「レインマン」を見終わった(1988年/アメリカ)
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自動車ディーラーのチャーリーは、幼い頃から憎んでいた父の訃報を受け葬儀に向かう。遺産目的のチャーリーだったが、遺産300万ドルは長年疎遠だった自閉症の兄・レイモンドに渡ることを知る。そこでチャーリーはレイモンドを施設から連れ出し(U-NEXTより)
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以前読んだ本に引用されていて、ずっとマイリストに入っていた映画。
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ダスティン・ホフマンすごい!
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なんて演技力、そして記憶力だ!
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公開されたのは1988年だ。ロサンゼルスへ行く道中、チャーリーがレイモンドを精神病院へ連れて行ったときの対応でも分かるように、今ほど自閉症(autism)が世間に認知されていなかった時代だったんだろう。
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そういう意味ではかなり前衛的なお話だ。
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数字やルーティンにめっぽう強く、人間離れした記憶力を発揮する。その一方で、こだわりが強いぶん変化に弱く融通が利かない。
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チャーリーは当初、遺産目当てでレイモンドの存在もうとましく思っていたんだよね。皮肉なことに飛行機に乗れなかったことが、たった一人の兄を深く理解することに繋がる。
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きっとすさんだ心が救われたのはチャーリーのほうじゃないだろうか。
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つまるところ、血縁関係の無さゆえの繋がりが感動を呼ぶ作品が多い中、血縁関係があるからこその繋がりだ。
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生物学的な弟の優しさだよ。
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チャーリーとレイモンドの年齢差はどれくらいだったんだろう?
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気になったので調べてみると、当時の実年齢はダスティン・ホフマンが51才(現在86才)トムクルーズは26才(現在61才)なので、25才ほどのギャップがある。
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かなりかけ離れている設定なのは間違いなさそうだ。もしかしたら病気の影響も考慮しているのかもしれないね。
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ラストもお涙頂戴ではないところがよかったな。
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最期にこの本「くじ」から
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およそ、無知なる傍観者は、絵師が絵画の基礎的要素として描く一見ぞんざいな線や殴り書きから、彼の意図をくみとることはできない。数式をあらわす数字もまた、その仕組みを教えられていないものには無意味であり、出鱈目に引かれたダッシュにも等しい。われわれは誰しも、他者の意図ないし目的については盲目も同然なのだ。日常の些細な営為のひとつひとつに、隠された意味合いが数多含まれており、それらはどれほど明敏な審問官に対しても、やすやすとその企図を告白することないのである(ジョーゼフ・グランビル)
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とてもいい映画でした。
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