「Winny」を見終わった(2023年/日本)
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2002年。開発者・金子勇は革新的なファイル共有ソフトWinnyを開発し、試用版を2ちゃんねるに公開する。Winnyは瞬く間にシェアを伸ばしていくが、映画やゲームの違法コピーが社会問題に発展し、金子も著作権法違反ほう助の容疑で逮捕されてしまう(U-NEXTより)
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見るしかない。
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時代は2000年代の初頭。映画内のパソコン画面を懐かしながらみていた。
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おそらくOSは Windows2000 だろうか。ちょうどファイルシステムがFAT32から WindowsNT で使われていたNTFSに変わってシステムがオチにくくなったころだ。
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ウェブサイトはHTMLの静的なページから、動的ないわゆるウェブ2.0への移行期でもあった。
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当時自分は某IT企業に勤めていて、このニュースも鮮明に覚えている。Winny から派生したファイル共有ソフトも出回っていたよね。
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争点は2つあるのかな。
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ひとつは開発者が悪いのか、それとも使用者が悪いのか。もうひとつは著作権法違反幇助とはどのレベルで罰せられるかだろう。
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今でいうならTorやテレグラムだろうか。どちらも匿名性が強く犯罪やダークウェブにも使われる。
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その一方で、世界には国家による弾圧で声を上げれない人がたくさんいて、監視の目をかいくぐって助けを求めたり真実を発信する貴重なツールにもなっている。
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つまるところ、使い方。使う人間の問題だ。
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さらに言えば mRNA はどうだろう。悪意さえあれば世界を大混乱に陥れるけれど、そうする意図で作ったんじゃないよね。そんなことを言い出したらマンハッタン計画を率いたアインシュタインは万死に値する。
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警察官が Winny で内部告発した件は、そういうことを伝えたかったんだろう。
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国家権力とメディアがタッグをくむのはまだ可愛い。ただ、そのやり口が汚すぎる。大人は正々堂々とは戦ってくれないのだ。
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エンドロールによると、金子さんは最高裁で無罪判決を勝ち取ったけれど、その1年7か月後に急性心筋梗塞のため42歳で亡くなったそうだ。そして再び技術者として過ごせたのはわずか半年だったと。
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彼は平凡な ±2σ に収まるプログラマーが3ヵ月かかるコードを、わずか2週間で完成させるいわゆるギフテッドだった。もし今生きていれば何を作っていたんだろうと考えずにはいられない。
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最期に一番印象に残った彼の言葉を。
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「10年前にWinnyを作っても検証が出来なかったでしょうし、10年後にWinnyを作ってもありふれた技術だと見なされたでしょう」
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Winny とはどういうものかと同様に、国内でパラダイムシフトを起こす難しさがよく分かると思います。
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面白かったです。
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