「妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ」を読み終えた。
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著者はゲームやマンガなどのサブカルチャー、スピリチュアリティを研究しているそうだ。この人の本を読むのは初めてだった。
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スピリチュアル市場のコンテンツは金銭で賄われる消費財であり、それに傾倒すればするほど出費が嵩むことになる。
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女性たちが神聖な領域から排除されてきたのは、妊娠・出産や月経がケガレと見なされていたためだと論じている。
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[二世問題] 宗教団体に入信した信徒の子供が、本人の意志に反して入信させられたり、教団の教義に基づいた教育を強いられたり、独自の規範を強制させられたりするという問題。
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新新宗教のヤマギシ会では、子どもを共同で育てるという思想を育んでいた。しかしそれは結局、誰もが子供に対して責任を負わないネグレクトなどの虐待を引き起こした。
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(子宮委員長はるによると)妊娠中は子宮の周りに抑圧された感情が粒になった「カルマ粒」が現れ、自分の感情を感じることで「自分自神」になるのだと主張している。
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(七田は)胎教によって予知能力や透視能力などの、いわゆる超能力を持つ子供にすることも不可能ではないと主張している。
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(池川)は出産の際に、霊的な力によってエネルギーを感知するダウジングと呼ばれる方法を取り入れている。さらに生まれてきた子供のケアのために、エネルギーを調整する方法であるレイキや、代替療法の一種であるフラワーパッチレメディを使うことを推奨している。
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産科医療で用いられる様々な方法について、それが妊婦にとって過干渉であり不要なだけでなく、時に妊婦や胎児に悪影響を及ぼす有害なものとして厳しく批判している。
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もちろん、医療や科学に基づく知識は我々の健康や命を守るのに必要不可欠である。だが医療や科学もイデオロギーを帯びることで固有の価値観や世界観を提示するものなることに注意する必要がある。
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以上引用です
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感想は・・読んだことが無いジャンル、あなたの知らない世界だった。
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妊娠や出産は昔から宗教と関わりが強いそうだ。この本では「ヴァナキュラー(vernacular 土着)」という言葉で代用している箇所もある。
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そして女性の体に聖性を付与することでスピリチュアル、それに伴うマーケットを作り出すと。
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大きくは、子宮に聖性を見出す「子宮系」、子供が生まれる前の記憶を持つという「胎内記憶」、医薬品に頼らず自分自身の力で出産することを重視する「自然なお産」の3つに分かれるそうだ。
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ちなみに子宮系とは
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女性の生殖器である子宮に神聖性や神秘性を見いだすことで、自身の女性らしさを獲得したり生き方の方向性をきめたりする考えや価値観の一群を指す。
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書いていて自分でも分からなくなるわ(笑)
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子宮だから神秘性を持つのではなく、最も崇め奉りやすい象徴として見出しやすかったのがたまたま子宮だったんだろう。
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オカルトや、占い、おまじない、都市伝説、今ならワクチンの陰謀論など昔から溢れているよね。科学を全く信じないクリスチャンもいる。
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もちろん思想は自由だし、エンタメとして楽しむ分にはいいだろう。ただ、それに人生丸ごと委ねてしまうのは危険なのかなと。
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人生の一大イベントであろう妊娠や出産を、ダウジングやレイキ、フラワーパッチレメディに頼れるかという話だ。
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一方で妊娠や出産は孤独でプレッシャーも大きく、藁にも縋る思いで傾倒していくのも分かる。誰もが健康な赤ちゃんを産みたいからね。
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「自然のお産のスピリチュアリティ」の章に、代替医療のホメオパシーが出てくる。この辺は「代替医療のトリック」がとても面白いのでオススメです。読んでおいて損は無いです。
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全体的に客観的で丁寧に中立の立場で書いてあると思う。あと胎児と話せる胎話士(たいわし)という職業を初めて知ったわ。
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興味のある方はどうぞー
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