「同志少女よ、敵を撃て」を読み終えた。
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本屋で ジャケ買い 面白そうだったので購入。アガサ・クリスティー賞受賞作だそうだ。
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共産主義は未来へのとほうもない脅威なのだ。われわれは軍人の戦友意識を捨てねばならない。共産主義者はこれまでも戦友ではなかったし、これからも戦友ではない。みな殺しの闘争こそが問題となる。われわれは敵を生かしておくことになる戦争などしない(アドルフ・ヒトラー)
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ソヴィエト連邦で冗談と批判はそう明確に違うものではない。そしてそれがどちらであるにせよ、何を言っていいか悪いかは決まっている。
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「狙撃兵に向かない奴がいる。感情に流される奴、無駄口を叩く奴、目立ちたがる奴・・・それと他人を頼りにする奴だ。みんなで頑張ろうなんて奴は今のうちに退校しろ。単身、前線へと放り込まれたら射撃位置につくまえに撃たれて死ぬのがオチだ」
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彼女は、熱烈な共産主義者にならざるを得ない立場にいた。この国で貴族の子が生きるということは生半可なことではない。
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「それなりに訓練を受けていて、一応相手の予測を立ててその裏を掻く戦術ができる。なおかつこっちをバカだと思っている。つまりはどういうことか、自分は定石から一歩進んだところにいて相手は定石通りに来ると考える。それが全てだ」
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SVT-40というその銃は半自動式の新型銃であり、弾倉に弾丸が10発も入る狙撃銃としては異色の構造をしていた。
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主要な戦局には、退却防止のためにNKVDからなる督戦隊が配置され、逃亡兵を射殺する権限が与えられた。
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[ピオネール] 共産党少年団
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[コムソモール] 共産党青年団。ピオネールの指導者的立場。
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復讐を遂げるという目標によって生きる理由が生じる。そして過酷な戦闘を戦う意義が生まれる。思えば無数のソ連人民の動機もまた復讐にある。それが国家に基づくものであれ、家族に基づくものであれ、復讐を果たすという動機が戦争という莫大なエネルギーを必要とする事業を成し遂げそれを遂行する巨大国家を支えていたのだ。
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イワノフスカヤ村にいたとき、自分は人を殺せないと疑いもなく思っていた。それが今や殺した数を誇っている。そうであれとイリーナが、軍が、国が言う。けれどもそのように行動すればするほど自分はかつての自分から遠ざかる。
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兵士たちは恐怖も喜びも、同じ経験を共有することで仲間になるんだ。部隊で女を犯そうとなったときに、それは戦争犯罪だと言う奴がいれば間違いなくつまはじきにされる。上官には疎まれ部下には相手にされなくなる。裏を返して言えば、集団で女を犯すことは部隊の仲間意識を高めてその経験を共有した連中の同志的結果を強めるんだよ。
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ソ連へ行って知らないロシア人と殺し合い、市民をパルチザン(partisan)と呼んで銃を撃ちまくり、逃げ帰って少年にパンツァーファウストを持たせて、ソ連軍に丸めた紙で拷問される以外の人生はあったかも知れない。
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殺される心配もせず、殺す計画も立てず、命令一下無心に殺戮に明け暮れることもない。困難な「日常」という生き方へ戻る過程で多くの者が心に失調をきたした。
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以上引用です
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感想は・・・第一章から泣いた。
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ずーっと泣きながら読んでた(笑)
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読むしかない!
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舞台は第二次世界大戦中の1941年から1945年まで続いた独ソ戦だ。
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ヒトラー率いるナチ党が1939年の独ソ不可侵条約、ミュンヘン会談の合意を無視して数千万人の死者を出すことになる泥沼へ突っ込んだ戦争だ。
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そんな壮大なノンフィクションに、類まれなフィクションと少しのファンタジーが肉付けされていてページをめくる手が止まらなかった。
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すごい!圧巻だった。
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参戦国の中で女性部隊と、女性の狙撃兵を有していたのはソ連だけだったそうだ。
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自分は無類の「秘密警察好き」という暗い性格なので(笑)NKVDとチェーカーが現れたとき、めちゃくちゃテンションが上がった。この時代の歴史を語るときに絶対に切り離せない存在だと思う。
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NKVDのハトゥナの部下オリガが最高だった。
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「くたばれ、アバズレ小隊。くたばれソヴィエト・ロシア。私は誇り高いコサックの娘だ」
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泣けた・・・
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あとね、ゾルゲらの諜報活動も大きい。モスクワ防衛に戦力を集中させることができたのは、日本の対ソ戦が当面ないと分かっていたからだ。
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登場人物はみんな好きだった。
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カザフの天才アヤの件も号泣だ。
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もはやイリーナの声も、装填手の声も聞こえなかった。全ては雑音だ。便乗するように敵戦車兵を撃つ赤軍兵たちがむかついた。獲物を横取りしている。殺してやりたい。できるならばやかましく自分を称賛する装填手も殺してやりたいが、一人では装填できないので我慢した。
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もう、かっこよすぎるだろ・・殺されたい(笑)
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そしてみんな大好きセラフィマ
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「私なりの女らしさを知ったお前の死体が、明日その辺に転がってるよ」
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ぎゃー、かっちょいい!
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シャルロッタは、するめいかのように読み進めていくにつれて段々と好きになった。あ、あとエリザヴェータが好きでした。
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歴史の教科書なら、ヒトラーよろしく「我が闘争」で「ファシズム 対 共産主義」という答えがあるんだろう。共通点は「恐怖政治」だ。
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でもね、その裏では生きるために貴族の身分を捨てたり、生きるために敵兵の子供を身ごもったり、そして生きるために敵の頭を撃ち抜いたりとたくさんの不条理な戦いがあったんだよね。
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単なる「前門のフリッツ、後門のチェーカー」以上の物語だ。
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共産主義かファシズムかという選択は、多くの人にとってサタンか魔王かの選択と同じようなものである(レフ・トロツキー)
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当時はアメリカの自動車王ヘンリー・フォード、世界初の大西洋単独無着陸飛行をしたリンドバーグら錚々たる面子がヒトラー支持者で、ココ・シャネルはナチの高官の愛人だったんだよね。
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今だからこそヒトラー、ナチ党は間違っていたと分かる。でももし自分が当時のドイツで生きていたらおそらく諸手を挙げて熱狂していただろう。
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それくらい狂気の時代だったんだと思う。
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ちなみに、巻末の参考文献を見るとリュドミラ・パヴリチェンコは実在の人らしい!まじかー
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*2022.12.22 画像追加
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最後にこの本「お探し物は図書室まで」から
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自分が推す本って、気持ち的にはちょっとだけ、私の本ってぐらいに思ってるよ。
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4泊5日ほどの独ソ戦を体験できた。
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「角度1200ミル、距離893メートルであります!」
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