーと。「中にはなる人もいる」ということだろうけどね。もう切なすぎる。
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あと宮城のじいさんを見ていて、自分への戒めも込めて偏狭な価値観は恐ろしいなと思う。
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お山の大将、井の中の蛙じゃないが、外の世界を知らないまま年を重ねていくというのは哀れなことだ。
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白くまのアイスクリームが出てきたところで、にっこり笑ってしまった。あ、真樹のその後はどうなったんだ(笑)
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貴瑚も愛もまだまだ若い。人生はこれからだ。
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